カターレ富山にとって初めての参加となるYBCルヴァンカップ。1stラウンド1回戦で山形、2回戦で清水という格上のJ2クラブを撃破し、勝ち進んだ3回戦。我らがホーム・県総に昨シーズンJ1王者・ヴィッセル神戸を迎え、プレーオフステージ進出をかけた真剣勝負に臨みます。
1回戦は延長戦での勝利、2回戦はさらにPK戦にまでもつれたところを勝ちきっての、いずれも辛勝であったカターレですが。
この3回戦で対戦することになる、J1連覇を狙う神戸は・・・半端な覚悟で挑んでも、カテゴリ差そのままに捻られてしまうのがオチ。いかに下位カテゴリのホーム開催というアドバンテージがあっても、それが有利に働くかどうか。ホームアドバンテージそれ以前の問題としてボコられてしまう可能性も、十二分にありますが。
それでも。
いかに辛勝であろうが。いかにスコアレスからの運の要素も絡むPK勝利であろうが。
格上を連破してきた実績そのものは、紛れもない事実であり。
挑戦者として、自分たちの持てる力をぶつけていくのみ。生半可な相手ではないけれど、だからこそ。
新方式となったルヴァンカップ、その1stステージ最大のサプライズを引き起こすべく。下剋上を狙い、全力をもって勝ちにいかねば!
もう11年も前になりますが。2013シーズンは、カターレと神戸、両クラブともにJ2に所属。ホーム&アウェイの2試合を戦いました。
のちにカターレの監督を務めることになる安達 亮氏が指揮を執っていた、当時の神戸。同じく「なぜJ2にいるのかわからない」と言われたガンバ大阪とともに、まさにリーグでも図抜けた存在として上位争いを繰り広げていたところ。
ホームではスコアレスドロー、アウェイでは0-1で敗戦。
そのスコアだけ見れば、僅差のようにも見えますが・・・やはり、実力差はとんでもなく大きく。むしろ、もっとボコられてしかるべき試合を、よくぞそこまで、という内容ですらありました。
その2013年時点では、曲がりなりにも同カテゴリであった両クラブですが。
その年すぐさまJ1に復帰、いわゆる楽天マネーでJリーグ屈指のビッグクラブへの道を邁進していった神戸。
方や、翌2014年にJ2最下位、以降J3暮らしが続くカターレ。
世界的スーパースタープレイヤー・イニエスタの加入や天皇杯制覇、さらに昨シーズンは初めてJ1王者に輝くなど、今やJリーグを代表するトップクラブとしての地位を不動のものにしている神戸。
毎年健闘は見せても、J2復帰に失敗し続け。J3沼にどっぷり浸かり、もがき続けるカターレ。
そのコントラストというものは、あまりに色濃く。
そんな両クラブですが、これまで2017年、2022年と、2度にわたって天皇杯を舞台に公式戦を戦っています。
2017年の対戦では、開始僅か3分で失点したものの、すぐさま追いつき、1-1で後半へ。ただ、あまりに大きな実力差はいかんともしがたく。終盤に立て続けに2失点、格の違いを見せつけられるかたちで敗れました。
そして、記憶にも新しい2年前、2022年の対戦では。
前半のうちに駿太が先制ゴールを挙げると、兵庫県出身・故郷に錦を飾るべく挑んでいた安藤が追加点。よもやの2点リードで試合を折り返し。いやいやいや、まさか、まさかはあり得るのか?
