新型コロナウイルスの流行で一時は深刻だったマスク不足だが、最近はドラッグストアなどの店頭でも品切れは少なくなった。一方で、すでに大量にマスクを買い置きしているという人には気になる情報もある。不織布マスクの「消費期限は3年」というのだが、果たして事実なのか。

 アパレルやスポーツメーカーなどが開発合戦を繰り広げるなどマスク市場への参入が相次ぐなか、ツイッターなどで話題になっているのは、不織布マスクを長期保管した場合のフィルター機能について、「3年ほどしか効果を持続できない」という趣旨の記事だ。

 一般的に不織布マスクは、フィルターの網目が細かいためにウイルスを捕集できるだけでなく、帯電加工を施すことなどによっても捕集機能を高めている。

 長期保管すると、こうした効果が失われてしまうのか。マスクを製造する企業も多く会員に加盟している日本衛生材料工業連合会(日衛連)に聞いてみると、担当者は「加工が不十分であればフィルター機能を失う可能性があるが、使用期限は設定していない。基本的に長期間保管した後に利用しても機能に問題はない。誤報ではないだろうか」と困惑する。

 一方、耳にかけるゴムの劣化は避けられないといい、劣化したマスクを着用すれば、口や鼻に密着せず、本来の機能を果たさないとしている。

 同様の質問を大手日用品メーカーのユニ・チャーム広報室にしたところ、「高温多湿な場所や直射日光の当たる場所で保管した場合、品質を維持できない可能性がある。そのための目安として3年を考えていただきたい」との回答だった。

 ただ、「フィルターの帯電効果は、多少効果が落ちても使えなくなるレベルになるわけではない。人によって保管状況は大きく異なるため、いずれの場合もマスクの状態を確認してからご使用いただきたい」(広報室)と説明する。

 そもそも新型コロナウイルスの場合、マスクは感染者のしぶきが飛んで周囲の人に感染させないように着用するのが基本だ。製品に記載されている保管方法さえ正しく守れば、神経質になりすぎることはなさそうだ。