Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

アレキサンダー大王

2023-07-12 | 映画(あ行)

◼️「アレキサンダー大王/Alexander The Great」(1956年・アメリカ)

監督=ロバート・ロッセン
主演=リチャード・バートン フレデリック・マーチ クレア・ブルーム ダニエル・ダリュー

マケドニアのアレクサンダー大王は、世界史の授業で必ず聞く名前だし、大がかりな東方遠征で広大な地域を支配した人物。アニメ好きには、「Fate/Zero」でサーヴァントの一人、征服王イスカンダルとして登場するのでおなじみの存在。本作はリチャード・バートンがアレクサンダーを演じた歴史大作。映画の存在は知っていたが、観るのはこれが初めて。配信もないようなので、なかなか貴重な放送だったのかも。

ハリウッド製歴史大作というと「ベン・ハー」やら「クレオパトラ」をどうしても思い浮かべてしまう。それらのスケール感やアクションを念頭におくと、この映画はどうも見劣りしてしまう。例えばイッソスの戦いシーン。ペルシャ軍の馬車も登場するけれど、「ベン・ハー」の有名なレース場面や、(CG時代と比べてはいけないと思うけれど)「キングダム2 遥かなる大地へ」の疾走感とは違う。走ってきた馬車を歩兵が取り囲んで槍でツキツキ…。戦況を俯瞰する映像は分かりやすいのだが、「プライベート・ライアン」や「ダンケルク」の生々しい戦場を観ている世代には間延びして感じてしまうかも。一方、剣を交える場面はなかなかよい。カイロネイアの戦いで、敵兵に追い詰められた父フィリッポス2世をアレキサンダーが救う場面は、後のストーリーにも絡むいい場面になっている。

この映画は、歴史活劇よりも人間ドラマに主眼を置いているのだろう。父フィリッポス2世と母オリュンピアスの確執と、その板挟みになるアレクサンダーの苦悩と決断が描かれる。フィリッポス2世を演ずるのは名優フレデリック・マーチ。本作の監督ロバート・ロッセンの代表作「オール・ザ・キングスメン」では主役の政治家を演じている。そちらでは権力に溺れてしまう役柄だったが、フィリッポス役も同様に権力に執着する姿が印象的だ。母はフランス女優ダニエル・ダリュー。「8人の女たち」や伯爵令嬢を演じた「うたかたの恋」など気品を感じさせる役が多い人で、本作の気丈な王妃役は他の作品とは違う迫力がある。

ギリシア世界とアジアを結びつける偉業を成し遂げたことは、この映画でも学ぶことができるが、彼を支えた人物たちとの関係が薄味なのはちと残念。「スターウォーズ」EP4のモフ・ターキン役、ピーター・カッシングが脇役で出演。



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笹の葉ラプソディ

2023-07-10 | テレビ・アニメ


雨の七夕🎋。
ふと「笹の葉ラプソディ」を見たくなって配信で見返す。
何度も見てるもんだから、台詞をタイミングよく唱和できる💧
「禁則事項です…」
「あんた名前は?」
「ジョン・スミス」
「16年か、遠いなぁ」

初放送からハルヒが言う16年目がもう少し。朝日奈さんは裁縫が上手になるだろか。ハルヒを中心に世界は回るだろうか。古泉君が望んだ世界平和は実現するだろうか。キョンはお金が増えただろうか。長門が望んだ調和と変革は起こるのだろうか。

時々、無性にSOS団に会いたくなる。




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ブラック・サンデー

2023-07-10 | 映画(は行)

◼️「ブラック・サンデー/Black Sunday」(1977年・アメリカ)

監督=ジョン・フランケンハイマー
主演=ロバート・ショー マルト・ケラー ブルース・ダーン フリッツ・ウィーヴァー

公開が予定されていた1977年。配給会社と劇場宛てに脅迫状が届いた。その影響で劇場未公開となった本作。その後映像ソフトのリリース記念で初めてイベント上映され、2011年の「午前十時の映画祭」で公式に映画館で公開された。パレスチナ問題がこの映画の背景にある。アラブ系テロ組織"黒い9月"が登場し、イスラエルの諜報機関モサドの諜報員がその企みを阻止する活躍を描くストーリーだから、面白くないと思う方々もいらっしゃったということなのだろう。

