2-1で勝利!
4連敗により4位に転落、さらに前日の他会場の結果により、負けてしまえば7位にまで落ち込むとともに、さらに昇格圏が遠のくことになっていたところ。
残暑というにはいささか以上に厳しい暑さのなか、アウェイ戦9戦連続無敗・うち7戦で無失点という実績を誇るリーグ最少失点のFC大阪に、先制点を奪われてしまうというーーー5連敗不可避か?という、およそ最悪に最悪を上塗りするかのような状況に陥ることに。
しかし、それでも。
屈しなかったカターレ。
失点後も意気消沈することなく気迫のプレーを続けると。
椎名の同点・逆転ゴールが立て続けに決まり、前半のうちに試合をひっくり返すことに成功。その気迫は後半も衰えることはなく、必死のプレーで相手を抑え込み。
見事に、勝利。連敗を食い止め、ホームのファン・サポーターに歓喜を届けることが出来たのでした。
久しぶりのホームでのデイゲームとなりましたが、9月も半ばというのに、その暑さたるや。現地まで行った人にはとっては、やはり14時開始であった7月のアウェイ奈良戦が思い出されたのではないかと。
4連敗からの脱却を目指して、続く試行錯誤のなかで。
今瀬と下堂がCBコンビを組み、右に柳下というなかで。注目したのは、左サイド。安光をSB起用し、野口を1列上げるという、これまでにない起用法となったのでした。
キックオフからしばらくの間、我慢の時間帯が続きました。
守備力に自信を持つFC大阪に対して不用意にロングボールを放り込んでいたのでは、みすみす相手にボールを渡すようなもの。これまでの傾向からも、相手も対策を練っていたことだろうし、おいそれと安易な選択をするわけにはいきませんでした。
ボールを回す展開、ボールを回させる展開を経て、いかにチャンスをものにしていくか。
じりじりとした状況が続くなか、それでも冷静さをうしなってはならず。
攻め手の意思統一を欠いて相手のペースにはまってしまい無得点で敗れた、前節・讃岐戦。その失敗を繰り返すわけにはいかなかっただけに。
両チームともに、なかなか決定的なチャンスとまでは至らず。どちらも慎重に相手の動向をうかがう展開が続きました。
前半の半ば、飲水タイムではなく3分を目安としたクーリングブレイクがとられることに。やはり暑さの影響が顕著であった先の奈良戦同様に、スタンド下の日陰に集まり、試合が一時中断となったのでした。
バスケなどと違い、試合中のタイムアウトが無いサッカーにあって、ハーフタイムではない時間帯に指示を出す機会。暑さで大変であるなかでも、それを良い契機として活かさねば!というところでしたが。
そのブレイク明けに、ひとつギアを上げたのは相手のFC大阪のほうでした。
ここまでのコンディションを確認しつつ、プレーをアジャスト。クーリングブレイク前よりも動きが洗練されてきた、そんななかでした。
33分、MF木匠 貴大に決められてしまい、あれだけ気をつけなければならなかったはずの先制点を奪われることとなってしまったのでした。
左サイドから攻め込まれ、ゴール前を横切るようなクロス。FC大阪の選手のスルー、カターレのディフェンスに当たるなどの紛れがあったなかで、ちょうど待ち構えていた木匠にボールが渡り、そのままズドン。
ボールウオッチャーになってしまっていたというか・・・相手の位置取りにまで気を回せないままに決められたのは、自分たちの至らなさが故。悔いの残る失点に。
一方の、FC大阪にとっては。
4月の前回対戦時には、ゴールを奪えないままに無得点で敗れてしまっているだけに。打倒富山にかける思いが、ひとつかたちになった、と。
しかもそれが、連勝中のここ2試合連続で3ゴールを挙げている絶好調の木匠が、またもやったという。これで3試合連続ゴールと、まさにケチャドバ状態。理想的なゴールでもって、一気に勝利への、4連勝への機運も高まったことでしょう。
連勝中の好調FC大阪。先制点を許してしまっただけでも難儀だというのに、相手はリーグ最少失点を誇る堅守のチームという。
このまま反撃もおぼつかずにズルズルいくようなことがあれば、5連敗も必至。
事実、先の讃岐戦では、相手を褒めるしかないようなゴラッソで失点、切り替えて臨むべきところ、後半開始早々で時間もあったのに、同点・逆転ゴールには繋げられず。終始相手のペースに翻弄されながら、むざむざと無得点のままに敗戦を喫してしまったのでした。
その反省を、なんとしても活かさねばならないなかで。
失点後、すぐさま円陣を組んだ選手たち。そのなかで、下堂がハッパをかけました。
「下を向くのではなく、今まで通りやれば絶対に点が入るから、しっかり対応しよう。焦らずにどんどんチャレンジしていこう」と。
うつむいている暇など無い。気持ちが沈めば、その分だけ反撃もままならなくなる。
すぐにでも反転攻勢に移らねば。
すると。
その思いは、すぐにかたちとなりました。
失点から4分後の37分、ピッチ中央を縦に通すパスを受けた椎名が相手をかわしながら反転して前を向くと。ペナルティーアーク付近、距離があったのも構わず、利き足ではない右足でグラウンダーのシュート。防ごうとしたディフェンスの股を抜くかたちとなってGKの反応が一瞬遅れ、そのままゴール隅に吸い込まれたのでした。
椎名の今シーズン初ゴールが決まり、試合を振り出しに戻すことに成功しました。
チーム最長在籍の椎名が決めた同点ゴール。
これまでであれば、「シュートには遠いからパスを選択しよう」とか、「味方の上がりを待って練習通りのかたちをつくろう」とか考えて日和ってしまうようなシチュエーションであったかもしれません。連敗中は、おおむねそんなでした。
けれど、違った。
利き足でないのを厭わずに思い切り蹴り込んでみせた、その気迫。
そうだよ、俺らが見たかったのは、こんなゴールだよ!
