◼️「007/私を愛したスパイ/The Spy Who Loved Me」(1977年・イギリス)
監督=ルイス・ギルバート
主演=ロジャー・ムーア バーバラ・バック クルト・ユルゲンス キャロライン・マンロー
小学校高学年で007映画を初めて観て、ジェームズ・ボンドこそ男子の理想像めいた刷り込みをされて育った。じゃあ小学生当時最新のボンド映画新作を映画館で観られたか、というとそうではなかった。大人のエンターテイメントである007映画で、しかもその当時の新作は「私を愛したスパイ」だよ。男と女のイチャイチャはお約束だ。さすがに小学生男児が映画館で観るには早すぎる。特に母親が性に関わる作品には目を尖らせていた。永井豪のコミックを没収されたこともある(「キューティーハニー」のレビュー参照)。
後で知ることだが、中学生以下には成人の同伴が必要とされるレーティング「一般映画制限付」が1976年に導入されている。その頃はこうした面にピリピリしていたのだろう。小学校の職員室の掃除当番だった僕は、先生向け掲示板に指導用と思われる通知が貼ってるのを見たことがある。ジョン・トラボルタの「グリース」は「中学生からが望ましい」と書いてあった。そんな風潮だもの、「私を愛したスパイ」が10代前半のガキんちょに許されるはずがない。
しかし世はスーパーカーブーム真っ只中。ボンドカーがロータスエスプリで、しかも水陸両用で潜航できて、ヘリを撃ち落とすミサイルまで搭載。これを観なくてどうする。しかし、男子小学生がこれを観るまでには、月曜ロードショーが放送してくれる数年後を待つことになる。
坊や、もう少し大きくなったらね
とバーバラ・バックに言われた気がした(妄想です)w。
2022年2月に久々の鑑賞。世界各地のロケ地風景も豪華だし、お話のスケールもデカい。悪役ストロンバーグの根城である巨大施設、殺し屋の巨漢ジョーズ。ソビエトのスパイを演じるバーバラ・バック、セクシーなキャロライン・マンロー姐さま。とにかく映画としてゴージャス。オープニングの派手なスキーアクションからとにかく派手。確かに楽しい。そりゃヒットもするさ。東西冷戦の緊張が緩和されてきた時期に製作された映画だけに、ソビエトとの共同作戦が盛り込まれたのは時代の空気の反映でもある。
今回改めて観たが、なんかノレない自分がいる。この頃から悪役がデーンと構えて悪だくみする人になって、ボンドとクライマックスで決闘するような展開がないのが理由の一つ。その傾向はこの後しばらく続くことになる。本作でそこを埋めるアクション要員としてジョーズことリチャード・キールが起用された。次の「ムーンレイカー」にも登場する人気者になる。仕掛けばかり大きくなって、ボンド本人の活躍にどうもワクワクできなかった。それは今観ても同じで、バーバラ・バックに男性として迫るところばかりが印象に残る。まさに大人向けのエンターテイメント。そりゃ小中学生向け映画にはならないよね(笑)。
僕がこの映画で気に入っているのは音楽。マービン・ハムリッシュが担当しているシリーズ唯一の作品なのだが、劇伴がオーケストラあり、ビートの効いた楽曲あり、アラビアンなアレンジのダンス曲ありとバラエティに富んでいてサントラを聴くのも楽しかった。そして、カーリー・サイモンの主題歌 Nobody Does It Betterが絶品。シリーズ全主題歌の中でも特にお気に入りの一曲なのだ。
エンドクレジットでは「James Bond will return in For Your Eyes Only」になってる…。実際は次の次。
後で知ることだが、中学生以下には成人の同伴が必要とされるレーティング「一般映画制限付」が1976年に導入されている。その頃はこうした面にピリピリしていたのだろう。小学校の職員室の掃除当番だった僕は、先生向け掲示板に指導用と思われる通知が貼ってるのを見たことがある。ジョン・トラボルタの「グリース」は「中学生からが望ましい」と書いてあった。そんな風潮だもの、「私を愛したスパイ」が10代前半のガキんちょに許されるはずがない。
しかし世はスーパーカーブーム真っ只中。ボンドカーがロータスエスプリで、しかも水陸両用で潜航できて、ヘリを撃ち落とすミサイルまで搭載。これを観なくてどうする。しかし、男子小学生がこれを観るまでには、月曜ロードショーが放送してくれる数年後を待つことになる。
坊や、もう少し大きくなったらね
とバーバラ・バックに言われた気がした(妄想です)w。
2022年2月に久々の鑑賞。世界各地のロケ地風景も豪華だし、お話のスケールもデカい。悪役ストロンバーグの根城である巨大施設、殺し屋の巨漢ジョーズ。ソビエトのスパイを演じるバーバラ・バック、セクシーなキャロライン・マンロー姐さま。とにかく映画としてゴージャス。オープニングの派手なスキーアクションからとにかく派手。確かに楽しい。そりゃヒットもするさ。東西冷戦の緊張が緩和されてきた時期に製作された映画だけに、ソビエトとの共同作戦が盛り込まれたのは時代の空気の反映でもある。
今回改めて観たが、なんかノレない自分がいる。この頃から悪役がデーンと構えて悪だくみする人になって、ボンドとクライマックスで決闘するような展開がないのが理由の一つ。その傾向はこの後しばらく続くことになる。本作でそこを埋めるアクション要員としてジョーズことリチャード・キールが起用された。次の「ムーンレイカー」にも登場する人気者になる。仕掛けばかり大きくなって、ボンド本人の活躍にどうもワクワクできなかった。それは今観ても同じで、バーバラ・バックに男性として迫るところばかりが印象に残る。まさに大人向けのエンターテイメント。そりゃ小中学生向け映画にはならないよね(笑)。
僕がこの映画で気に入っているのは音楽。マービン・ハムリッシュが担当しているシリーズ唯一の作品なのだが、劇伴がオーケストラあり、ビートの効いた楽曲あり、アラビアンなアレンジのダンス曲ありとバラエティに富んでいてサントラを聴くのも楽しかった。そして、カーリー・サイモンの主題歌 Nobody Does It Betterが絶品。シリーズ全主題歌の中でも特にお気に入りの一曲なのだ。
エンドクレジットでは「James Bond will return in For Your Eyes Only」になってる…。実際は次の次。