しかしながら、スーパーボール会場のスタジアム上空で飛行船に積んだ大量のライフルダーツを爆発で隙間なく飛ばして、大量殺人を実行しようとするのは、アメリカ人のブルース・ダーンだ。彼がテロ行為に協力したのは、ベトナム帰還兵としてアメリカ政府に対して抱いていた様々な思いがあるからだ。同じベトナム帰還兵が登場する「タクシー・ドライバー」はこの前年、帰還兵の凄まじい復讐劇を描いた「ローリング・サンダー」は同じ年の製作。「ディア・ハンター」がこの翌年だ。「ブラック・サンデー」はテロ行為を前にしたパニック映画、諜報員のアクション映画との先入観を持たれがちだが、70年代後半から「ランボー」に至るベトナム帰還兵をめぐる映画の系譜と捉えるべきだろう。

映画前半は、組織の生き残り女性を追う諜報員と警察の姿が中心だ。ロバート・ショーが演ずるカバコフ少佐は手段を選ばない諜報員という前置きがあるが、無謀な捜査をする程度しか描かれず、盛り上がるのは入院した少佐暗殺未遂の場面(「キル・ビルvol.1」を連想する私は偏った嗜好?)くらい。少佐や組織の女性ダーリアのそれまでの辛い状況がもっと描かれると分かりやすいのだろうが、説明くさくなるのかも。いや、70年代の男映画はこれくらいがいいんだ。うん。

しかし、ライフルダーツの威力を試す壮絶な場面を挟んで、映画の緊張感は一気に高まる。犠牲となった男性と、壁に開いた無数の穴から漏れる光が、その威力を見せつける。この場面があるから、成功したらどれ程の犠牲者が出るのかを観客はしっかりと認識した上でクライマックスへと突入する。

この時期のロバート・ショーは渋いカッコよさがある。007映画で悪役を演じた頃のシャープさは失われたが、「ジョーズ」の漁師役みたいに経験を積んで傷つきながら生きてきた大人だと納得させる貫禄がある。本作でもそれは然り。

音楽はジョン・ウィリアムズ。80年代に活躍したクリスティ・マクニコルのデビュー作!?と聞くが発見できず。あのスタジアムの群衆にいたのだろうか。






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スチュワーデス・スキャンダル 獣のように抱きしめて

2023-07-08 | 映画(さ行)

◼️「スチュワーデス・スキャンダル 獣のように抱きしめて」(1984年・日本)

監督=小沼勝
主演=藍とも子 田山涼成 よしのまこと 朝吹ケイト 室井滋

懺悔します🙏
メカゴジラの逆襲」を観て、藍とも子つながりでこのにっかつロマンポルノ作品に手を出しました(恥)。

藍とも子演ずるヒロイン美沙子はアシスタントパーサーを務め、後輩スチュワーデスたちからも慕われる存在。彼女たちのオフは、大手商社マンとの合コンなどもっぱら恋人探し。華やかに見える空の仕事とは違って美沙子の日常は翔んでる(死語)ものではなく、日々の不安から怪しげな精神科医に通院している始末。ある日手相占いをする冴えない男性と知り合う。一方後輩たちパイロット合コン相手と乱れに乱れていた。そんな彼女たちは警察は麻薬の運び屋ではないかと疑われ、マークされていた。

エロ目当てで観る方には後輩たちの乱れっ振りが、いろんなバリエーションで面白い。またそれに関係する男たちの色ボケ感がなんとも情けなくって。特に美沙子の精神科医がセラピー中に「離すんじゃないよ」と励ましの声をかけ、手を差し伸べるかと思ったら、差し出すのは…🤣。

全編に漂うなんとも言えないお気楽ムード。短尺の映画ではあるけれど、こんなの観るくらいなら他に観るものあるだろう…と思い始めた。すると映画後半、テキトーなはずの占い結果が違った形で成就する恋の展開が待っている。あー、そうきたか♡。気づくとそこそこ楽しんでいるw。ラストシーン、空港を闊歩しながらカメラに向かった4人の笑顔が素敵。いろいろあるけど笑ってるのが一番よ。

特筆すべきは後輩スチュワーデスを演ずる室井滋。抱き合いながら「長男ですか?」「ご両親と暮らさなきゃいけません?」と質問攻めにするのが笑える。ハイヒールを履いてシャワー浴びるのは危険でしょ!

