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◼️「いとこ同志/Les Cousins」(1959年・フランス)
監督=クロード・シャブロル
主演=ジェラール・ブラン ジャン・クロード・ブリアリ ジュリエット・メリエル
ヌーヴェルヴァーグとカテゴライズされる映画監督たち。ゴダールやトリュフォーはそれなりに観ているけれど、クロード・シャブロルは不勉強で、観たのは「主婦マリーがしたこと」と「愛の地獄」のみ。という訳で代表作「いとこ同志」をNHK BSの録画で鑑賞。
法律を学ぶために田舎からパリに出てきたシャルルは、いとこのポールが暮らすアパルトマンで同居生活を始める。遊び人のポールを取り巻くのは怪しげな友人たち、魅力的な女性たち。フロランスに惹かれたシャルルだが、その恋路はポールとその友人に阻止されてしまい、フロランスが加わった奇妙な同居生活が始まる。そして目標としていた試験が迫ってくる。
声がデカくてああしろこうしろ指図するポールには、ファーストシーンから嫌悪感。シャルル、とっとと家を出ちまえと思いながら観ていたが、田舎から出てきたばかりで居候してる身で引け目もあっただろうし、ことあるごとにシャルルが口にする母との約束がかなりのプレッシャーだったのは間違いない。フロランスとの一件で傷ついたのもあるし、本屋のオヤジから「女は二の次、勉強だ」とアドバイスされたから、試験勉強に打ち込むシャルルがもう痛々しくって。勉強してるシャルルの背後で、壁一枚挟んで一緒にシャワー浴びてるポールとフロランス。シャルル寄りの目線で観てしまうと、もう残酷以外に言葉が浮かばない。
そんなキツいストーリーの一方で、映像と音楽の使い方が他のヌーヴェルヴァーグ代表作と比べて、ずば抜けてカッコいい。オープンカーの座席にカメラを据えて街に繰り出す撮影は、シャルルにとって初めてのパリを華やかに印象づける。ゴダールも「はなればなれに」で同じことをやっていたけれど、「いとこ同志」は編集もよくてカメラがストリートに出たことの躍動感が感じられるのだ。さらにポールの部屋での乱痴気騒ぎ場面では、カメラが360度回って部屋の人物たちをくまなく映し出す。浮かれ騒いでいる者、そうでない者、ワンカットで見せてしまう。フロランスが日光浴する場面の光の加減とか見とれてしまう。撮影はアンリ・ドカエ。
ポールがレコードをかけるモーツァルト、ワーグナーの使い方が見事。「地獄の黙示録」でも印象的なあの曲が流れる場面は、シャルルを精神的に追い詰めるかのようだ。ミシェル・ルグラン楽曲をズタズタに切り裂いて使うゴダールとは違い、音楽の使い方に愛とセンスがある。衝撃的なラストシーンでも音楽の使い方が素晴らしい。ターンテーブルにカメラが寄っていくカッコいい幕切れにはシビれた。
登場人物それぞれにイライラさせられたが、映像と台詞と音楽には大満足。
法律を学ぶために田舎からパリに出てきたシャルルは、いとこのポールが暮らすアパルトマンで同居生活を始める。遊び人のポールを取り巻くのは怪しげな友人たち、魅力的な女性たち。フロランスに惹かれたシャルルだが、その恋路はポールとその友人に阻止されてしまい、フロランスが加わった奇妙な同居生活が始まる。そして目標としていた試験が迫ってくる。
声がデカくてああしろこうしろ指図するポールには、ファーストシーンから嫌悪感。シャルル、とっとと家を出ちまえと思いながら観ていたが、田舎から出てきたばかりで居候してる身で引け目もあっただろうし、ことあるごとにシャルルが口にする母との約束がかなりのプレッシャーだったのは間違いない。フロランスとの一件で傷ついたのもあるし、本屋のオヤジから「女は二の次、勉強だ」とアドバイスされたから、試験勉強に打ち込むシャルルがもう痛々しくって。勉強してるシャルルの背後で、壁一枚挟んで一緒にシャワー浴びてるポールとフロランス。シャルル寄りの目線で観てしまうと、もう残酷以外に言葉が浮かばない。
そんなキツいストーリーの一方で、映像と音楽の使い方が他のヌーヴェルヴァーグ代表作と比べて、ずば抜けてカッコいい。オープンカーの座席にカメラを据えて街に繰り出す撮影は、シャルルにとって初めてのパリを華やかに印象づける。ゴダールも「はなればなれに」で同じことをやっていたけれど、「いとこ同志」は編集もよくてカメラがストリートに出たことの躍動感が感じられるのだ。さらにポールの部屋での乱痴気騒ぎ場面では、カメラが360度回って部屋の人物たちをくまなく映し出す。浮かれ騒いでいる者、そうでない者、ワンカットで見せてしまう。フロランスが日光浴する場面の光の加減とか見とれてしまう。撮影はアンリ・ドカエ。
ポールがレコードをかけるモーツァルト、ワーグナーの使い方が見事。「地獄の黙示録」でも印象的なあの曲が流れる場面は、シャルルを精神的に追い詰めるかのようだ。ミシェル・ルグラン楽曲をズタズタに切り裂いて使うゴダールとは違い、音楽の使い方に愛とセンスがある。衝撃的なラストシーンでも音楽の使い方が素晴らしい。ターンテーブルにカメラが寄っていくカッコいい幕切れにはシビれた。
登場人物それぞれにイライラさせられたが、映像と台詞と音楽には大満足。