カターレにとって史上初のJ1クラブ撃破が見えてきた、試合最終盤・・・だったのですが。
酒井 高徳、大迫 勇也という日本代表選手の投入で、状況が一変。
途中出場直後の大迫のゴールから連続失点で追いつかれると。さらには試合終了間際、ほぼラストプレーというタイミングで、またしても大迫。逆転ゴールを決められてしまい、土壇場で試合をひっくり返されることに。
プロサッカー選手・大迫 勇也を象徴する、あまりに有名な、あのフレーズ。
「大迫ハンパないって!!!」
あまりにも大きかった、超一流プレイヤーの底力。
手にしかけた大金星は、いとも簡単に、あっさりとその手をすりぬけてしまったのでした。
あれから2年。
遺憾ながら、いまだJ3という状況に変わりのないカターレではありますが。
それでも。
あの頃と、同じではありません。
あまりにあんまりな敗戦を喫した翌年、つまり昨シーズンの天皇杯。そこで、PK戦にもつれこみながらも京都を撃破。あの時つかめなかった、クラブ史上初のJ1クラブ撃破という金星を挙げてみせたカターレ。続く新潟戦でも大熱戦を展開。残念ながら延長の末に敗れたものの、それでもJ1クラブを相手に一歩も退かない気迫を見せたのでした。
そして、今シーズン。
昨シーズンの成績から各カテゴリの上位チームが集うことになったルヴァンカップ・1stラウンドグループ1において、格上の山形、清水を撃破したカターレ。
あるいは・・・あのときの経験が、2年前の天皇杯神戸戦が、今のカターレに繋がっているのではないか?そう思えます。
ならば。
今回の対戦は、ある意味恩返しとも言えるかもしれません。
あのとき、ただ単にカテゴリ差ままの実力差でもって、ボコボコに敗れていたならば。今回、こうして神戸と対峙するカターレも無かったかもしれません。
だったら。
畏敬の念、感謝を込めて、やるべきことは決まっています。
昨季王者を破る、下剋上。ジャイアントキリングあるのみ!
今年からJクラブ全てがルヴァンカップに参戦すること、各カテゴリが同クラブ数となったことで、J1・J2・J3それぞれが、似たようなスケジュールでシーズンを消化していくなかで。
直近のリーグ戦で鹿島との上位直接対決に臨んだ神戸だったものの、ウノゼロ敗戦。その結果、町田にかわされて首位の座を明け渡してしまうことに。
まだ半分以上も残っている現時点で一喜一憂する状況でもないかもしれませんが、それでも。J1連覇を目指す神戸にとっては、面白くない状況と言えましょう。
言うまでもなくリーグ戦が最優先、中3日で迎えるルヴァンカップ、しかもアウェイ戦となれば、大幅なターンオーバー編成も当然と言えるところ。すなわち、大迫をはじめ、武藤 壽紀、山口 蛍、扇原 貴宏といった鹿島戦でスタメン出場した主力は帯同しない可能性が高いということ。
それでも。
出場経験の少ないメンバーが中心の編成とはなるでしょうが、昨シーズン王者の力を疑う者もいないことかと。
先の2回戦・今治戦では、前のリーグ戦でベンチスタートだった井手口 陽介らをスタメン起用、延長までもつれたなかで主力の山川 哲史や宮代 大聖らを投入してとどめを刺す、といった試合運びでしたが。
普段縁のないJ3クラブ・富山が相手、初めてのスタジアムへのアジャストに手間取る可能性もないではないにせよ。90分トータルで考えたならば、その不利もさほど問題とはならないかもしれません。
過去の対戦でもそうでしたが、たとえ苦戦させられたとしても、そのときはそのときで終盤に主力を投入するだけのこと。なんら問題ないと。
天皇杯、リーグ戦で優勝した経験のある神戸ですが、ルヴァンカップを制したことは、まだありません。他のクラブであれば、リーグ戦に注力するためならば敗退もそれはそれ、という割り切りもありましょうが。リーグ連覇と合わせて、カップ戦も獲りにいく、王者としてのプライドもあろうことかと。
それでなくとも、この先J1覇者として臨むACLのこともあれば。チーム力の底上げは必要不可避。ならばこそ、このルヴァンカップも1stラウンドごときでJ3クラブを相手に不覚をとって躓くわけにはいかない、と。
チャレンジャーであるカターレにとっては。もちろん中3日というスケジュールを踏まえた編成とはなるでしょうが、圧倒的な格上・神戸に挑むにあたっては。
出し惜しみをすることなく、全力でぶつかっていく以外に無い。
