『30分で新型インフルエンザの確定診断ができる装置を、東京都臨床医学総合研究所が開発した。従来法では4~5時間かかっている。検査の迅速化で、適切な投薬や発症前治療が可能になるという。 検査はPCRと呼ばれる手法で、人の鼻やのどの粘膜から採取した微量のDNAを、温度の上げ下げで増幅させ、遺伝子のタイプを調べる。研究チームは、温度の上下の時間を省くため、55~95度の3種類の温度が設定された熱板上で検体を回転させるシステムを開発、短時間での増幅を実現した。 その結果、検体の採取から確定診断までを約30分で終了でき、毒性の強弱にかかわる遺伝子や治療薬への耐性の有無も判断可能になった。価格も既存の装置のほぼ半額で、大きさも半分になる。一般病院への設置も容易となり、外来患者や家族の診断への活用が期待されるという。 研究所の芝崎太プロジェクトリーダーは「来年のできる限り早い時期の発売にこぎつけたい」と話す 。』毎日新聞2009年10月2日 18時54分
従来のPCR法による遺伝子は、兵庫県立健康生活科学研究所の健康科学研究センターでは、約6時間で精度の高い結果が得られるため広く普及して来ましたが、それよりも早く30分で新型インフルエンザの確定診断が出来る装置を東京都臨床医学総合研究所が開発して、本当に良かったですね。新しい画期的な検査装置です。ウィルスの毒性の強弱にかかわる遺伝子や抗ウィルス剤への耐性の有無も判断可能になったそうで新型インフルエンザに感染していることが早く分かり、早期診断、早期治療に役立つのではないでしょうか。来年とは言わずに日も早く実用化して下さい。兵庫県立健康生活科学研究所の健康科学研究センターのホームページから、今現在行われている新型インフルエンザのPCR法という遺伝子検査法の資料を掲載させて頂きました。検査作業の様子の写真も新聞にも掲載されましたが、検体の前処理で舞う検査作業で健康科学研究センターの検査技師の皆さんがウイルスに感染する危険性の有る中マスク、手袋、ガウンを着用して安全キャビネット内で真剣に作業されている大変な状況も良く分かると思います。 ※新型インフルエンザの検査法の資料
『インフルエンザの検査には、主に2つの方法があります。1つ目は培養細胞や鶏卵でウイルスを増やして、抗インフルエンザ血清を用いて同定する方法(ウイルス分離法)です。2つ目は、ウイルス遺伝子をPCR法という方法で増やす遺伝子検査法です。この検査法は、ウイルス分離法と比べて約6時間という短時間で精度の高い結果が得られるため、広く普及してきています。
当所では2009年5月からリアルタイムPCR法を用いた遺伝子検査法により新型インフルエンザの検査を行っていますので、その検査の流れについて簡単に紹介します。
1、 検体の受付・前処理
医療機関で採取された検体(患者の鼻腔や咽頭を拭ってウイルス保存培地に浸した綿棒)の患者名や検体数等を確認して検体番号を記入します。検体の一部をウイルス遺伝子(RNA)抽出用の溶液と混合し、残りの検体は再検査用として-80℃で保存します。
ここまでの作業は、ウイルスに感染する危険が伴いますので、マスク、手袋、ガウンを着用して安全キャビネット内で慎重に行います。
ウイルスRNA抽出用の市販の試薬キットを用いて検体に含まれるウイルスRNAを抽出します。
「インフルエンザA型」遺伝子と「新型インフルエンザのH1亜型」遺伝子を2種類検出するため、それぞれの遺伝子に特異的な2種類のプライマーセットおよびプローブを使用します。プライマーセット、プローブ、その他のリアルタイムPCR用試薬と検体のRNA抽出液を加え、リアルタイムPCR装置で遺伝子の増幅を測定します。
検査の結果は、両方の遺伝子が検出された場合、新型インフルエンザ陽性と判定します。インフルエンザA型遺伝子のみが検出された場合は、季節性のインフルエンザの可能性があると判断して、必要に応じてA香港型、Aソ連型のPCR検査を行います。
兵庫県は、県民生活の安全・安心に関わる諸問題への一元的対応を図るため、旧県立健康環境科学研究センターの衛生部門と県立生活科学総合センターを統合し、平成21年4月に『県立健康生活科学研究所』を設置しました。
『県立健康生活科学研究所』には、内部組織として健康科学研究センターと生活科学総合センターがあり、各機能の専門性を発揮すると共に、把握した問題や情報の分析・提供など総合に連携し、総合的な対応を図ります。
当健康科学研究センターは、3部2課からなり、新型インフルエンザ、食品や医薬品による健康被害等の危機管理に対応するため、健康福祉事務所等と連携しながら、危機管理に直接関わる調査研究・試験分析業務を実施しています。 』兵庫県立健康生活科学研究所のホームページより引用。