Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

写真甲子園0.5秒の夏

2020-04-02 | 映画(さ行)






◾️「写真甲子園 0.5秒の夏」(2017年・日本)


監督=菅原浩志


主演=笠菜月 中田青渚 甲斐翔真 萩原利久 河合我聞 秋野暢子




北海道東川町で毎年開催される全国高等学校写真選手権大会、通称「写真甲子園」。カメラメーカーの工場がある訳でもないが、写真で町おこしを始め、20年続く大会だそうだ。ブロック予選を勝ち抜いた全国18校が頂点を競う。映画は大阪代表の明るい女子3人と、やっと部員を集めて初参加する東京の進学校の3人を軸にひと夏の青春群像が描かれる。物事に真剣になる若者の姿って素敵だ。




菅原浩志監督はデビュー作「ぼくらの七日間戦争」以来、青春映画が多かった人でもある。それぞれのエピソードは短いながらも、登場人物それぞれのキャラクターが描かれていて無駄がない印象。そしてこの映画自体は北海道東川町の町おこしムービーの性格を持ちながらも、決して過剰なPRに偏らず、高校生たちの成長物語としてもバランスがとれていると思った。さらに顧問である教師二人を通じて、偏差値偏重の方針、部活動指導、外部からのクレーム、現場に押しつけられる責任といった、ビターな大人たちの事情も織り込まれており、単なる青春映画で終わらせない。




残念なのは、映像に不自然に文字を挿入する加工。舞台となる学校名や、大会初日から選手たちに課題として出される撮影テーマが、どデカく建物に映し出されたりする。写真部の選手たちはトリミングもエフェクト加工もダメと言われているのに、センスのなさを感じてしまう。あとはもっとキャラクターに深く迫って欲しかったかな。




千葉真一演ずる家具職人が主人公に語る過去の大会のエピソードは泣かせどころのひとつで、どこまでも続く美しいひまわり畑とフィルムカメラを手にした少女の映像は強く印象に残る。また、実際の大会にも参加している審査員の立木義浩氏や竹田津実氏が、学生たちの作品への講評として写真表現について語る場面は、なかなか聞けないお話だけに見ごたえがある。



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