3-0で勝利!
前回対戦で0-4の惨敗を喫した相手とのリベンジマッチ。連敗してしまった日には致命的なダメージを被る、しかし勝てば単なる1勝以上の経験値、自信が得られるというチャンスにあって。
「欲を言えば、あと1点以上挙げてプラスマイナスゼロにしたかったよね」というセリフが自然に出てくるくらい、圧勝でした。
自分たちの課題に向き合い、それを最高のかたちで表現しつつ、相手に反撃の隙を与えない。
理想的と言える試合展開でもって前回対戦惨敗の悪夢を、前節の敗戦を振り払い、暫定ながら再び首位の座に返り咲くことに成功したのでした。
前々節の藤枝戦でも立ち上がりに課題があったにも関わらず、それを繰り返してしまうかたちで試合開始早々に失点した前節・沼津戦。さらに前半のうちに追加点を許してしまい、試合を難しくしたことが敗戦につながってしまったことは、明らかでした。
それでも。敗戦はこの上なく痛かったにせよ、ただ何の抵抗も示せずにやられてしまったわけではありませんでした。
途中出場でボランチに入った末木が活躍し、後半は優勢に試合を進めることができたこと。そして、同点・逆転にこそつなげられなかったものの、マテウスがゴールを挙げて意地を見せたということ。
それらを踏まえ、連敗をなんとしても阻止すること、惨敗を喫した前回対戦の悪夢を振り払うことを念頭に、スタメンにも変更を加えて臨むこととなりました。
前節に良いプレーぶりを見せていた末木をスタメン抜擢。これまで不動のアンカーにいた姫野に代わってそのポジションにつくことに。それに伴い、姫野は1列上げてシャドーの位置へ。
そして前線には、ここ最近はスタメンを外れていた吉平を起用。マテウスとのFWコンビを組むこととなりました。
すると。
メンバー固定の傾向にあったこれまでですが、それにとらわれない変化をつけた起用を敢行したところ、まさに的中。
試合開始早々の9分、スローインからの流れで相手陣内深くへと侵入していった吉平が中央へとグラウンダーのクロス。それにしっかりと反応した姫野が蹴り込み、見事にゴール!姫野の自身カターレ初ゴールによって、幸先よく先制することに成功したのでした。
“自分たちがやられて嫌だと思うことを、相手にやってやれ”というのは、サッカーに限らず、およそ競技というものに共通する概念でしょう。
不安定さを露呈してしまった立ち上がりに失点を喫し、自分たち自身で試合を難しくしてしまった前節とは、まさに真逆と言える展開で優位に。
今シーズンここまでで唯一の無得点試合であった前回対戦。失点しなかったとしても得点できないままであったとしたら、「やはり長野からは得点出来ないのか」というプレッシャーに晒されてしまうことにもなりかねなかったところでしょうが。
その懸念を、早々に振り払ってみせたのでした。
さらに39分、再び姫野。
音泉、椎名、吉平と繋がったショートカウンターから、抑えのきいたシュートがゴールに吸い込まれ。この日2点目となる得点を挙げて、俄然勝利への期待が高まったのでした。
前回対戦での惨敗の敗因は、ひとえに自分たちのほうから試合を難しくしてしまっていたことにありました。確かに相手のプレッシャーはきつかったかもしれない。ボールの出しどころは難しかったかもしれない。けれど、それとアグレッシブさを失ってしまって後手に回ることとは、また別の話。
その意味において。
今回は、自分たちから積極的に試合を動かしてやろう!という気概が、しっかりと見て取れました。
ポジションを前めに変更された意味というものをしっかりと受け取り、それをゴールに繋げてみせた姫野。
彼だけでなく、広い視野でもってしっかりとパスをさばいてみせた末木、最後方でも安易に引いたりせず、連携を取りつつプレッシャーを与えていた戸根など、アグレッシブさというものは、随所に見て取れました。
前線の選手にしても、しかり。
前からボールに絡んでいく積極性がウリである吉平が、アシストを決め。
そして、期待のマテウス。相手に付かれても簡単に奪われないばかりか、そこからさらにプラスして踏み込んでいく。距離があるボールにも全力でスプリント、追いついてしまうという・・・やはり、J3レベルではない選手。その良さが随所に見て取れたのでした。
さらにさらに、44分。
またしてもカウンターから、マテウスがふわりとボールを蹴りだして走り込んでいた椎名に繋げると、そこからフリーであった吉平に。落ち着いて蹴り込み、試合を決定づける3点目!
前回対戦惨敗のリベンジとして、まさに痛快なゴールラッシュ。それも、自分たちがやりたいかたちを作り出し、それを結果に繋げるもの。
選手たちそれぞれが、やるべき仕事をしっかりとやり遂げていたからこそだったでしょう。
そうして試合を優位に進めても、だからといって気を抜くことはなく。次の1点を狙いに行くアグレッシブさは、失いませんでした。
前半だけで3得点、そうして飛ばしてきたツケが後半に出てきてしまうのでは?という懸念もあったでしょうが、それは杞憂でした。
守っても無失点で切り抜けてやる!という気概は、選手たちそれぞれにしっかりと共有されていたようで。攻守ともに緩む気配は無し。
追う立場という精神的な疲れもあったことでしょうが、試合終盤にキレがなくなってきた長野。一方のカターレはハードワークを持続、相手にチャンスを作らせませんでした。
もちろん疲労も無いわけでは決してないでしょうが。そのあたり、中断期間をはじめ、これまでのトレーニングを積んできたことの成果というものでしょう。
たとえ勝利が確定的であっても、つまらないミスから失点してしまえば画竜点睛を欠くというもの。
けれど、集中力は最後まで途切れず。そして、タイムアップ。
見事に完勝。無得点で敗れた借りを返す無失点勝利。
ここまで唯一の無得点試合であった長野にリベンジを果たし、例外なくホーム無敗を継続したのでした。
他会場では、鳥取が岐阜を相手に後半一挙3得点で快勝し、最下位脱出。順位が下だからと油断して良いわけでは決してない、と証明してみせました。これは、カターレにとっても他山の石としなくてはならないところ。
福島、岩手といった上位陣もそれぞれ勝利、試合のなかった熊本が首位から4位となることに。
まさに、大混戦という状況の中で。それでも、首位に返り咲いたカターレ。
福島と同勝ち点ながらも、今節の3得点が効くかたちで総得点28はリーグ1位、得失点差プラス9も1位タイであり、文句なく首位です。
まだなにも成し遂げたわけではないけれど、それでも。
連敗を喫するわけにはいかない、けれども前回惨敗を喫した相手---そんなプレッシャーを見事に跳ね返して、快勝をおさめたカターレ。
ここで得た自信と手応えを、力に変えていかねば。
勝てば、負けない。
優勝という目標へ、さらに、確実な歩みを続けていかねば。