バアチャンはアケビが大好物だった。
周辺の里山を探せばいくらでも採れたが、「稲刈りシーズン」と重なることから
その時間的余裕は無かった。
それを知った近所の人から頂戴したこともあった。
エグネの市道脇にも自生していて、それを家族は「バアチャンのアケビ」と呼んでいた。
晩年、要介護5級の認定を受け自力での食事もままならなくなった時でも、散歩をする際に
車椅子を押すヘルパーさんに実を付けたアケビを紹介したという。
そのアケビの実の一つが口を開いていた。
間も無くバアチャンの月命日がやって来る。
孝行娘は、その日に採って仏壇に供えるつもりでいる。