Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ラスト・コンサート

2010-01-17 | 映画(ら行)

■「ラスト・コンサート/The Last Concert (Dedicato A Una Stella)」(1976年・イタリア=日本)

監督=ルイジ・コッツィ
主演=リチャード・ジョンソン パメラ・ヴィロレッジ リカルド・クッチョーラ マリア・アントニエッタ

 この映画は公開当時「泣ける!」とやたら評判になっていたのをうっすらと覚えている(何せ小学校高学年だったからなぁ)。NHKFMの映画音楽番組でこの主題曲を聴いたときに、いい曲だけど、映画は「難病もの」で悲しいお話と聞いているのに、妙に明るい曲だなぁ・・・と違和感を感じたものだった。以来、観る機会がずーっとなかったが、TSUTAYAの100円レンタルの棚にあった・・・。思わず借りてしまった。

 いやぁ・・・40歳過ぎた男子がこれを観ると、パメラ・ヴィロレッジがマジで天使に見える!(笑)。挫折して落ちぶれた音楽家リチャードが、偶然知り合った17歳の女の子ステラ。彼女は白血病に冒されて余命数ヶ月・・・。彼女は屈託のない笑顔で、彼に近づいてきた。よくしゃべるしつこい小娘を、最初はうっとおしく思ったが、次第に二人はお互いに欠かせない存在になっていく。なついてきた野良猫を追い払うみたいに、「私はこっちに行く。おまえはあっちに行け。」と言うリチャードのあしらい方が面白い。そしてステラの励ましでリチャードは自身の作品で演奏会を開くことに。ところが、ステラには確実に病魔が迫っている。

 二人の登場人物に絞れるだけ絞ったストーリーの展開で、他の登場人物はほとんど絡まない。しかも二人の心情を表現するために、今の映画ならグッとくる粋な台詞を並べ立てるところなんだろうけど、この映画で語られる愛の言葉は必要最小限。そんな行間を埋めるように、二人の表情が無言で愛を伝えている。探していた父親を見つけ出したステラが、子供と戯れる姿を見て何も言えずに立ち去る場面(ここも一切台詞なし)。そしてその後暗い道で、ステラを待っていたリチャードのはにかんだ笑顔が実にいい。その後の展開も台詞は極めて少なく、映像で心情を読み取る演出。リチャードからの電話に出ずに黙って立ち去ろうとするステラ。くーっ、なんて健気なんだ。今ドキいるのか、こんな17歳。

 この映画は日本の資本で製作されている映画。日本人って「難病もの」に弱い。特に70年代がそうだった気がする(「赤い」シリーズのせい?)。でも単なる難病・悲恋ではなくて、残されたリチャードにしっかりと愛と希望を託しているから、ラストシーンは悲しくも美しい。撮影当時リチャード・ジョンソンは40代後半だったそうだ。そんな彼が笑顔の素敵な女の子に励まされ、叱咤され、立ち直るストーリーは、なーんか中年男である僕らに勇気をくれるし、夢をくれるよね(こら)。




コメント (2)
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