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千葉大病院、新型コロナ患者受け入れで経営悪化 第2波懸念「病院だけでは乗り越えられない」
2020/06/14 10:38千葉日報
千葉大病院、新型コロナ患者受け入れで経営悪化 第2波懸念「病院だけでは乗り越えられない」
千葉日報
(千葉日報)
新型コロナウイルスの患者を受け入れてきた千葉県内医療機関で、経営状況が悪化している。千葉大病院(千葉市中央区)では院内感染を回避するため外来患者の受け入れを減らし、感染防止対策で使用できる病床数を間引いたことなどが減収につながった。県内での感染は落ち着きを見せているが、横手幸太郎院長(57)は第2波の恐れについて「全く油断できない状況」と説明し、病院への支援拡充を訴え、一般の人には感染対策の再徹底を求めている。
同病院は、県の要請を受けて新型コロナ患者の入院治療を進めてきた。当初は人工呼吸器が必要な中等症以上の患者を受け入れる予定だったが、県内で態勢が整わず4月まで軽症者も治療。ピークとなった4月下旬には同時に約30人を治療し、計50人以上が入院した(今月12日時点の入院者は2人)。
減収は新型コロナ患者の病室を確保するために、一般患者の入院を制限したことなどが要因。4月の収入は昨年同期比約2億6千万円減の約26億8千万円となった。2病棟に48床ずつ計96床のベッドを用意したが、患者同士の間隔を空けたり、感染防止対策としての区分け「ゾーニング」を行ったため、実際に稼働できたのは半分だけだった。
常に48床以上のベッドを使用できない状況が続き、一部の一般入院患者を受け入れられなくなり、本来得られるはずの収入がなくなった。同病院では、1床当たり1日約10万円の収入があったが、多くを失うことになった。
同病院では第2波に備え、今後も新型コロナ患者用の病床を確保する。6月以降は暫定的に1病棟に減らして運用するが、稼働しないベッドを抱え続けることになる。県が空き病床を1床確保するごとに1日換算で1万6千円支給する支援策を立ち上げたが、損失を補うには至らない。
院内感染のリスクを下げるため、外来患者の受け入れや手術数も減らした。外来患者は約2割落ち込み、急を要さない手術も見合わせた。また、新型コロナ以外の入院患者や体調不良を訴える職員のPCR検査を独自で行ったことも痛手となった。
これまでの対応について「キャパシティーぎりぎりで肝を冷やす時もあったが、職員の懸命な頑張りと先手先手で動いて余力を残せた」と横手院長。ただ、マスクやガウン調達に職員が奔走したこともあり「私たちの使命は患者に医療を提供すること」と指摘し、治療に専念できるように安定的な医療物資供給体制の確立も訴える。
懸念される第2波には「再びスタートラインに立てるよう、病院の努力だけでは乗り越えられない減収をサポートしてほしい」。ウイルス根絶は難しく「いったん収まって見えても、3密に注意して自分と周囲の健康を守ろうと再認識してほしい」と呼び掛けている。