0-0のドロー。
待望のシーズン初勝利を挙げた金沢戦から中3日。勢いをつなげる連勝を期して挑んだ福島戦でしたが。
スコアレスドローに終わり、連勝ならず。
どうにもこうにも、評価しづらい試合でした。
昨シーズンは全試合で5つだった引き分けが、6戦目にして早くも4。しかも無得点で、となれば・・・正直、焦るなと言うほうが無理があるかと。
シュート数だけで言えば相手を上回るも、決めきれずに無得点。今季ここまでわずか3得点という決定力の低さを、今節もまた改善できずじまいでした。攻撃の質や迫力といった部分では、明らかに福島のほうが上でした。
福島のレベルの高い攻勢に晒されたなかで。昨シーズンであれば劣勢に耐えきれずに失点、敗れていたであろう試合。
しかし、それでも。
攻撃力に自信を持つ福島をしっかりと抑え込み、最後まで得点を許さず。シーズン初の無得点に追い込み、アウェイの地で1ながらも勝ち点を獲得することが出来ました。苦戦を強いられながら、それでも相手に3を与えなかった。その部分は、しっかりと評価せねばなりません。
劣勢に晒されつつも、負けなかった試合。
一方で、ノーチャンスだったわけではなく、勝機はあったのに勝ちきれなかった試合。
連勝ならず、勢いを繋げられなかった試合。
敗戦を免れ、連続無失点を成し遂げた試合。
・・・どうにも、賛否の分かれる評価の難しい試合となったのでした。
“勝った次の試合は、ヘタにメンバーを変えないほうが良い”というのは、およそサッカー界で古今東西普遍的なセオリーではありますが。
それでも・・・5連戦の5戦目、連続ホームなどではなく、バス移動を伴うアウェイ戦にあって。
前節・金沢戦から中3日で、まったく同じスタメンで臨むこととなるとは、さすがに予想外でした。
相手の福島は前週末の松本戦メンバーに戻していることを思えば、裏の裏をかいた、ということになるのかどうか。
ともあれ。
連勝を目指して臨むという指針そのものに変更があるわけではない以上は。監督の決断を信じて応援するのみであったかと。
やれ雨が降った、雪が降った、風が強い、低温だ、などなど・・・ピッチコンディションの厳しさとの戦いでもあった、今季これまでですが。
第6節にして、ようやくまともな状況下での試合となったようで。
連勝をかけて、今季アウェイ初勝利をかけて臨んだ、福島戦。
ただ・・・予想はしていたものの、やはり福島の攻撃的サッカーに手を焼くことに。
近年のJ1において、強豪クラブとして名を馳せてきた川崎フロンターレ。そこでコーチを務めていた経験をもとに、今シーズンより福島の指揮を執ることとなった寺田 周平監督。
福島のクラブ自体が川崎と提携していることもあって、新戦力に川崎からの移籍選手を加えたりと。フロンターレ譲りの攻撃サッカーを展開する基盤をしっかりと構築した上で臨む今シーズンの福島、とも言えるのかと。
そのコンセプトを体現し、前週の松本戦に続くホーム戦連勝を成し遂げるべく。
福島の選手たちに気合が入っている様は、そのままプレーに表れて見えました。
試合序盤こそカターレが攻め入るようなシーンが多めであったものの。
時間が進むにつれ、だんだんと福島が持ち味を発揮。パス回しの正確さ、ボールへの寄せの厳しさなど・・・もちろんカターレも人数をかけてサイドに追い詰めてコースを切るなど、対応はしていたものの。なかなか自分たちのペースで一気呵成に!という攻撃の形までは持ち込めず。
川崎から加入のDF松長根 悠仁が引き締まったデイフェンスを見せれば、中盤ではMF針谷 岳晃、前線ではFW森 晃太といった経験豊かな実績のある選手が攻撃へのアグレッシブさを見せ。福島の選手たちそれぞれが持ち味を発揮、必死に喰らいついていくカターレでしたが、相手の勢いを上回って攻勢をかけ続けるには、やはり難儀していました。
そんななかで、29分には森のシュートがバーに弾かれて難を逃れるという、肝を冷やす場面も。
そんななかで、後半は監督の指示の下、「ボールを奪ってカウンターを狙う戦い方」 に変更。それにしっかりと順応したカターレ選手たちの頑張りもあって、ピンチもありつつもチャンスもあるという、イーブンな展開に。
たしかに、キツい。ヘタに気の抜けたプレー、不用意なプレーをしてしまえば、たちどころに付け入られてピンチを招いてしまうのでは?という危うさが。
ただ、一方的にやられっぱなしでもなく。
試合を通して良い働きをしていたと感じたのが、河井。
