数日間滞在しただけでその国の人々の生活を知ることはまず難しいが、生活格差、収入格差が日本よりもずっと大きい様に感じられた。
立派な屋敷を持ち、輸入車(国産車はない)に乗っている人も沢山居れば、道端で乞食をしている大人も沢山見かけた。ゴミ捨て場を漁っている大人も見かけたし、何処へ行っても昼間から道端にしゃがんでいたり、ぶらついている人達が沢山いた。高齢者以外の人達は、きっと失業者なのだろうと思った。
交通手段についていうと、鉄道は一部分を走っているが、1~2時間に1本なので通勤には使えない。乗用車は大変高価なので、普通の人達は自転車かオートバイに乗っていた。オートバイはかっての日本の50ccよりは大型だが、自転車にモーターを付けたような独特のものだった。添乗員さんの説明によれば、タクシー料金が安く、通勤にも利用する人が多いのだそうだ。
世界文化遺産になっているフェズなどの旧市街地区を三カ所歩いたが、給排水が無いような地域もあり、道幅が1.5m位と狭いため車が入れず、未だにロバや馬、荷車、リヤカーが物資の運搬に活躍していた。私達は何度も荷物を運ぶロバと鉢合わせになり、ぶつからないように壁際に避けなければならなかった。
タダでさえ風通しが悪い迷路状のその町で、それら動物の糞尿と臭い、加工場の煙や臭い、騒音、そして人々の生活臭が渾然一体となっていて、私は気分が悪くなりそうだった。
また世界遺産なのに、狭い通路には所構わず色々なゴミが散乱していた。私は今の中国の様に国を挙げて清潔な環境作りのキャンペーンをした方が良いと強く思った。(写真①丘の上から臨んだフェズのメディナ ②極端に狭い迷路状の通路)
① ②
靴屋、洋服仕立て屋、洋服屋、鍛冶屋、馬具屋、金属加工場、鋳物屋、木工場、パン屋、菓子屋、肉屋、食料品店、なめし皮工芸など、ありとあらゆる零細な規模の店や工ばが所狭しと連なり、中には一坪にも満たない空間で1~3人で手仕事をしている工ばもあった。まさに中世の家内工業と暮らしが、そのままの姿で数百年間、受け継がれている様に見受けられた。
衛星放送のアンテナを上げているアパートも近くに沢山あったので、ここの人達は世界的な情報も得ているらしいのだが、それと自分達の暮らしとは別だと考えて居るのだろうか。極端な悪条件下でも一生懸命に汗を流している人達の姿を見ながら、私は複雑な思いに捕らわれた。
なめし革の加工現場を革製品の店の最上階から見下ろしたが、シャツ一枚着ただけの男達が、炎天下で悪臭が立ちこめる中、薬品や染料で皮を処理する重労働をしている姿に胸が痛んだ。
町はずれの陶器やタイルを焼いている焼き物工房も見学したが、そこではオリーブ油の絞りかすを燃料にしていて、公害となっているに違いない独特の臭いがする真っ黒い煙が、もくもくと立ち上っていた。また、イスラム模様の複雑な絵タイルを、根気強く一つ一つカットして組み合わせて造る作業は実に厳しそうだった。
(写真③一坪程で営む生きた鶏屋 ④貴重な共同水道の前のサボテンの実売り。サボテンの実に水道水をかけていた。 ⑤なめし革の染色作業を店の4階から撮す)
③ ④
⑤
田舎に行くとウイークデイなのに、学齢期と思われる女の子どもが幼児をおんぶして歩いていたり、男の子どもが遊牧の手伝いをしていたりする姿に出逢った。義務教育は小学校までで無償だという。しかし、家庭の事情や学校が遠すぎるために、学校に行けない子どもが田舎ほど多いようだった。
また、奥地のトドラ渓谷に行く途中で川で洗濯をしている大勢の女性達に出逢った。川で洗濯するというのは今の日本なら昔話の世界にしかない光景だと思った。(写真⑥)
⑥
モロッコは昔、アラビア半島から来た人が住み着いた事からできた国らしいが、長いこと幾つかの国の(最後はフランスの)植民地だった歴史を持ち、自主的な経済、政治の発展が遅れている事は否定できない。
しかも、雨が少なく、鉄分と石灰岩を含んだ赤土の大地には植物が育ちにくく、計画的な植林もまだまだ足りないように感じた。
水産業、農業、牧畜業が主で、鉱山からは燐鉱石が採取されるのだという。
近代的な工業製品のほとんどを輸入に頼っているので、国の経済収支は大変なのだろう。
添乗員さんの説明によると、この国の平均収入を計算することはあまり意味がないのだと言う。理由は80%の人が貧困層に入るからなのだ。大金持ちの収入を足して労働人口で割ったら、多分1ヶ月当たりの平均収入は、日本円にすると4~5万円になると思うが、と言っていた。
ODAの経済援助額2位の日本ではあるが、本当に必要な所に私達の税金が行っているのだろうかと思った。
サハラ砂漠の近郊の町を通った時、日本の青年海外協力隊の人が来ていて、製造業の指導をしていると聞いた。看板には日の丸の絵とその事が書いてあった。
日本はモロッコからの輸入額も2位である。蛸や海老、マグロなどの海産物が多いらしいが、日本の商社や水産会社は安く買いたたくことなどせず、適正価格で輸入しているのだろうか。私はそんな事も考えさせられた。
