Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ゴースト/ニューヨークの幻

2024-11-21 | 映画(か行)


◼️「ゴースト/ニューヨークの幻/Ghost」(1990年・アメリカ)

監督=ジェリー・ザッカー
主演=パトリック・スウェィジ デミ・ムーア ウーピー・ゴールドバーグ トニー・ゴールドウィン

1990年に大ヒットを記録した、ジェリー・ズッカー監督のファンタジー。80年代までは「裸の銃を持つ男」とか「フライングハイ」とか、おバカ映画撮ってた人がどうしちゃったの?。でも世間があんまり騒ぐから、ハリウッド大作を避けていた僕も映画館に足を運んだ。映画館には放課後の女子高生がいっぱい。オレ場違い?と勝手に思ってしまうくらい。早く暗くなって上映始まらないかなー。

同棲中のカップル(デミ・ムーアとパトリック・スウェィジ)のイチャイチャをまずこれでもかと見せつける。多くの映画に真似されている名場面の一つだ。「愛してるわ」と相手への気持ちを常に示す彼女に対して、彼は「同じく」と答える。日本語で言えば「同上」「〃」にあたる表現なんだろう、彼女は「愛してる」を聞けなくて不満で仕方ない。そんな矢先に暴漢に襲われて彼は死んでしまう。自分にすがって泣く彼女の姿を見て、自分が死んだことに気づく。

成仏しきれない彼は、自分が死んだ本当の事情を知ってしまう。どうすることもできないと苦しむ中、偽霊媒師オダメイ(ウーピー・ゴールドバーグ)に出会うが、なかなか理解してもらえない。しかし地下鉄に住むゴーストたちから、ものを動かす方法を教えられた彼は復讐を考え、そして彼女と再び触れ合いたいと思うようになる。果たしてその行方は。

特撮は「スターウォーズ」のリチャード・エドランド。特撮ばかりが売りの映画がたくさんあった80年代を経て、コテコテの恋愛映画なのに特撮がすごいというのは画期的。それはストーリーがその映像技術を駆使できるだけの内容だし、どうなる?とハラハラさせる複数の要素がある面白さを備えているからだ。

白人の美男美女と協力する黒人女性という、いかにも伝統的なハリウッド映画の体裁。しかもウーピー・ゴールドバーグは、この映画のコメディリリーフでもある。今の感覚なら、そのキャスティングだけで嫌う人もいるかもしれない。しかしこの映画のウーピー・ゴールドバーグの芸達者ぶりがなければ、この映画はこんなにヒットしなかっただろう。主役二人の役名は映画館を出る頃には忘れていた。だけど何故かオダメイは記憶に強烈に焼きついたんだもの。

伝えたくても伝えられない苦しさ。この映画の特殊な状況とは違うけれど、それは恋愛において経験する葛藤。それが叶った瞬間の感激。それを当時最先端の映像技術と、ライチャスブラザーズのUnchained Melodyの美しいメロディで彩った素敵な映画。パトリック・スウェィジのひたむきさとデミ・ムーアの大粒の涙。そして言葉を大切にした脚本のうまさがラストに光る。

コインが壁を伝って上って行く場面で、涙をこらえられなかったよー🥹




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