中盤で的確にボールをコントロールしてチームのリズムを作り出すーーーそんなボランチの役割を、的確に遂行し続けました。
福島の攻勢に晒され、そのプレッシャーに負けるかたちでパスが繋がらない、という状況に追い込まれていたとしたら。それこそ、一方的な試合展開になっていたであろうところ。
チーム最年長、積み重ねてきたキャリアは伊達じゃない。この試合の影のMVPであったように思います。
最終的に、試合終了のホイッスルが鳴るまでスコアは動かず。
連勝を期して臨んだ今節でしたが、果たせず。これでアウェイ戦は3試合連続無得点という、どうにも厳しい現実を突きつけられることとなってしまったのでした。
スタッツの上では、福島のシュート数6に対し、カターレは10。CKのチャンスも、福島の4に対して7と、上回っていました。
ただ・・・率直な印象としては、「そんなにチャンスがあったっけ?」てなもので。
客観的に見ても、優勢だったのは福島のほうでしょう。
そんな印象を抱いたのも・・・ひとえに、セットプレーのチャンスを活かせなかったから。
今季ここまで、わずかに3得点。
流れから奪った3得点、と言えば聞こえは良いけれど・・・逆に言えば、CKをはじめとしたセットプレーからの得点が、まったく無いということでもあります。
チャンスそのものが無かったわけでは、ない。
けれど、それを活かした得点がなかった。さらに言えば、相手を脅かすほどの迫力をもったプレーではなかった、と。
昨シーズン、優勝した愛媛と並ぶリーグトップタイの総得点を挙げたカターレ。今シーズン、その力を継続して発揮できているとは・・・残念ながら、現時点ではとても言えない数字。
また、昨シーズンは得点が多い代わりに失点も多い、といった特徴があったとも言えます。最終的には、そのあたりが足を引っ張るかたちで、得失点差で及ばず涙をのんだ。いえ、過ぎたことを言っても詮無いことではありますが。
その一方で。
今シーズンここまで4失点。
今節も、相手の攻勢に耐える厳しい状況に置かれつつも、それでも最後までしのぎきって無失点に抑えました。
これが、もし昨シーズンであったなら。
おそらく、どこかでほころびが生じ、最後までもたずに失点、敗戦につながっていたのではなかろうかと。実際、昨季14敗のうち、そんな敗戦は少なくありませんでした。
それを思うとき。最後まで集中を切らすことなく守り切った経験は、これからの糧ともなっていくことでしょう。
なんというか・・・難しい。
あちらを立てればこちらが立たず、というか。
決定力の低さ、総得点の少なさは、早急に改善せねばならない課題。失点しても負けるとは限らないけれど、無得点では勝てないこと確定なのだから。
他方、昨シーズン足を引っ張ってしまっていたところの不用意な失点が、明らかに改善している。今節にしても、決められてもおかしくない攻勢に晒されながらも、それでも守りきり、無失点。連勝はならなかったけれど、連続クリーンシート。そのあたりは、評価されてしかるべきかと。
得点力アップは待ったなし。最重要課題であることは間違いなく。
ただ、それに気を取られるあまりにせっかくの良いディフェンスが継続できないのでは、本末転倒というもの。
どこに気持ちをもっていくか、というところでしょうか。
今節の福島は、強かった。
相手の強さを、自分たちの至らなさを認めることは、つらいことです。
それでも。
謙虚に、真摯に。目の前の現実にしっかりと向き合っていかねば。
勝ち点3を得られず、負けこそしなかったものの、上位との差をほとんど詰められなかった。その事実は、「まだ始まったばかりだし」「アウェイで引き分けはOKだろ」などとうそぶいて軽んじてはならない。そう心にしっかりと留めねば。
目の前の戦績に一喜一憂すべきでない、もっと大局を見据えて、などと言いますが。
勝てなかった現実から、逃げてはならない。その言い訳にしてはならないかと。
一喜一憂と言いますが、目の前の試合の積み重ねが、優勝への道である以上は。
やはり、勝たねば。
劣勢をしのいだ実績は自信としていくべきである一方で。勝てずに終わった無念は、決して軽んじてはならないところ。
もっと、できるはず。
もっと、やれるはず。
まずは、次節。次も遠く沖縄まで出向くアウェイ戦とはなりますが。
アウェイでも、勝つ。連続無得点などという実績には速やかに別れを告げ、得点への執着と自信・手応えとを、結び付けていかねば。
不本意と言わざるを得ない状況にあっても、揺るぐことなく。
ただひたすら、勝利を追い求めていかねば。