林縁を歩いていると紫の実に出会うことがある。紫色は古代から上品な色であり貴族の上位の色でもある。自然が生み出した紫色はとても少ない。だから、派手ではない「ムラサキシキブ」の実に出会うとうれしくなる。しかも、葉がビロード状の「ヤブムラサキ」の葉を確認すると声をあげてしまう。どちらも実はさほど多くない。そんなとき、わがバタフライガーデンで白い実の「式部」を発見する。
市販でよく見る園芸種の「コムラサキ」の実の多さは圧巻である。茶畑の茶木を伐根した跡には40本ほどのコムラサキがニョキニョキ出てきたのでずいぶん慌てたものだ。今でもわがガーデンの帝王として君臨しているので、他の場所へ徐々に移植したり、寄贈したりしている。そこに、白実が加わるとは心強いバリエーションになる。
しかし、いつ植えたのか、自然にそうなったのか、残念ながら覚えていない。感覚としては突然発見したという驚異だった。でも、環境的には実生から芽が出てきたとは考えにくい。後期高齢者の記憶力減退のなせる症状だと推測するのが妥当だと観念した。「シロシキブ」という品種はあるらしいが、ムラサキシキブ系だそうだ。したがってこれは、「シロミノコムラサキ」という園芸種のようだ。来年になったら、挿し木して増やすことでコムラサキと共生していくようにしたい。