日ごろ感じていたパチンコの問題点を再認識しました。
日本には約1万2千軒のパチンコ店があるそうです。
パチンコは「20兆円産業」と呼ばれてきました。
最近は少し減って19兆円程の産業規模だそうですが、
それでも農業より大きな産業だというのは異常です。
パチンコ産業が経済成長や雇用に貢献している部分も
多少はあるかもしれませんが、弊害も多くあります。
年間20兆円のパチンコ代を別の目的に使ったとしても
雇用は生まれるだろうし、弊害は少ないでしょう。
厚生労働省が行った2010年の調査研究の結果によれば、
病的賭博の推定有病率は次の通りだそうです。
・成人男性: 9.6%
・成人女性: 1.6%
先進国の平均が1.5~2.5%とされているので、
男女平均で5%超はかなり多い部類に入ります。
先進国でも異常に高いギャンブル依存症の背景には、
駅前や幹線道路沿いなど至る所にパチンコ店がある、
日本特有の事情があるように思います。
こんなに日常生活の中で気軽にギャンブルができる国は、
ほとんど存在しないと思います。賭け事好きの英国でも、
日本ほどそこらじゅうに博打ができる場所はありません。
ギャンブルといっても、パチンコ・パチスロだけではなく、
競輪や競馬、宝くじなど、いろんな賭け事がありますが、
依存症の8割はパチンコというデータもあります。
無くならないのが、パチンコ屋の駐車場でよく起きる、
子どもの車内放置による死亡事故です。
2004年以降だけでも12件の死亡事故が起きています。
炎天下に子どもを放置したら危ないのはわかっていても、
それでもパチンコがやりたいという病的な依存症です。
ギャンブルの中でも特にパチンコ(パチスロ含む)が、
社会的なコストが大きく、弊害が多いようです。
被災地でもギャンブル依存(特にパチンコ依存)が増え、
社会問題になってしまっているそうです。
仕事もなく、不安な心理状態なのに、お金はあるので、
ついついギャンブル依存になってしまうケースが多く、
被災地の復興を妨げている要因になりかねません。
またパチンコ屋の近くには、サラ金のATMが多いように、
借金してまでパチンコにお金を費やす人が多いです。
そのために自己破産したり、自殺する人も多いです。
そろそろ政治もギャンブル依存とその社会的コストを考え、
真剣に対策を取る時期に来ているように思います。
韓国はパチンコに似た「メダルチギ」を全廃しました。
最盛期には1万5千軒もあったのに廃止しました。
パチンコが社会問題になったため廃止したようです。
韓国のように一度にパチンコを全廃するのはムリでも、
タバコのように少しずつ減らす方向を目指すべきです。
例えば、私が考えているのは、次のような措置です。
1)パチンコのテレビCMや新聞広告に規制をかける。
タバコの広告並みに抑制的な広告だけしか認めない。
2)競馬や競輪の場合は、多額の国庫納付金を納めており、
それが採算性を悪化させている。
同様に、パチンコに高率の税を課し、競争力を弱める。
3)パチンコ店の新規出店は原則禁止とする。
4)パチンコをやるためには、IDカードが必要な制度を創設し、
依存症の人には、IDカードを発給しないようにする。
ついつい行きたくなるが、本当はやめたい人に対しては、
事前登録制のいわば「自己禁止」ができる制度にする。
パチンコの社会的コストを考えると国政レベルでも、
きちんと議論を始めてもよい時期だと思います。
*ご参考:古川美穂著「ギャンブル大国ニッポン」
岩波ブックレット、2013年