■「ロック・オブ・エイジズ/Rock Of Ages」(2012年・アメリカ)
監督=アダム・シャンクマン
主演=ジュリアン・ハフ ディエゴ・ボネータ トム・クルーズ キャサリン・ゼダ・ジョーンズ アレック・ボールドウィン
80年代の洋楽は、今どきはどうも笑いの対象に見られがち。ファッションも髪型もPVもド派手なMTV時代。ジョン・ボン・ジョヴィでさえ、子供にその頃の自分の映像を見せないようにしてるんだとか。いや確かに変わった時代でしたよ。白塗り少年やら、爆発したよな髪型やら、ホラー映画のようなPVやら、大義を掲げて大勢で集まったり、スゴ腕のメンバーなんだけどやたらポップな曲やってたりとか。他の時代にはなかったバブリーな雰囲気。そんな時代真っ只中、僕らはビルボードのチャートが載ってるFMfan片手にラジオにかじりついてたんだゼ。1987年を舞台にしたこのロックミュージカル映画、アメリカでも興収は今イチのようだし、おすぎにゴミ呼ばわりされたらしいし、やっぱり80年代は笑いのネタ。だけど、今もカヴァーされ愛される楽曲が多いのも80年代。音楽の嗜好や方向性が多様化した現代の楽曲で、果たしてこういう映画や舞台が作れるかと言えばそれは無理だろう。同時代でくくるだけで、こんな素敵なエンターテイメントができあがる。スゲぇだろ、80年代!。
物語は田舎町からロサンゼルスに主人公シェリーがやって来るところから始まる。この数分間がまず圧巻。Paradise City~Sister Christian~Just Like Paradiseと続くメドレーに、一気に心は舞台の1987年へ。ロックの殿堂たるライブハウスと、その存続を阻もうとする女性団体との対立が主軸のお話。キャサリン・ゼダ・ジョーンズ扮する市長夫人がご婦人方を率いてパット・ベネターを歌い、若い主人公二人はフォリナーを歌いながら愛を確かめる。もともとこういう使われ方を想定してないはずなのにしっくりくるのは選曲の妙だし、楽曲の良さ。何よりも話題はロックスター役のトム・クルーズ。僕ら世代はどうしても「トップガン」で下手くそなライチャス・ブラザースを歌うイメージがあるもんで、今回歌手役と聞いて正直マジか?またええかっこしいやん!と思った。カッコいいこと言ってるようで訳がわからない役柄なれど、Wanted Dead Or Aliveを歌う場面などなかなかではないか。出てくる女性の髪型は中村あゆみかボニー・タイラーにしか見えなかったし。
80年代育ちには楽しくてたまらない映画。ジャーニーファンの僕はクライマックスのDon't Stop Believin'に涙しそうになってしまった(恥)。サントラ欲しいー!これは一人で観る映画じゃないね。80年代育ち限定で盛り上がって観たい!できれば「マンマ・ミーア!」のときみたいに歌詞の字幕付きで!