という訳で、今後は雑念に揺らがず鑑賞作を選べるような映画ファンに戻りたいと思います。…無理かなw




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ゴジラvsビオランテ

2023-07-06 | 映画(か行)

◼️「ゴジラVSビオランテ」(1989年・日本)

監督=大森一樹
主演=三田村邦彦 田中好子 高嶋政伸 高橋幸治

平成ゴジラ"vsもの"第1作「ゴジラvsビオランテ」は、これまでになかった発想の面白さが光る作品。バイオテクノロジー技術の暴走が描かれるのは、当時からすればかなり先進的だ。クローン羊ドリーやヒトゲノムなんてもっと後の出来事だし、しかもゴジラの細胞から人間の手によって新たな脅威が生まれるのがなんとも皮肉な展開。さらに核エネルギーを喰らうバクテリアでゴジラに対抗する発想が面白い。そしてG細胞の設定はその後の作品にも継承される。

ビオランテとの対決が物足りないとか、シリーズに幾度も登場するスター怪獣の魅力には及ばないとの感想もあるだろう。けれどビオランテの悪魔的な造形美は他にない唯一無二のもの。二体に自衛隊の新兵器が絡むバトルも他の作品にはない面白さがある。

けれどテーマを盛り込み過ぎで消化不良の感もある。神をも恐れぬ企業の商魂、三田村邦彦と田中好子の間柄にしても、自衛隊の新旧すれ違いにしても、それぞれの要素は面白いのにどれも後一歩踏み込めない印象。ビオランテを生み出した博士は全く悪びれてない。相楽晴子演ずるテレビのリポーターに悪態をつく。いや、あんたがあれを生み出したんでしょうが。企業も徹底した悪になれないし、古参の自衛官が若手の高嶋政伸を認めてあげるひと言もない。

こんだけあれこれあったのににこやかに言葉を交わす二人だけは印象的だった。
「これからどうする」
「ずっと一緒にいるわ」
「家に帰って寝る」
「私も寝るわ」
田中好子のラストのひと言にドキッとするお父さんいただろなw(考えすぎです)。

ゴジラと通じ合える超能力少女が本作で初登場。序盤で姿を消す沢口靖子は、科学者の娘役。この作品からウン十年、僕らは白衣姿の沢口靖子をテレビで見慣れているだけに(笑)、研究室に登場する場面はあの頃にはない説得力w。関西国際空港がまだ建設予定地として登場することに、時代を感じる。





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メカゴジラの逆襲

2023-07-04 | 映画(ま行)

◼️「メカゴジラの逆襲」(1975年・日本)

監督=本田猪四郎
主演=佐々木勝彦 藍とも子 平田昭彦 大門正昭 内田勝正 

小学生の頃、長期のお休みに映画館に行くとなると、東映まんがまつりと東宝チャンピオンまつりの二者択一が目の前に。さぁー、どっちか連れて行ってやる!と言われたら、東映動画にどっぷりのロボットアニメ世代だし、民放2局の文化的僻地在住だったから、こういう機会でないと観られない作品が上映されてるのは断然東映。ゴジラ観たいよなぁーと思いつつも、チャンピオンまつりをスルーするお子ちゃまでした。てな訳でその時期の新作である「メカゴジラの逆襲」を観るのは今回が初めて。

前作でゴジラに葬られたメカゴジラの残骸を潜航艇が探していたところ消息が絶たれた。ボイスレコーダーに残った「恐竜だ!」のひと言。海洋研究所の一之瀬は、かつて学会を追われた真船博士が研究していたチタノサウルスだと考えた。真船博士の自宅を訪ねたが、玄関に現れた娘桂から父は死んだと聞かされる。しかしその背景には異星人の陰謀が隠されていた。

