Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

プロメテウス

2012-10-06 | 映画(は行)

■「プロメテウス/Prometheus」(2012年・アメリカ)

監督=リドリー・スコット
主演=ナオミ・ラパス マイケル・ファスベンダー シャーリーズ・セロン イドリス・エルバ

リドリー・スコット監督が人類の起源に挑むSF大作・・・ということで予告を観た時から、興味をそそられていたのだが、こういうオチが待ってるとはね・・・。言うならば「エイリアン・ビギンズ」とでもタイトルを付けたくなるようなお話。思えば「エイリアン」第1作はH・R・ギーガーが創造したクリーチャーが強烈なインパクトだっただけに、エイリアンに滅ぼされた(?)生命体や文明のことは何一つ語られず謎のままだった。そして大作映画好きな監督の手による2作目ではクリーチャーが大増殖。おどろおどろしいものが大好きな監督の手による3作目では犬に寄生したり、リプリーに子を宿したり。そしてフランスから来た不思議ちゃん監督の手による4作目ではリプリーのクローンからクリチャーが大復活。そして今回、リドリー・スコット監督は1作目の世界観を改めて語り直す作品であった。中学生の時観て震え上がった1作目・・・大嫌いなのにほぼ劇場で観ている僕、もはや因縁。でも今回はそんな話とは知らなかった。

僕が期待したのはコピー通り"人類の起源"に迫るお話だった。古代文明の壁画に描かれた共通のサイン。そりゃ、あれを発見すれば行ってみたい、創造主(?)を探してみたいと思うのも当然だろう。進化論を否定する前半の展開はそれはそれで面白かった。種の起源に至ろうとする人類の欲望の象徴とも言えるスポンサーである企業経営者にも驚かされる。人類が起源に迫ろうとすることは、神に近づこうとすること。ギリシャ神話でプロメテウスが人間を高めようとしてゼウスの怒りを買ったように、物語の結末は悲劇が待っている。アンドロイド、デビッドの行動が今ひとつ理解できない。一人だけすべてを既に知っていたかのような行動や、何故破滅を導くような行為をしたのか。あれがなかったらあのイカのような生命体が、遺伝子の融合で人間のような手足をもつ生物にはならなかったかもしれないし・・・。それでも迫力ある映像を楽しめたことはよかったのでは。あの手術台のシーンはもう観たくないな。

見え隠れする「エイリアン」の小ネタにあれ?と思う中、次々に記憶が脳の片隅から呼び起こされる。それは(嫌いだけど)あのシリーズと同時代の僕らだから楽しめたこと。「エイリアン」を知らない世代が観る「プロメテウス」はどう映るのだろう。そうか、あれはヘルメットだったのか。でも思う。リドリー・スコット監督が意図したのは、今ハリウッドで流行ってる単なるリメイクだらけの"リトールド"とは違うはずだ。新たな世界観とそこに込められた意味を正しく理解するには、クリーチャーが活躍するこの映画の2時間だけでは、ちょっと不足しているようにも思えるのだが。

映画ファンとして嬉しかったのは、アンドロイドのデビッドが「アラビアのロレンス」を観て気に入っているというところ。素晴らしい。



コメント
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