安心、安全と美味しさへのこだわり
そんな「こだわりの農業ブログ」を毎日更新
主役の妻は生産部長、夫は営業部長兼雑用係
第5回期日(27年12月)に於いて「本訴訟における一番重要な法律的事実は何か」と私が質問したのに対し
裁判官は「譲渡契約が有ったか否かである」と即答した。
「それなら、原告側の虚偽主張に振り回されるような裁判を続けるよりも譲渡契約の合意の場に立ち会った
二人を証人として呼べば済むのではないか」と提案した。
それに対しては「どちらの主張が事実か否かは双方の主張が出尽くした時点で、証人を呼ぶかどうかも含めて
判断したい。」との見解だった。
(今朝の厳美渓。この冬一番の冷え込みなった)
そして、第7回期日(28年3月)を終えた時点では裁判官も大分状況を把握して来たように見えたので間もなく
結審し、「請求棄却」の判決が出るものと思っていた。
ところが、新年度に入った最初の期日に法廷に現れたのは人事異動で着任した新しい裁判官だった。
そして、それまで吹いていたフォローの風は一転逆風に変わった。
相手側から「確認書」作成経緯の釈明を求められたので「陳述書」の形式で簡潔に取りまとめて
提出したところ、裁判官から「署名場面が想像できるような詳細なものを作成するように」との
指導を受け詳細版を再提出した。
また、その指導を踏まえ相手方の「虚偽の羅列に終始する主張」に詳細に反論した準備書面を
作成したところ22頁にも達してしまった。
それに対し、裁判官から「法律的事実のみを主張するように」と再度の指導が入った。
(今朝の厳美渓。紅葉は皆葉を落としていた)
しかし、相手方の主張に反論したものなので「原告側は法律的事実以外も主張しているのでは?」
と質問したところ「原告側は法律の専門家が作成しているのでそのようなことは無い」とたしな
められた。
内心は「ホンマかいな」と不満だったがムキになって反論することもないのでそれ以上は争わ
なかった。
農地取得のための不動産譲受は何度か経験があるが、いずれも契約書など作成せず口頭契約(口約束)で
登記まで済ませており本件不動産も同様だった。
しかし、相手方の背後で暗躍する「或る人物」が本件不動産取引を取消そうとする「不穏な動き」があることを
察知したので「有事」に備えて契約合意から登記までの事実関係を整理した「確認書」を作成し相手方に署名捺印を
貰っていた。
言わば「事後契約書」みたいな位置づけだった。
その「確認書」が真正に作成されたものか否かが裁判の重要な争点の一つとなった。
相手方は熟読後に署名捺印したにも関わらず、裁判では「内容を見ずに署名した」と主張していた。
しかし、「領収書を渡しながら『お金を受け取っていない』と言えないのと同様でそのような抗弁は通用しない」と反論し、
裁判官も「署名したのは間違いないのでしょう」と相手方に念を押したら、その後は「署名した記憶がない」と主張を変え
てしまった。
弁護士法第一条には「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」と謳っているが、実際は
「勝つためには手段を選ばず」が実態のようだ。
「社会正義という霞を食って生きることは出来ない」ということかもしれない。
映画やTVで観る法廷劇の大半は刑事訴訟で、検事と弁護士が丁々発止のやり取りをするが、民事訴訟は
全く別物だった。
月に一度程度の間隔で開かれる裁判(「期日」と呼ぶらしい)では双方が事前に提出した準備書面等を確認し、
裁判官はその交通整理をして次回期日を決めるだけなので法廷で主張をぶつけ合うことは殆ど無く所要時間は
毎回15~20分程度だった。
このような「書面で主張するだけ」という進め方に最初かなり戸惑った。
何回目かの期日に「虚偽の羅列との指摘に何故反論しないのか?」と原告側弁護士に問い質したら「虚偽と
思っていないから反論する必要がない」と述べて平然としていた。
それでも、譲渡の合意の場に立ち会った二人の署名入り陳述書を提出した際、「同一人物が署名を偽造し
たもの」と主張したのには呆れて腹が立った。
筆跡が違うことは一目瞭然なので「虚偽主張が酷すぎる」と裁判官に抗議したら「それはあなたの主張で
しょう。偽造かどうかは鑑定人でないと分からない」と一蹴されてしまった。
ことほど左様に虚偽主張でも「主張」として容認され、それを検証することがないので「民事訴訟は嘘の
上手い弁護士を立てれば勝訴する確率が高いのかもしれない」と思ってしまった。
その点が「真実の究明」を目的とする刑事訴訟と根本的に違っていた。
弁護士依頼は断念したものの答弁書、陳述書、準備書面、証拠説明書等々の法廷用語も知らずに
裁判を争うには無理があった。
それぞれの書面の意味合いや機能、更にはその取扱い実態等については幸いなことにネット上で
詳細に説明されていたので助かった。
それによって総論部分はある程度カバーできたものの各論になると不安が残ったので、東京在住の
若手弁護士に裁判所提出書面の事前チェック等のアドバイスをお願いすることにした。
そのお陰で主張や立証について原告側弁護士とほぼ対等に戦えたものと思っている。
しかし、裁判の終盤、弁護士でも神経をすり減らすといわれる証人尋問の際は弁護士を立てなかった
ことを後悔させられた。
原告側証人の予想もしない「露骨な偽証」に驚いて頭がパニック状態に陥ってしまったのだった。