得点すらままならずに連敗していた鬱憤を晴らすような展開に、沸き立つスタジアム。
そして、さらに。
決まりこそしなかったものの、大野のシュートが相手ゴールを脅かし。雰囲気が一変し、カターレペースとなった前半終了間際。
44分、カターレの左サイドからの攻撃、上げたクロスが繋がらず、といった場面で。
ボールを奪取した相手の一瞬の隙を見逃さずに、椎名がボールを搔っ攫うと。
先の同点ゴールと似たような位置で、今度は利き足の左で強烈なシュート!
見事にネットを揺らし、逆転に成功したのでした。
運や偶然、まぐれなんかじゃない。
試合に出場出来ていない時期にも、コツコツと積み重ねてきた修練。このシュートにしても、練習で繰り返してきたパターンそのままだったとのこと。
そんな下積みに加えて、何よりも重要であったのは。
やはり、メンタル。そして、気迫。
相手どうこうではなくて、「自分たちがやるべきことは何か」に向き合い、トレーニングしてきたとのこと。その思いをプレーで体現し、これ以上ないという見事なゴールへと結び付けてみせたのでした。
今シーズン、これまで成し遂げてこられなかった逆転勝利。
もちろん、勝つ。そのためにも、後半もチーム一丸となって勝利を求める気概が必要でした。
同点・逆転を狙って攻め込んでくるFC大阪。そうはさせじと、跳ね返し続けるカターレ。
後半には薄く雲がかかる時間もあったものの、それでも残暑厳しいきつい条件。
スタンドから応援するファン・サポーターは、「選手とともに戦う!」という心意気とともに応援していますが・・・今節に関しては、まさにファン・サポーターにとっても戦いでした。
この条件で走り回っているような、特別な訓練を受けている選手たちと条件を同じに考えることはできないものの。
一般人であるファン・サポーターには、堪える暑さ。
それでも。
勝利を信じて、必死に応援。まさにカターレ一丸、総力戦でした。
後半の半ばにもクーリングブレイクが3分間とられて、いよいよ試合は終盤へ。
もちろん、追加点を挙げて突き放す展開が理想ではあったものの。
相手のプレッシャーに晒され続けるなか、安易な思考、楽をする方向へと逃げることは出来ませんでした。
目の前の状況に最大集中。一片の隙も見せるな!と。
FC大阪とは古巣対戦となる大山をはじめ、駿太、柴田、松岡らを投入し、勝利に向けて気迫が途切れぬように努めるカターレ。
得点にこそ結びつかなかったものの、前線から体を張ってディフェンスをする大野など、本当に頭が下がる思いでした。
スコアは動かないままに、試合はいよいよクライマックス。
クーリングブレイク分を含めて、後半アディショナルタイムは、なんと9分!
気を抜けば、やられる。けれど、そうはさせじと。選手全員が、さらにはカターレファン・サポーターみんなが、勝利を信じて集中していました。
そして、試合終了のホイッスル。
見事に勝利をおさめ、連敗阻止に成功。
前節終了時に2位であったFC大阪にとって代わり、勝ち点差1ながらも再び昇格圏・2位の座に返り咲くこととなったのでした。
公式記録で気温32.6℃、体幹的にはもっと暑かったでしょうか。
ホームアドバンテージのほかに、カターレが有利であったこととして。FC大阪が6月以来14時開始の試合をしていないのに対し、カターレは既に一度、アウェイ奈良戦で猛暑の中の試合を経験しています。
勝負のアヤとでも言いますか。もしかすると、そのあたりも勝敗に影響したところもあったかもしれません。
それでも。
やはり勝因として大きかったのは、メンタル面。
なんとしても連敗を阻止し、勝つんだという気迫。それを勝利に繋げられたこと。
シーズン初の逆転勝利を成し遂げた、この成功体験。必ずや、今後の戦いに活きてくることでしょう。
史上空前という大混戦のなかで、昇格圏復帰を果たしたカターレ。
まだ何かを成し遂げたというわけではないけれど、それでも。
苦しみ抜いた、4連敗。それを乗り越えた、今節の勝利。
まだまだ、勝負はこれから。
難敵を下してホームのファン・サポーターに勝利を届けたこの経験を自信と力に変えて。
J2昇格はもちろんとして。まだ、優勝だってあきらめたわけじゃない。
やるべきことをやれば、道は拓ける。この勝利が、それを証明してみせました。
まだまだ続く、この先のシーズンに向けて。
勝って兜の緒を締めよ。
次節・長野戦に向けて、連勝に向けて、気を引き締めていかねば。