ポイントとなるのはやはり、いかに失点をしないかという部分であろうかと。
いかにJ1きっての強豪とはいえ、1試合90分を通して常に全力全開というわけではなく。首尾よく先制に成功したなら、程よく脱力しながらのびのびとプレー、省エネモードでいなしつつ、勘所に力を集中する、といった試合運びをするのではないかと。
ただでさえ実力差があるところ、追う展開となってしまっては、いたずらに体力と精神力を消耗、その隙を突かれてさらに失点、いよいよ太刀打ちできなくなる、ということにもなりかねないと。
そうはさせじと。
高い集中力をもって、神戸が点を獲りに来るフェイズを、いかにしのぎ切るか。反攻の余地を残し続けるか。下剋上には、良い守備が欠かせません。
期待したいのは、先の清水戦勝利の立役者でもある田川。
そもそもの話で言えば。J1・横浜Fマリノスから育成型期限付き移籍によってカターレに在籍している田川にあっては。しかるべき機会さえあれば、J1の試合で対峙することが当然という身の上。ならばこそ、神戸だから、格上だからと怯むことなく、敢然と立ち向かうべきであって。いかに日本代表クラスがゴロゴロいる強豪が相手とて、リスペクトしすぎて萎縮など、ありえないでしょう。
逆に、J1相手でも通用することを証明し、実力を見せるチャンスと捉えるくらいで良いかと。
ジャイアントキリングは、まず良い守備から。その基本に立ち返り、チームを盛り立ててほしいです。
そして、攻撃陣ではショウセイでしょうか。
ルーキーながら、今やカターレ攻撃陣のエースとも言うべき彼にあっては。1回戦山形戦でも勝利につながる同点ゴールを決めたように。格上であるからこそ、決める。その力をもって、勝利への道筋をつけてほしいです。
調子の良い選手をスタメン起用するという監督の方針もありましょうが、前節、その前も途中出場だったのは、この神戸戦での起用を見据えていたという部分もあったのではなかろうかと。だとしたら、全力をもって挑む以外にありますまい。
チーム人件費にして、実にカターレの17倍もの規模である神戸ですが。その神戸を相手にゴールを決めて、「J3にはこんな逸材が!?」と驚かせるくらいの。神戸の引き抜きリストに名を載せてしまうくらいの活躍を見せ、カターレの勝利に貢献してほしいです。
格下クラブのホーム開催というルヴァンカップのレギュレーションに加えて。
山形戦では、開幕間もない各チームが仕上がり切っていない時期という要素がありました。
清水戦では、相手にとっては初めてのスタジアムである上に雨の降り続くピッチコンディションという紛れもありました。それに、厳密に言えばスコアレスドロー扱いで。運も絡むPK戦勝利では、実力で勝利をもぎ取ったかといえば、そうと言い切れない部分も。
この3回戦では・・・開幕から既に3か月が経過。いかに出場経験が少ないメンバー編成となろうと、出たとこ勝負ということでもないでしょう。
そして、当日の天気予報は晴れ、雨の心配もなく。良好なピッチ状態でフェアな試合ができること自体は喜ばしいのですが、それはすなわち、実力差がそのまま出てしまうということでもあります。
ときに不確定要素すら味方につけるほどでなくては、ジャイアントキリング成就は、やはり厳しいかと。今回は、前の2試合よりも、明らかに紛れの部分が少ない。半面、相手は昨シーズンJ1王者。どう考えても前の2試合よりも実力が上、格上どころではない相手。
正直言って・・・勝つのは厳しい。現状をあらためて確認すればするほど。
だったら、試合をするまでもなく白旗を上げるか?
そんなわけないだろう。
ならば。
強いチームが勝つのではない。勝ったチームが強いんだ。
ここ最近まで、格上撃破・ジャイアントキリングに関しては、まぐれすらなかったカターレ。
それが、1回戦、2回戦とJ2クラブを連破して、3回戦・ヴィッセル神戸を相手にするまでコマを進めた。
それは、本当に偶然やまぐれなのか?それとも・・・?
答えは、試合結果でしか示せません。
もちろん、勝つ!
勝って、今回から新レギュレーションとなったルヴァンカップ、その最大のサプライズを見せつける!!!
やるぞ、下剋上!
成し遂げろ、ジャイアントキリング!!
ホーム県総で、歴史に残る史上最大の番狂わせを!!!
勝たれ!!!富山!!!!!