立派な屋敷を持ち、輸入車(国産車はない)に乗っている人も沢山居れば、道端で乞食をしている大人も沢山見かけた。ゴミ捨て場を漁っている大人も見かけたし、何処へ行っても昼間から道端にしゃがんでいたり、ぶらついている人達が沢山いた。高齢者以外の人達は、きっと失業者なのだろうと思った。
交通手段についていうと、鉄道は一部分を走っているが、1~2時間に1本なので通勤には使えない。乗用車は大変高価なので、普通の人達は自転車かオートバイに乗っていた。オートバイはかっての日本の50ccよりは大型だが、自転車にモーターを付けたような独特のものだった。添乗員さんの説明によれば、タクシー料金が安く、通勤にも利用する人が多いのだそうだ。
世界文化遺産になっているフェズなどの旧市街地区を三カ所歩いたが、給排水が無いような地域もあり、道幅が1.5m位と狭いため車が入れず、未だにロバや馬、荷車、リヤカーが物資の運搬に活躍していた。私達は何度も荷物を運ぶロバと鉢合わせになり、ぶつからないように壁際に避けなければならなかった。
タダでさえ風通しが悪い迷路状のその町で、それら動物の糞尿と臭い、加工場の煙や臭い、騒音、そして人々の生活臭が渾然一体となっていて、私は気分が悪くなりそうだった。
また世界遺産なのに、狭い通路には所構わず色々なゴミが散乱していた。私は今の中国の様に国を挙げて清潔な環境作りのキャンペーンをした方が良いと強く思った。(写真①丘の上から臨んだフェズのメディナ ②極端に狭い迷路状の通路)
① ②
靴屋、洋服仕立て屋、洋服屋、鍛冶屋、馬具屋、金属加工場、鋳物屋、木工場、パン屋、菓子屋、肉屋、食料品店、なめし皮工芸など、ありとあらゆる零細な規模の店や工ばが所狭しと連なり、中には一坪にも満たない空間で1~3人で手仕事をしている工ばもあった。まさに中世の家内工業と暮らしが、そのままの姿で数百年間、受け継がれている様に見受けられた。
衛星放送のアンテナを上げているアパートも近くに沢山あったので、ここの人達は世界的な情報も得ているらしいのだが、それと自分達の暮らしとは別だと考えて居るのだろうか。極端な悪条件下でも一生懸命に汗を流している人達の姿を見ながら、私は複雑な思いに捕らわれた。
なめし革の加工現場を革製品の店の最上階から見下ろしたが、シャツ一枚着ただけの男達が、炎天下で悪臭が立ちこめる中、薬品や染料で皮を処理する重労働をしている姿に胸が痛んだ。
町はずれの陶器やタイルを焼いている焼き物工房も見学したが、そこではオリーブ油の絞りかすを燃料にしていて、公害となっているに違いない独特の臭いがする真っ黒い煙が、もくもくと立ち上っていた。また、イスラム模様の複雑な絵タイルを、根気強く一つ一つカットして組み合わせて造る作業は実に厳しそうだった。
(写真③一坪程で営む生きた鶏屋 ④貴重な共同水道の前のサボテンの実売り。サボテンの実に水道水をかけていた。 ⑤なめし革の染色作業を店の4階から撮す)
③ ④
⑤
田舎に行くとウイークデイなのに、学齢期と思われる女の子どもが幼児をおんぶして歩いていたり、男の子どもが遊牧の手伝いをしていたりする姿に出逢った。義務教育は小学校までで無償だという。しかし、家庭の事情や学校が遠すぎるために、学校に行けない子どもが田舎ほど多いようだった。
また、奥地のトドラ渓谷に行く途中で川で洗濯をしている大勢の女性達に出逢った。川で洗濯するというのは今の日本なら昔話の世界にしかない光景だと思った。(写真⑥)
⑥
モロッコは昔、アラビア半島から来た人が住み着いた事からできた国らしいが、長いこと幾つかの国の(最後はフランスの)植民地だった歴史を持ち、自主的な経済、政治の発展が遅れている事は否定できない。
しかも、雨が少なく、鉄分と石灰岩を含んだ赤土の大地には植物が育ちにくく、計画的な植林もまだまだ足りないように感じた。
水産業、農業、牧畜業が主で、鉱山からは燐鉱石が採取されるのだという。
近代的な工業製品のほとんどを輸入に頼っているので、国の経済収支は大変なのだろう。
添乗員さんの説明によると、この国の平均収入を計算することはあまり意味がないのだと言う。理由は80%の人が貧困層に入るからなのだ。大金持ちの収入を足して労働人口で割ったら、多分1ヶ月当たりの平均収入は、日本円にすると4~5万円になると思うが、と言っていた。
ODAの経済援助額2位の日本ではあるが、本当に必要な所に私達の税金が行っているのだろうかと思った。
サハラ砂漠の近郊の町を通った時、日本の青年海外協力隊の人が来ていて、製造業の指導をしていると聞いた。看板には日の丸の絵とその事が書いてあった。
日本はモロッコからの輸入額も2位である。蛸や海老、マグロなどの海産物が多いらしいが、日本の商社や水産会社は安く買いたたくことなどせず、適正価格で輸入しているのだろうか。私はそんな事も考えさせられた。
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