穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

「村上春樹 なぜノーベル賞を取れないのか」

2015-10-23 21:04:16 | 村上春樹

今朝の産経に黒子一夫氏という文芸評論家が書いている。黒子さんという人は全く知らない。したがって読んだこともなかったのであるが、読んでみた。 

村上氏がノーベル賞をとれないのはメッセージを内包していないからだそうである。この人、文章の印象からはレフティというかピンキィという印象であるが、川端康成や大江健三郎にはメッセージ性があるらしい。川端にメッセージ性があるのだろうか。大江は筋金入りのレフティだから分かるが。

村上が毎年下馬評にあがるきっかけはカフカ賞を授賞したからという。たしか2001年に創設された賞で、村上が授賞する前に授賞した二人が同年立て続けにノーベル賞を取ったから、相関があると思う向きがあるらしい。しかし、15年で二人しかいないのに相関があるのかね。しかも彼らはカフカ賞から時を置かずにノーベル賞を取っている。そう言う点では2006年カフカ賞を貰った村上は賞味期限切れとみていいだろう。メッセージ性があるとかないとか、曖昧な理由はよく分からないが。ま、ないんだろうな。最近すけべ根性が出て来て、もがいているようだが、所詮後付けで選考委員の心証はあまりよくないだろう。一生懸命村上氏をフォローしていたとしたらだが。

村上がカフカ賞を授賞した理由はなんだろうね、その辺もいまいち分からない。日本人で授賞の可能性があるのは林京子だそうだ、黒子さんによると。この人は全く知らない。第一海外に翻訳されているのかな。

カフカ賞は変身の印象が強かったので、村上が選ばれたのはファンタジー性かとおもっていた。ところがwikipediaで賞の目的をみると必ずしもそうではないらしい。そうすると何故村上がカフカ賞に選ばれたのかも首をひねるところである。