■「ルーヴルの怪人/Belphegor」(2001年・フランス)
監督=ジャン・ポール・サロメ
主演=ソフィー・マルソー フレデリック・ディフェンタール ミシェル・セロー
ルーヴル美術館の全面協力で撮影した、とのことなのだが、映像自体はゴージャス?と聞かれたらそんなことはなく、セットかと思うくらいにショボい。「モナリザ」も一応映るんだけどありがたみは今一つ。これを観てルーヴルに来てもらおう!という意図があったんだろうけど、こんな見せ方ではそそられません。出し惜しみという気さえした。ソフィーのインタビューと一緒に「エル」誌に載っていたルーヴル美術館でのフォトセッションの方が、よっぽど雰囲気があった。
最初からネタが割れているから、さぞ事件解決までのプロセスが面白いんだろうと思ってたら、さにあらず。ダニエル・トンプソンのシナリオは、随所に面白くなりそうな仕掛けがあるのだけれど、これが全く生かされていない。イギリスから来たジュリー・クリスティー扮する考古学者は、館長と旧知の仲のようだし、食事に誘う場面も出てくる。一方事件解決の為にやって来たミシェル・セロー扮する刑事とも音楽の話を通じていい仲になりそうだった。そんな三角関係も中途半端だったし、精神病院の病棟でソフィーが語るおばあちゃんのお話も尻切れで終わっている。何だい、これは。原作はフランス往年のTVシリーズだそうで、それを現代風に形を変えて語り継ぐ為のリメイク。気持ちだけはわかりますけど・・・。
さて、我らがソフィー・マルソー。「ラ・ブーム」好きには期待どおりの”お婆ちゃんっ子”の役柄。ますます美しかったし、ちょっとだけバックヌードのサービスもあり。貴方が彼女を観るために劇場に足を運ぶのでなければ、また貴方が熱烈なルーヴル美術館ファンでなければ、あまりお薦めはできないかも。この時期他に観る映画はあるでしょう。
★
この文章を書いたのは2002年。ソフィー・マルソーは作品に恵まれないよなぁ・・・と思うことがしばしばあるが、これはその最たるものかも。淀川長治センセイの教えを守って、最近はあんまり映画をけなさない僕ですが、この映画には当時よっぽど不満だったんでしょうな。感想にも書かれているように、「ELLE」誌に掲載されたフランス女優の特集の写真はとっても綺麗だったんよね。それで期待が高まっていたのでしょう。