本作がシリーズワーストの興行収入だったことから、本作を最後にゴジラシリーズの製作は中止。84年の復活を待つことになる。されど面白くないかと言うとそれは違う。2対1と劣勢のゴジラがいかに勝利するかだけでなく、侵略者の企み、謎を追う国際警察と海洋研究所、桂を信じる一之瀬のラブ展開、真船博士の燃える復讐心、そして復活したメカゴジラの勇姿と見どころは多い。人間ドラマパートのシリアスな雰囲気は今の目線だから楽しめたのかな。

真船博士の娘を演ずる藍とも子は、「ウルトラマンレオ」で隊員の一人を演じていた女優さん。彼女がサイボーグ手術される場面では(明らかに不要なのに)フェイクの乳房が出てくるw。お子ちゃまを映画館に連れて行ったお父ちゃんはドキッとしたかも🤣。

それにしてもゴジラが日本に現れる必然性は全く語られない。チタノサウルスが現れたらゴジラが日本に向かってくるし、唐突に二人の子供が「ゴジラ助けて!」と叫んだら現れる。お子ちゃまのヒーローとしてのゴジラは極まった。




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推しの子

2023-07-02 | テレビ・アニメ


全11話完走。原作未読。今、僕の脳内でいろんな困惑が起こっている。その原因は、間違いなく、「推しの子」が掛け値なしに面白いからだ。

あれこれ見てきた今の年齢になってると、映画やアニメやドラマ見ながら、これまで見てきたいろんなものが脳内で勝手に結びついてくる。あれに似てるよね、でも期待を超えない、うーん既視感あるなぁ。大人たちが経験というアドバンテージを振りかざして、作品を評する時に使う言葉たち。逆に共感できず、ヤングの感覚(死語)についていけないと思ったら、おじさんにはわっかんねぇなーと逃げちゃえばいい。大人ってズルい。

僕も最初はこの流行ってるアニメをナメてた。美男美女キャラが出るだけの混みいった話だとしか思ってなかった。ところが初回の90分で度肝を抜かれたのだ。難病ものかぁ、ドライな台詞で笑わせちゃって、えっ?殺人ミステリー?、流行りの転生もの?、喋る不気味なベイビー、ネットの闇、青春、業界の内幕もの、猟奇殺人、そして復讐劇。あらゆる要素がてんこ盛り、目まぐるしく変わる演出テイストと怒涛の展開。僕のおじさんな脳髄がこの「推しの子」って作品をどこかにカテゴライズしようとするのだが、結論を出せずに困っているのだ。そして脳髄はこう結論を出した。

「どれにも似ていない。」

各話でテイストが変わるからそれぞれを深く考え、楽しみ、ケラケラ笑い、シリアスに社会問題を考え、ラブコメにドキドキして、手に汗を握る。1期最終話を終えてドキドキが止まらない。

初回や転生場面前後で使われていた"推しの子"という言葉が、11話の有馬かなのひと言「アンタの推しの子になってやる」で違うベクトルを示された時、背筋に電気が走った。
ああ、そうか、
好きになるってこういうことなんだね
どっかのアニソンの歌詞と同じフレーズが浮かぶw

アクアの冷静沈着なキャラが好き。登場人物それぞれを結びつけ、主軸のストーリーでは探偵役になる。女性陣では有馬かなが好き。自虐と自信と不安と信頼と疑い、そして恋する乙女が同居するめんどくさいヤツ。脇役では少年アクアを早熟と呼ぶ監督がいい。

それにしても恐ろしいのは、YOASOBIが手がけたOP曲「アイドル」。本編とリンクする歌詞、音が飛びまくるメロディを歌いこなすテクニカルなボーカル、1分29秒に怒涛の展開を見せつけるアレンジの凄さ。ルビーのキャッチーな魅力と、アクアの計算づくな思惑が楽曲で同居してるようだ。すげっ。

ちょっと気になるのはストーリー上でのインターネットやSNSの描写。アイが活躍していた時代と現在とで情報技術的な部分の時代の差があまり感じられないところ。いや、そんなところを気にするのはおっさん世代だからかもしれないな。

ともかく2期を座して待つ。
アニメ『【推しの子】』公式サイト

アニメ『【推しの子】』公式サイト

「この芸能界において嘘は武器だ」赤坂アカ×横槍メンゴの豪華タッグが全く新しい切り口で”芸能界”を描く衝撃作、ついにアニメ化決定!

アニメ『【推しの子】』公式サイト

 




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