先日の県選手権決勝・富山新庄クラブ戦を制し、富山県代表として4年連続15回目の天皇杯進出を決定したカターレ。近年の同大会と同様に高岡スポーツコアを舞台に戦うこととなる1回戦、3年連続19回目の出場となる大阪府代表・関西大学と対戦します。
JFA日本サッカー協会が主催し、プロ・アマ問わずカテゴリの垣根を超えて日本最強のクラブを決する天皇杯。今年度で実に104回を数える伝統の大会ですが。
ただ、そのなかで今年度大会は、Jリーグ所属クラブにとっては、これまでとは若干意味合いが異なることとなります。
これまでは、天皇杯が唯一のカテゴリを問わないノックアウト方式のトーナメント大会でしたが。
今年度はルヴァンカップにJ1・J2・J3の全60クラブが参加。普段のリーグ戦には無いカテゴリの相手との“負けたら終わり”という試合を、既に経験しています。
そのなかで。順当に上位カテゴリクラブが勝利するばかりではなく、下位カテゴリが番狂わせを演じるカードも、天皇杯同様に発生し。
その番狂わせの最たるものが、ほかでもないJ1王者・神戸を撃破したカターレでしょう。
ジャイアントキリングを成し遂げ、J3クラブで唯一の1stラウンド突破を果たしたカターレ。
大会は違えど、やはり番狂わせもあり得る一発勝負にあっては。カターレの頑張りに、天皇杯参加クラブは触発されるのではなかろうかと。カテゴリ差に怯むことなく、自分たちもやってやるぜ!と。
カテゴリ差に怯むことなく!との話をしておいてなんですが。
下位カテゴリをみくびる、侮るような見方とは、逆に。今回カターレが対戦することになる関西大学は、脅威として対峙せねばならないことかと。
決して、プロだから勝てるとか、神戸に勝ったから勝てるとかいうことではなく。
大阪府代表・関西大学。
府大会準決勝で、JFLのティアモ枚方を撃破。準決勝もうひとつの試合でJ3のFC大阪を破った桃山学院大学と決勝で対戦、勝利して大阪府代表の座をつかみ取っています。
実際、ここまで関西大学リーグでは無敗の首位と、堂々たる戦いぶり。
それだけ見ても、プロたるJ3クラブと同等、あるいはそれ以上か?というくらいで。油断ならないどころじゃない。
「プロとして大学生に負けるわけにはいかない」なんて原則論というかスローガンめいたものだけを掲げて臨んだのでは、あっさりと敗れた挙句に「どっちがプロだよ情けない」なんてそしりを免れないのではないかと。
関西有数の実力校として、Jリーガーも排出している関西大学。
今シーズンのホーム奈良クラブ戦において、先制ゴールをくらってしまい、それが元でドロー決着ともなりましたが。そのゴールを決めた奈良のルーキー・百田 真登が関西大学出身と言えば、身近にも感じられるかもしれません。
昨年の天皇杯2回戦では、ACLチャンピオンとなりアジアを制した浦和レッズと対戦。そのアジア王者に喰らいつき、延長までもつれ込む激闘。最終的には力及ばず敗れることとなったものの。ターンオーバー編成がどうとかいう話ではなく。主力抜きであったとしても、一流のプロを相手にも一歩も退かずに渡り合ったというその貴重な経験。
今年のメンバーには、その試合の経験者も。今年こそは!と、気合も新たに今大会に挑むことでしょう。
勝ちあがった2回戦には、前年のJ1王者・ヴィッセル神戸との対戦が。
昨年成し遂げられなかったジャイアントキリング、今年も相手にとって不足なし。
ぞの前哨戦たる1回戦は、無名のJ3クラブが相手?いかにプロとはいえ、王者への挑戦権がかかっているとあれば、行く手を阻まれるわけにはいかない。サクッと勝って、首尾よく2回戦進出だ。
1回戦の数日前には、ちょうどおあつらえ向きに神戸が出場するルヴァンカップの試合が。
連覇がかかるリーグ戦を優先して、天皇杯ではカップ戦メンバーとなるターンオーバー編成で臨むはず。ならば、ルヴァンカップの編成が天皇杯2回戦にも出場するメンバーと見ることもできるはずだと。
おあつらえ向きついでに、そのルヴァンカップの相手が、1回戦で対戦するJ3の富山。
2回戦で対戦する神戸メンバーの戦いぶりを研究するために。あと、前哨戦の参考として、ついでに当て馬の富山がどんなチームか見てやるかーーーと、そんないきさつがあったかどうかは、定かではありませんが。
「・・・なんだ、これ?」
天皇杯2回戦で戦う神戸戦を見据え、モチベーションアップに余念がなかったはずのところ。待っていたのは、誰も予想もしない事態。
王者・神戸が、無名のJ3・富山に敗れ、敗退。
あくまで別の大会の出来事であって。天皇杯1回戦を勝ち抜けば2回戦で神戸と対戦することになるという、それ自体になにも変わりはありません。
えっと・・・でも・・・だって・・・。
もちろん、やるべきことには変わりはない。変わりはないけれど、それでも。
数日前までとは、まるで異なる思いをもって。1回戦の地・富山県高岡市へと乗り込んでくることとなるのではないかと。
数日前までとまるで異なるというのは、プロクラブとして受けて立つ側のカターレもまた、同様。
神戸がターンオーバー編成だっただの、主力を欠いていただの言ったところで。
カターレ富山がヴィッセル神戸を破った。それは、動かぬ事実。
ただ。
それは大きな祝福であるとともに、呪いにもなり得えます。
可能性として、この1回戦で関西大学に敗れる展開は、あり得ます。
年々大学生のレベルも上がり続け、なかでも強豪校と言われる大学にあっては、ソフト・ハード両面で十二分に充実していることがほとんど。そこいらのアマチュアクラブはもとより、あるいはJ3あたりならば、プロクラブより良い環境というケースもあるのでは。
そんな危険な対戦相手が、プロ撃破を目指して牙を剥く。
たとえ負けてもノーリスク。勝てば下剋上、称賛の雨あられ。
そう、J1クラブを撃破したJ3クラブのように。
ただでさえ。カテゴリ違いの相手との試合が一筋縄ではいかないことは、先の新庄クラブ戦でも思い知っているところ。
それが、実力的にJ3レベルに引けをとらない大学生が相手ならば。そのアップセット危険度というものは、推して知るべしというところでしょう。
もしも、ここで敗れたならば。
J1王者の神戸に勝ったのに、大学生風情にコロッと負けたガッカリクラブーーー先の大金星で爆上げした評価は、地に堕ちることでしょう。
2回戦で待つ神戸にしても、「てめーら、なにやってんだよ!」ってところでしょうか。
追う立場か、追われる立場か。
祝福か、呪いか。
王者を撃破した今だからこそ。カターレ富山の真価が問われます。
延長を含めて120分、さらにPKまで戦った神戸戦から、中3日。ほぼメンバー総とっかえとして臨むこととなるのではなかろうかと。
個人的に期待したいのが新卒カルテットの4人ですが、はたして?
世代的に、関西大学のメンバーで知っている選手も少なくない・・・むしろ、昨シーズンまで京都産業大学で関西リーグを戦っていた西矢にとってみれば、知っているどころの話ではないでしょう。
だからこそ、大学生だからなどと侮る、みくびることは、無いはず。
一方で。
去年までとは違う境遇にいるーーーそのことを十分に自覚し、臨まねば。
今は、職業プロサッカー選手。大学生と同じでは、決してありません。
ファン・サポーターの、地域の期待を背負い、それに応えていかねばならない存在。
ただサッカーが上手いだけ、技術が高いだけでは、プロではありません。
かけられる期待を裏切ってはならない。そう宿命づけられた存在なのです。
まだプロとしてはルーキーイヤーであり、経験は少ないけれど、それでも。
望んだからとて、誰もがプロになれるわけではない。
それこそ神戸のような一流クラブに入って活躍できれば、それに越したことはないでしょうけれど。
J3なら一流ではなく三流のプロでも良いか?良いわけがない。
プロである以上、カテゴリなど関係ない。
求められる要望に、期待に、応えてこそプロ。
今シーズンここまで、プロ選手として実戦に臨むことで見えてきたモノも、あることでしょう。プロになったからこそ、見えてきた景色。
だとするなら。
いかに見知った選手のいる関西大学であろうと。後れを取って仕方ない、そんなことはあってはならず。
逆に。
昨シーズンまで同じ大学生だったけれど。プロに入り、期待を背負って試合に出場、真剣勝負を繰り広げるとは、こういうことだーーーそれを、現大学生に、見せつけるくらいでなければ!
課されたミッション、打倒関西大学からの天皇杯1回戦突破。
それを、若い選手たちを中心に、必ずややり遂げてほしいです。
応援するファン・サポーターの期待に応える快勝でもって。
ある意味では、挑む側であった神戸戦よりも難しい、挑まれる側の関西大学戦。
けれど。
勝てると、勝つと信じて貫けば、必ずや道は拓ける。
神戸撃破なんて、誰もが不可能だと思っていた。
けれど、不可能なんて無かった。
挑戦を跳ね返さねばならない、この1回戦。
たしかにタフなスケジュール。その上油断ならぬ相手。厳しい戦いとなるでしょう。
だからこそ、勝つ!
勝って、カターレの強さをアップデートし続ける。
2回戦で待つ神戸?もちろん、再戦上等。そのためには、それでなくとも地元開催の1回戦。勝たねばならない理由しかない。ならば、勝ちきるまでのこと!
王者撃破は、まぐれなんかじゃない!
強くあれ、カターレ!
プロの矜持を見せつけ、高岡でも例外のないホーム無敗継続を!
富山県代表として、必ずや大阪府代表を撃破せよ!!!
勝って、その先へ!
勝たれ!!!富山!!!!!