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地元サッカークラブ・カターレ富山を応援するブログ

あきらめない気持ちがもたらした逆転劇!初のルヴァンカップで勝利を飾る モンテディオ山形戦

2024-03-15 06:48:41 | カターレ富山
2-1で勝利!
カターレ富山クラブ史上初のルヴァンカップは、まさに劇的と呼ぶにふさわしい勝利によって、新たな歴史の1ページを刻みました。
4日前のホーム奈良戦から、ほぼスタメンを総とっかえ。大卒ルーキーのデビューをはじめ、チーム一丸となって臨んだ、引き分け無し、負けたら終わりの一発勝負。
出場メンバーそれぞれが、クラブのプライドをかけて挑んだこの試合。技術で勝る格上・山形にボールを支配され、ミスや危ないシーンもあったけれど、それでも。
昨シーズンのカップ戦同様に、「どのメンバーが出場しても戦力が落ちない」というチームの総力を結集。粘り強いプレーぶりでもって、敢然と立ち向かいました。
90分で決着がつかず、延長戦へ。
その延長の開始早々に失点を喫するという厳しい状況に置かれたものの。
そこからが、カターレの真骨頂でした。
誰も、勝利をあきらめなかった。
1点ビハインドで迎えた延長後半、ついに、その気持ちがチカラとなって体現することに。
新卒ルーキーながら攻撃陣の顔になりつつあるショウセイが、豪快なボレーシュートを決めて追いつくと。
今シーズン初出場となった伊藤が、目の覚めるようなミドルシュートを突き刺し、試合をひっくり返すことに成功。
見事というより他ない逆転劇でもって、山形を撃破。J2・清水の待つ2回戦へとコマを進めることが出来たのでした。

雪に見舞われた4日前の奈良戦とは異なり、ピッチサイドに雪だまりがあることはありませんでしたが・・・代わりと言ってはなんですが、普段のリーグ戦では設置されるところのスポンサーボードが全く設置されず。バックスタンド側にルヴァンカップのタイトルロゴのボードが数個並ぶだけで、ただでさえ広く感じる県総のピッチサイドが、それはもう閑散としていました。
それを見るに、「ああ、やっぱりルヴァンカップなんだなぁ」と、しみじみ。
ただ、一方で。
主催が違う天皇杯では、スポンサーボードが並ばないほか、大型ビジョンの演出もなくて天皇杯の歴史映像などが流れていたりしますが。
大型ビジョンでは、いつものようにクラブスポンサー紹介映像やリーグCM、クラブCMが流れ、さらにはホームチーム選手紹介も、いつもと同じ演出を伴ったものに。
同じなんだけれど、違う。
そんな、何とも言えない違和感めいたものを感じる試合でした。

昨年の9月以来、およそ半年ぶりとなった県総でのナイトゲーム。
幸いにして雨や雪に悩まされる事態にこそならなかったものの・・・それでもやはり、この時期の夜の屋外は、寒さが堪えました。応援の手拍子が、寒さでなかなかうまく打ち鳴らせないほどに。
大方の予想通り、連戦の影響と優先順位的にはリーグ戦のほうが上ということもあって。先の奈良戦からほぼスタメン総とっかえという編成で臨むことに。
GKには、ルヴァンカップニューヒーロー賞の対象選手でもある平尾が起用されました。公式戦出場としては、昨年5月のアウェイ岐阜戦以来の出場に。
リーグ戦での下堂・川上に代わって神山・脇本の2人がCBコンビとして出場。
右SBは、唯一の連続スタメン出場となった安光。左には京都産業大学から新加入した大卒ルーキーの西矢が起用され、プロデビュー戦を迎えることに。
同じく大卒ルーキーのプロデビューとして、筑波大学から加入の瀬良がボランチに起用。チーム最年長のベテラン・河井とコンビを組むことに。
右サイドの松岡に関しては、ある意味想定通りとして。左には、先の奈良戦で試合終盤に少しだけ出場した布施谷が初のスタメン起用。
2トップには、奈良戦では途中出場だった松本とマテウスが。
そして、控えメンバーに目を向けると。
最大7人のリーグ戦規定と違って、ルヴァンカップでは9人までベンチ入りできることとなっているなかで。吉平やショウセイ、末木らが控えにまわっていたほかに、今シーズンこれまでメンバー入りしてこなかった大山や伊藤の名も。
ルーキーや経験の少ない選手がどこまでやれるか?という思いも、あったにはあったけれど、それでも。
昨年の天皇杯での奮闘ぶりを見ても。チーム一丸となって挑み、レギュラー外選手だからあからさまにレベルが落ちる、などということが無いことは、きっと今年も変わらないだろう。そんな信頼をもって、このルヴァンカップ初挑戦、期待とともに見守ることにしました。

