存在する音楽

ジャンルに関係なく良いと感じた曲は聴く
誰かの心に存在する音楽は
実際に音が鳴っていない時にも聴こえてくることがある

翼 / 武満徹

2008-09-26 21:28:32 | album t
久しぶりに武満徹を聴きたくなった。

1 ストリング・アラウンド・オータム (1989年)
作曲: 武満徹
サイトウ・キネン・オーケストラ, 今井信子
指揮: 小澤征爾
何故か、落ち着くこの曲。変化する秋のせいかな?
タイトルは
「 沈め 詠うな ただ黙して 秋景色をたたむ 紐となれ 」
という大岡信の詩に基づいている。

2 そして,それが風であることを知った (フルート、ヴィオラとハープのための)(1992年)
作曲: 武満徹
今井信子, 吉野直子, ニコレ(オーレル)
この曲のタイトルは19世紀アメリカの詩人・エミリー・ディキンソンの詩からとられているらしい。

ハープのイントロ、時折楽器を本来の演奏方法ではないやり方で音を出しているのではないかと思われるような音もこの曲に変化をもたせているが、武満自身はドビュッシーの晩年のソナタを念頭に作曲しており、影響を受けつつも、同時にドビュッシーとは異なる武満自身の音響世界を描出させたいと考えて作られた作品。

How slow the wind(1991年)と対を成す曲でもあり、自然の風と人間が無意識の心で感じる気配を主題としている。



 海へⅢ(アルト・フルートとギターのための)(1989年)
(3:夜 4:白鯨 5:鱈岬)

作曲: 武満徹
吉野直子, ニコレ(オーレル)

何と、これは81年にグリーン・ピースの鯨保護キャンペーンのために書かれたものらしい。
「夜」のアルト・フルートは、尺八かな?と思うような音色。


6 スタンザⅡ(ハープとテープのための)(1971年)
作曲: 武満徹
吉野直子のハープ

この曲は ある真昼間の情景らしい。ハープの音だけではなく、鳥の囀りや人々の話す声などサンプリングされたような音も使われていて、坂本龍一に影響を与えた曲なんだろうなと感じた。

7 径 -ヴィトルド・ルトスワフスキの追憶に-(トランペットの独奏のための)(1994年)
作曲: 武満徹
ホーカン・ ハーデンベルガーのトランペット
トランペットの音の強弱があり、ちょっと驚くかもしれない。
92年にルトスワフスキと会った時に「旋律の事をもっと真剣に考えるべきだし、新しい旋律を生むための努力を惜しんではならない」と語っていたらしく、彼の死を知って悼んで書かれたファンファーレ。

 遮られない休息
(8:ゆっくりと悲しく、語りかけるように 9:静かに、残酷な響きで 10:愛のうた)
作曲: 武満徹
小賀野久美 のピアノ
タイトルは瀧口修造の「妖精の距離」の中の同名の詩のイメージに基づいて作曲されている。

静かで残酷な響きはどんなのかを聴いてみたくなりませんか?


 リタニ -マイケル・ヴァイナーの追悼に-
(11:Adagio 12:Lento misterioso)
作曲: 武満徹
小賀野久美
1950年に作曲された「二つのレント」を友人のマイケル・ヴァイナーの追悼に改作して、
タイトルも59年に「リタリ「にした。
原曲を作った頃に武満は重症の結核で病床にあることが多く、マイケルの死の報せをきいて茫然自失の中で、昔書いたこの曲を思い出し、原譜もなく、若干のスケッチが残っているだけだったが、それをたよりに、記憶の糸を手繰り寄せながら、新しい粉飾を加えずに再作曲したらしい。
 
13 ◯と△の歌(混声合唱のためのうた)
作詞・作曲: 武満徹
指揮: 関屋晋
晋友会合唱団

14 死んだ男の残したものは
作詞:谷川俊太郎
作曲: 武満徹
指揮: 関屋晋

15 翼
作詞・作曲: 武満徹
指揮: 関屋晋

今、聴くからなのか、混声合唱は賛美歌でもないニュートラルな自然な音楽に聴こえてきて、前衛的と思えるタイトルとは違って特殊な刺激は感じない。

久しぶりに このアルバムを通して聴いたけれど、もう廃盤になっているようですね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする