山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

秋はあけぼの !?

2023-10-24 22:13:30 | 植物

  「春はあけぼの」と清少納言は謳ったが、オラの秋の庭は「アケボノソウ」(リンドウ科)が凛とした姿態を見せていた。それを知っていたら清少納言は「秋はアケボノソウ」と謳ったかもしれない。清少納言「秋は夕暮れ」と日本の美しさを詠じていたけど。

       

 花弁は4枚と5枚があった。花の中央にある雌蕊の柱頭はちょうど開いていた。遠州と信州の境界にある「青崩峠」の近くでこの「アケボノソウ」の群落に出会って、その上品なたたずまいにえらく感動したものだった。それで、2年前に種をプランターに蒔いたもののなかなか花が咲かない。それもそのはず、二年目でないと花は咲かないのが分かった。

         

 花弁の黄緑色は蜜腺だそうだ。ちょうどその蜜を舐めにアリがやってきていた。蜜を舐めまわって花を歩いている間に花粉を運んでもらうという戦略だろうか。さらには、外敵へのガードマン役を期待しているのかもしれない。同じ仲間のセンブリはシベの根元に蜜があり、花弁にあるのは珍しい。

           

 この花弁の模様の黄緑色を月や太陽に、先端の黒色を星にたとえて、背景の黄白色の花弁を空に見立てて、「あけぼの」と命名しているセンスは評判がいい。オラもその控えめな色合いと凛として真っ直ぐ天に向かっている群落に感動したのだった。花ことばは、「きょうも元気で」とか「前向き」とかなかなかポジティブだ。バタフライガーデンの常駐者にしていきたい二年草だ。 

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自然界に青色は希少種

2023-10-18 23:35:44 | 植物

 抜根したチャノキがすっかり枯れてきて、それを焚き木にして久しい。そんな枯れ木の中で見事な青色の枯れ木があった。白や褐色の腐朽菌ならよく出会えるが、青色とは珍しいし美しい。調べてみると、「アイコウヤクタケ(藍膏薬茸)」というキノコの仲間らしい。確かに、青色をした膏薬が枝に張り付いているみたいだ。しかし、コウヤクタケの仲間はまだ半分ほどしかわかっていないという。研究者も少なくその研究では日本は後進国だという。先進国は北欧・ドイツ・フランスというが、山林の多い日本が後進国とはいかにも日本的だ。つまり、経済成長にかかわらない研究には予算がつかないからね。

            

 ちょうどそのとき、畑の隣に植わっていた「クロミノニシゴリ(黒実錦織木)」(ハイノキ科)の剪定をしていたのだった。瑠璃色がだんだん黒色に変わっていく。クロミノニシゴリといえば、ホタルガが毎年やってきて卵を産む。孵化した幼虫はその葉を旺盛に食べて見事な美しい幼虫に育っていく。

     

 以前、サワフタギという木の実を高原の森で発見したことがある。それはまさに瑠璃色の実だった。暗い森の中でそれは衝撃的な色だった。それにそっくりの実がこのクロミノニシゴリだった。偶然にもこの樹が畑の隣にあったのも運命的だ。自然観察に興味を持ったとき、瑠璃色の花や実が少ないのはもとより、動物・鳥類・鉱物等にもそれが少ないのが不思議だった。理由はわからないが。 

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実を数珠にして極楽浄土に行けるとか

2023-09-18 23:02:25 | 植物

 畑の隣の荒れ地に7年ほど前に移植した「フクロミモクゲンジ」(ムクロジ科)が、高木になり実をつけ始めていた。もともとは数十年前、石川植物園に行ったとき、袋状になった中に黒い種子があるのを木の下で見つけた。これは珍しいと注目していた樹木だった。

   

 さっそく幼樹を購入し都会で育てていたが、大きくなりすぎたので育樹を断念した。そしてそのヒコバエを確保して現在のオラの荒れ地に移植したというわけだ。植物園や寺院でしか見ることはない貴重な樹でもある。7・8m以上にならないと、花も実も鑑賞できない。

              (画像は「季節の花300」webから)

 黄色の花は今月上旬に撮影したがピントを大きく外してしまったので、ネットの画像を借用。というのも、花は7・8m以上の所にあるのでその花の見事さは確認しづらいのが残念。亡くなった畏友天野貢氏にもそのヒコバエをあげたら、「やっと花が咲いたよ」と返事があったのも5・6年ほど前だった。

     

 花言葉は、「あなたとともに」ということだが、その花を確保すること自体が難しい。せめて、実が地面に落ち、黒い種子を拾うのがやっとだ。この種子を数珠にして念仏を唱えれば極楽浄土に行けると、謡曲「道明寺」は描いている。これが一番やれることのようだ。晩秋は種拾いが楽しみだが、ムクロジより種が小さいのが難点だ。とはいえ、失敗を重ねつつここ数年前から花や実が成ったことが喜びでもある。わが家のシンボルツリーの誕生だ。

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「砂漠の宝石」がついに開花した!!

2023-06-05 22:56:51 | 植物

  道路際にはみ出て咲いている「松葉ギク」(ハマミズナ科)はをよく見かける。 庭から脱走して野生となったのに違いない。毎年、同じところに咲いているうえに、耐寒・耐熱にも強い常緑性であるのが気に入っていた。ほったらしでも育つ野生児がオイラの路線にはぴったりだった。そこで、早速4鉢のポット苗を購入したのが3年前だったろうか。

    

 それをまずは育てて大きくしてから二年前に挿し木をはじめた。その挿し木で40鉢以上をポットで育てただろうか。三年目にバタフライガーデンの外縁に植え付けてみた。したがって、4年目にそれが一斉に開花したというわけだ。雑草だらけだった外縁に見事に咲き出したのは、台風2号の線状降水帯の大雨にさらされたころらしい。だから、一斉に咲き出したのは全く気が付かなかった。

  

 どういうわけか、親株は絶えてしまっていた。日当たりが悪かったせいもあるようだ。この子孫が一斉に咲いてくれている。いつまでも咲いてくれることを願うしかない。その意味で、原産地が南アフリカだけに「砂漠の宝石」と言われるだけの魅力はある。花色も黄色・橙色・赤・白などがあるようで多様だ。

           (画像は「三河の植物観察」のHPから)

 そういえば、似た植物に「松葉ぼたん」がある。違いが想い出せなかったが、松葉牡丹はスベリヒユ科で全く別物だった。葉は似ているが松葉牡丹の花は丸弁で一日花だ。マツバギクの花は約3週間開花する。見比べて比較するとわかりやすい。どちらも、グランドカバーとして注目していきたい。

 

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樹上より滝降るごとく山の藤

2023-04-26 22:54:19 | 植物

 いつも通る国道沿いの杉林には藤の花がにぎやかだ。むかしは大型連休あたりが満開だったのを思い出す。人工林ばっかりの単色の中にありながら、ひときわ目立つ藤の花に心を奪われる。「樹上より滝降るごとく山の藤」(遊雀blog)の俳句がぴったりの景色だ。くねくねした国道からヤマフジが次々と現れてくる。山が放置されているのが良かったのか。

                        

 そのため、車の運転がつい甘くなりがちだが、車の往来が少ない中山間地なのが救いだ。藤原氏の栄華の象徴でもある藤の花だが、藤は長寿・繁殖力抜群の樹木なので家紋にも多く取り上げられる。

     

 同時に、沢沿いに控えめながら咲いている「ヤブウツギ」の赤紫色も無視できない。一般的なウツギ系の花はほんのりしたピンク色が多いが、このヤブウツギの濃厚な色は原種のような存在だ。太平洋岸に多く、大気汚染にも強い逞しい樹種でもある。花言葉は「優雅」。

 今の季節はしばし、ダイナミックな藤色の「滝」と控えめな濃赤色の「優雅」とを楽しむチャンスだ。大型連休の人ばっかりが集中する観光地にはまったく行く気がしない。身近な自然をじっくり見る連休を推奨したいものだ。年金生活者のやせ我慢かー。 

      

   

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外来種のスミレが野生化

2023-04-12 22:47:52 | 植物

 わが土地にも外来種のスミレが侵入して存在感を増してきた。畑の隣に堂々と華麗な一族の逞しさを誇示する。排除しようとも思ったがなかなかそんな勇気はない。そこで、むしろガーデンの外縁で活躍してもらおうと移植作業を開始したというわけだ。

       

「ビオラ・ソロリア」は、欧米では一般的なスミレの代表格で雑草化している剛健な仲間だ。それが日本にも雄飛してついにわが大地にも降臨したというわけだ。ビオラというくらい花も大きいし葉も光沢もありたくましい。

   

農道の道もすっかり雑草絨毯がひかれ、ちゃっかり白のビオラ・ソロリアが占拠を企んでいた。東海のカルチェラタンはさせじと、当局は排除に向かい一本一本引きはがし、外縁に移植したという顛末となった。

       

 この白いスミレは、「スノー・プリンセス」とも呼ばれたようで、園芸店では人気があったようだ。ちなみに、紫のスミレは「パピリオナケア」、白花で中心が紫の条線があるものを「プリケアナ」と呼ばれた。最近はそれらを総称して「ビオラ・ソロリア」と呼んでいるようだ。

       

 これらのスミレの根っこは、小さなワサビのような根っこ状の根茎を持っているからかなわない。ちょうど、わが道草山に自生するナガバノスミレサイシンの根っこと似ている。そのためか、このビオラソロリアを「アメリカスミレサイシン」とも呼ぶ。

           

 古代ギリシャの女性詩人が恋人とともにこのスミレの花輪を被る描写があり、それが同性愛のシンボルとされたという。それで、1900年代以降、レズビアンの女性が求愛のため本種を贈るようになった。そのため、本種は「レズビアン・フラワー」とも呼ばれるようになったという。

   

 愛の力はゲバルトをもってしても解消できない。わが荒廃地はそうした愛の力が満ち満ちているようだ。また、全草は食用・薬用にも活用され、とくに風邪・頭痛・便秘に効くらしい

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紫木蓮のはずだったが…!?

2023-03-31 21:55:39 | 植物

  10年前くらいだったろうか、ほかの樹の陰にあって枯れそうなシモクレンを救出すべく、移植を施し、数本の挿し木をやってみた。シモクレンの花は濃い紫だった。そんな濃い花を期待していた。しかし、移植したモクレンも挿し木もいずれも花が白っぽく変わっていた。先祖返りでハクモクレンになってしまったのだろうかと疑惑が募るばかりだった。

     

 すぐ近くの隣家に、コブシの大木がある。その影響があるのだろうか。素人はそんな疑問すらぬぐえない。さらには、コブシとモクレンの違いも判らなくなる。コブシは花を放射状に開き雌蕊が見える。しかし、ハクモクレンやシモクレンの花はチューリップ状で雌蕊が見えにくい。なるほど。

 コブシは日本原産だが、モクレンは中国産。モクレンは平安時代に漢方薬として渡来したようだが、似ている日本のコブシをその代用としていたらしい。したがって、「辛夷」(シンイ)と書くと、中国ではモクレンを表し、日本ではコブシを表すとなってしまった。

 昨年10月中旬に撮った実は、なにかに似ていてどうも高貴なブログ?にはふさわしくないと載せていなかったが。漢方薬は花の蕾を乾燥したもので、鼻水・風邪に効くらしい。

           

 ひょんなとき、「サラサモクレン」というのがあるのを知る。つまり、ハクモクレンとシモクレンとの交雑種で、花の色も淡い紫からピンクまでいろいろある人気種だった。このことで、このモクレンは「サラサモクレン」であると判明。この謎解きはこれで一件落着。ホッ。それにしても、白っぽくなったサラサモクレンは見事な大木となり春の到来を告げてくれた。まずは救出は成功と言えるのは確かだ。また、挿し木した4本のモクレンも2mほどに成長し小さな花もつけてくれたのだった。チョンチョン。

            

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茶農家には失敗だが !?

2022-09-26 22:22:39 | 植物

  お茶の花がいっぱい咲いていたが、いつのまにか一斉に落花していた。あわてて、枝を切り取って生け花の「茶花」としてみた。

    

 以前、農協の販売所で乾燥したお茶の花を一袋100円で売っていたので、購入し煎じて飲んでみた。お茶の渋味はなくきわめてまろやかだった。これだけだと物足らないので、ハブ茶と一緒に煎じて飲んでみた。やはりまろやかだった。健康に良さそうだ。

   

お茶の花はツバキ科なので、ツバキの花に似ているが花弁は小さい。葉に隠れるように咲いていて、下を向いて咲いていることが多い。日本的で控えめな花ではあるが画像にするのが難しい。お茶農家にとっては、お茶の花が咲くのは落第なのだ。栄養が花に盗られて茶葉に行かないからだ。これだけ落花した茶畑は近所から笑いものとなる。

          

 そのお茶の花をいつもの投げ込み生け花にする。茶席があればいいんだが。昔の茶農家は、種をまいて繁殖させたが、個体差がありすぎて均一な味にならないので、現在は挿し木で増やしている。ただし、大量生産がこれからの時代に合うのだろうか。個体差が出ている「持ち味」を愉しむ小規模生産では生活できないということ、になってしまうんだね。

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それを食べたら死んじまう!!

2022-09-21 21:58:46 | 植物

 雑草の海と化してしまったバタフライガーデンは、少しずつ草刈りをしてきたものの、植栽してきた樹木は息絶え絶えの状態だ。そんな荒野の中で目立っている雑草は、「ヨウシュヤマゴボウ」(ヤマゴボウ科)だった。いつのまにか、2mくらいの「立派な」高さになっている。付近には20本くらいは茂っていたが、できるだけ抜根したりはしてきた。が、この草本の1本だけを放置してきた。

 というのも、オイラの「少年時代」にはそれが身近な植物だったからだ。それほど原っぱが多かった「焼け跡」の都会だった。これでよく紫色のインクを作っていたのを想い出す。その液が服に付くとなかなか落ちないことがあった。

        

 しかしこの「ヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡)」はきわめて危ない有毒植物で実や根っこはとくに危険。食べると腹痛・嘔吐・下痢症状になり、延髄に作用して痙攣し、死に至る事例もあるというのだ。それでも、原産地北米の先住民は、その若葉を何回か湯がいてから食べていたという。

     

 上の画像は、厚生労働省のHPからのものだ。上側が「ヨウシュヤマゴボウ」、下側が野菜の「ゴボウ」で、そっくりだ。地方のお土産として、「ヤマゴボウ」が売られていることがあるが、それは「モリアザミ」の根である。

 いずれにせよ、子どもが誤食しないよう配慮が必要だ。ブルーベリーと混じっていても実の大きさは変わらない。さて、このヨウシュヤマゴボウを食べた野鳥は大丈夫なのだろうか。ずいぶん、糞として撒いてくれたようだが。「次回からはサクランボやブドウの種をいっぱい撒いてほしい」と鳥たちに呼びかけることにしよう。

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ランかシダかそれが問題だ?!

2022-09-12 21:27:24 | 植物

 近隣の農家から電話があった。「茶畑の近くに今まで見たことがないような植物があったんだけど。孫が調べたら<松葉蘭>というシダらしい。サンゴのような形でけっこう珍しいみたいだよ」という内容だった。さっそく、現地に見に出かけた。『シダ図鑑』のいちばん最初のページに似た写真が出ていた。それは、「一目一科一属一種」しかない特殊な菌根共生腐生植物「マツバラン」だった。つまり、他に似た例のない一つしかない植物だということだ。松葉に似ているが蘭ではなく「シダ」植物だった。

   

 これは、18世紀後半、天明年間の江戸時代には大名らの愛玩植物としてブームになったという。『松葉蘭譜』という書籍が出版されたほどだ。120種類以上のマツバランの品種が栽培されていたらしい。現在は環境省のレッドデータで「準絶滅危惧種」に指定されるほどの希少植物となっている。

 茎だけで光合成をして胞子をつくるが、葉も根もない。地下茎の仮根で菌類と共生しているという。どこからか胞子が飛んできて雑木林周辺の落葉に居場所を見つけたらしい。オークションの平均価格は9千円ということらしい。そっとしておきましょう。電話をくれた農家さんにも久しぶりに会えることもできた。ありがたい。いつものつながりには深ーく感謝。

 

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