2014年以来、実に10年ぶりに対戦することとなった山形。
山形と言えば、チームカラーは青と黄というイメージでしたが。今回は紅花色という赤とオレンジのグラデーションも鮮やかな2ndユニフォームを身に纏っての登場。
やはり連戦を考慮するかたちで、山形もまたターンオーバー編成に。アウェイでの試合ということもあってか、その徹底ぶりはカターレ以上で、リーグ戦のスタメンから総とっかえ。控えメンバーには2種登録の高校生も入れての編成となっていたようで。
とはいえ。一昨年のJ3リーグで猛威をふるったいわきの中心選手にしてリーグMVPを受賞したFW有田 稜や、昨シーズンの甲府でカターレの松本 孝平らとともにACLでプレーしたMF松本 凪生ら、実力ある選手たちが揃い。今シーズンの山形の最大最強戦力ではなかったかもしれませんが、やはり脅威には間違いなかったろうと。
遠く山形から駆け付けたサポーターも、その数以上に迫力のある応援でもって選手を鼓舞。これはいよいよ、ホームチームサポーターとしては気を引き締めてかからねば、と。

そして、いよいよ試合開始。引き分けのない完全決着の勝負が幕を開けました。
山形のプレーを見た率直な感想が、「やはり上位カテゴリのJ2だけあって、みんな上手いわ」でした。
スピードも、テクニックも、パワーも、プレーの正確性もーーーなんというか、基本的なレベルが、質そのものといった部分の基準が、まず違う。何気ないプレーのひとつひとつが、明らかにJ3のレベルよりも、上。
その中で、J3のレベルでは通らないパスが通ったり、トラップからワンクッションありそうなボールの受けが、スッと収まったりする。
カターレのなかでも屈指のスピードとテクニックを誇るマテウスの仕掛けが、止められたりする。J3のレベルであれば突破出来たであろう状況でも、抜けなかったりと。
これまで天皇杯での格上クラブとの対戦時にも感じてきたことですが・・・あらためて、カテゴリ違いの相手との対戦なんだな、ということが実感できました。
ボールポゼッション的には、カターレが30%台、山形が60%台と、主導権は山形側ということが言える内容ではあったものの。
しかし、それでも。
一方的にやられてしまってどうしようもない、という印象はありませんでした。
確かに実力差があることは事実。けれど、要所要所でしっかりと集中したプレーを見せて、致命的なピンチにまでは至らず。
チームとしてもよく連動し、一瞬、これが大幅変更したメンバー編成であることを忘れそうになるほど。それだけ、メンバーが代わっても「カターレらしいプレー」というものに影響のないクオリティが出せているということ。その手応えを感じました。
もちろん、実力が上の相手と対するのは簡単なことではなく。プレーに関しても、ミスも少なからずあり、ベストと言えるほどの質でこそなかったけれど。
それを差し引いてもなお、しっかりとプレー出来ていたという印象。そのあたりがおぼつかないと、後手後手に回ってしまい、対応に追われるばかりで勝利などおぼつかない、ということになっていたでしょうが。そうではなく、万全とまではいかなかったとしても、それでも地に足の着いたプレーが出来ていた。そんな感じであったかと。
その意味で言えば。
山形もまた出場経験の少ないメンバーのチームだったようですが、だからでしょうか。
なにか、「綺麗なかたちにこだわってはいないか?」という印象でした。
もちろん、初見の対戦相手であり、慎重なプレーになる面はあります。その上で練習してきた形をしっかりと、ということ自体に問題はありませんが。
ただ、それでも。
相手を上回る実力差で、情け容赦なく圧し潰す!ということをされていたとしたら・・・さすがにカターレもたまったもんじゃなかったでしょうが。
そうではなかったところ。
格上であるが故のやりにくさのようなものは、やはりあったでしょうが。
それを差し引いてもなお、カターレのほうがチャンスが多く、シュートにまで行けていました。
時折ヒヤリとさせられるシーンもあったものの。総じてみれば、格下たるカターレがしっかりと対抗出来ているーーーそんな印象を抱かせる試合展開でした。

カターレの各選手たちに目を向けてみると。
何気に、総とっかえではなく安光の連続起用、これが活きていたような気がします。
今シーズンのカターレにあって、誰もが認めるプレーぶりでもってチームを牽引している安光ですが。その彼が、大幅変更したメンバーのなかでもしっかりと躍動していたということ。それがすなわち、チームとしてのクオリティが変わらないことの証左のようにも思え。別メンバーのチームでありながら、同じ。その橋渡し的な役割を、変わらず頼りになるプレーで示していました。
そして・・・今回のメンバーのなかでも目を惹いたのが、初出場となった瀬良のプレーぶり。ドリブルとテクニックもさることながら、驚かせたのが、そのプレーエリア。「え、そんなところに?」というほど、ピッチを縦横無尽に駆けるカバーエリアの広さ。それに感心させられました。
プロデビュー戦、不安や怖れ、緊張も、きっと無かったと言えばウソでしょうけれど。それを感じさせないほどの堂々としたプレーぶり。これは今後も期待できそうだ!と。
その瀬良をフォローするにあたって、ベテランとして百戦錬磨・・・いや、奈良戦でJ通算300試合出場を達成した300戦錬磨の、河井の存在も大きかったかと。
彼らが中盤でしっかりと試合をコントロール出来ていたこと。それによって、相手にボールが渡っても必要以上に慌てなくても済んだ、そのことが大きかったように思います。

