Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

007/ユア・アイズ・オンリー

2023-09-16 | 映画(た行)

◼️「007/ユア・アイズ・オンリー/For Your Eyes Only」(1981年・イギリス=アメリカ)

監督=ジョン・グレン
主演=ロジャー・ムーア キャロル・ブーケ トポル ジュリアン・グローヴァー

"ジェームズ・ボンドこそ男子の理想"めいた刷り込みをされて育った僕(毎度同じ書き出しですみません😝)。その刷り込みの張本人である父と映画館で007映画を鑑賞する機会が訪れる。それが「ユア・アイズ・オンリー」だった。この頃、わが家では007映画は家族で楽しむ存在になっており、結局父は僕と2人の妹を連れて行くことになる。下の妹は小学生。今思うと、伯爵夫人とのイチャイチャやリン・ホリー・ジョンソンがベッドにもぐりこむ場面なんて、親父殿は内心気まずい思いをしていたのではなかろうかw。

とは言え、大風呂敷広げた前作と違って、本作はアクション中心の原点回帰が魅力の作品。イアン・フレミング原作のうち映画化されていない短編いくつかと、他の作品から引用されたシーンが脚本には反映されている。ボンドとメリナが縛られてサメのいる海を引き回される印象的な場面は、「死ぬのは奴らだ」の原作に登場する。

また印象的なプレタイトルは、「女王陛下の007」で亡くなった妻の墓参りをする場面から始まり、ブロフェルドらしき車椅子の男がボンドが乗るヘリコプターを遠隔操作して苦しめる空中アクションへとつながる。従来のファンを唸らせつつ派手な見せ場で楽しませてくれる。続くメインタイトルでは、シリーズ唯一主題歌を歌う歌手が登場する大サービス。この掴みは完璧だと言っていい。

一方でロジャー・ムーアのユーモアあるボンド像は健在で、Qの実験室の怪しげな発明品、懺悔室での進捗報告、オウムが覚えた言葉で事態が進むお気楽な展開は、ハードなボンド像を期待したファンには気持ちが萎えてしまうところかも。ボンドに危機が訪れるのはお約束だとしても、ここまで次から次へと途切れなく刺客がやって来るのは、映画の緊張感が持続するためにはアリなんだろうが、盛り過ぎのような気もする。

さて。高所恐怖症の僕にとって、クライマックスのメテオラのロッククライミングはこの映画最大の難所のはず。でも、トム君映画と違ってわが身がそこにいるかのような臨場感とは違う。絶壁にぶら下がってるボンドを遠目に見ているショットがほとんどなので、今回観ても平気だった。「ラピュタ」の方がよっぽど手に汗握る(だから更年期なんだって😒)。

バイクやラストシーンに登場する時計など、日本製品が登場するのも、東西冷戦の描写も、1980年代前半の空気を感じさせる。音楽を「ロッキー」のビル・コンティが担当しているのも特筆すべきポイント。ホーンセクションが印象的な派手めの劇伴が多く、ギリシャの民族音楽の使われ方もいい。そしてキャロル・ブーケがとにかく麗しい。わが妹が歴代ボンドガールでいちばん憧れるのは、キャロル・ブーケだと言う。初めて映画館で見たボンド映画だもんな。





コメント
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