スコアが0-0のままに試合終盤。勝利に向かって、ベンチワークで試合を引き締めていくことに。
69分、守備の疲労度を考慮し、神山に代えて鍋田を投入。
72分には末木とショウセイというリーグ戦メンバーを。82分には大山と伊藤というサイドから仕掛けられる選手を入れ、点を獲りに行く体制に。
交代枠を使い切って勝負をかけ、最終盤にはショウセイが決定的チャンス!・・・ただ、それを外してしまいゴールならず。
90分で決着はつかず、試合は延長戦へと突入することになりました。
シュート数では上回り、相手よりもチャンスを作れていることは明らか。これは、勝つべき試合だし、実際その可能性は十分にあった。
それだけに、ある意味この試合も引き分けであったことを思えば・・・ここまで4試合連続引き分けに当たるということになり、やはり決定力というものの大切さというものを突きつけられることになったな、と。

ベンチ前で円陣を組み、必勝を期して臨んだ延長戦前半でした・・・が。
開始からわずか2分。
ゴール前の混戦からMF加藤 千尋に決められてしまい、先制を許すことに。平尾もよく反応して飛びついたもののわずかに届かず、ゴールポストに当たりながらもボールは無情にもゴールのなかへ。
出端をくじかれるどころではない、大きな失点。敗戦の要件が整ってしまうことに。
ただ、それでも。
カターレの選手たちがそこでうつむいてしまうことは、ありませんでした。
昨シーズンの天皇杯、PK戦を制した京都戦や延長までもつれて中断後に後日再開となった新潟戦のことを思えば。
これくらい、逆境のうちにもはいらねぇよ!と。
シュート数もカターレと比べて少なかった山形にとってみれば、1点をしっかりと守り切って逃げ切りを図る、という展開だったでしょうが。
攻勢をかけ続け、点を獲りに行くカターレ。だれも、あきらめてなどいませんでした。
そうだ、その姿勢が大事なんだ。
たとえ良いかたちでシュートまで出来ずとも、攻め続けていれば、ペナルティーエリア内でファウルをもらい、PKを決めて同点に追いつくこともあるだろうし。
とにもかくにも、屈しないこと。

すると、111分。
そのあと足がつるほどに懸命にプレーを続けてきたルーキー・西矢が左サイドからクロスを上げると。
胸トラップから微塵の迷いもためらいもなくショウセイが豪快にボレーシュート。それが見事に決まり、同点に!寒空の下で固唾を飲んで試合を見守ってきた県総のスタンドが、一気に沸き立ちました。
もちろん、同点で終わらせる気など無い。即座にボールをもってセンターサークルへと駆けだすショウセイ。
もうこれは、勝つしかない流れ!
そして、114分でした。
途中出場の伊藤が、後方にいたマテウスからのパスを受け自らドリブルで駆け上がると。相手選手をかわしながら横移動、ペナルティーアーク付近から蹴り込むと、それがゴール隅に突き刺さり。
見事というより他ない、逆転ゴール!!!
あまりに劇的なゴールによって、県総は興奮のるつぼと化したのでした。
昨シーズンの終盤に頭角を現した伊藤。背番号も18に改めて、さらなる飛躍を期した今シーズン。ただ、開幕前の練習見学では別メニューの姿を見ていただけに、開幕からしばらくはまだ厳しいか、と思っていましたが。
復帰戦ともなったこの試合で、大仕事をやってのけました。
これまでも、若手選手の活躍が大きな見どころとなっていたというルヴァンカップという大会ですが。カターレにとっても、それは例外でなかったのかもしれません。
ルーキーのショウセイ、2年目の伊藤という若い2人のゴールによって、歴史的な勝利を挙げることとなったのでした。

これまで開幕から3連続引き分けと、もどかしい状況が続いてきたカターレですが。
やればできるということ、これまで出場機会の少なかった選手たちも含め、チーム一丸となってもぎ取った勝利。この勝利の価値は、今後につながる大きなものとなったことは間違いないでしょう。
今シーズン公式戦初勝利の余韻もそこそこに、中3日ですぐに次戦・アウェイ八戸戦はやってきます。
この試合で得られた自信と手応えを、しっかりとリーグ戦勝利へとフィードバックしていくべく。
そして、来月のルヴァンカップ2回戦・清水戦へと繋げていくべく。
さらなる飛躍に、期待したいです。

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