集団検診を終えてから、久しぶりに街に出かける。国道を車で7~8分も走ると、なんと路肩が崩れガードレールが浮いてしまっているのが見えた。先日の台風15号の影響だった。国道とは言いながら、中山間地の道路なので山や川が迫っている。そのため、車がすれ違うのがやっとの幅しかない所だけに心配でもある。
規模の大小はあるが、こうした災害の爪痕がところどころあるのが分かった。屋根からの雨漏りはあったものの、わが家周辺では大きな被害はなかったので、これほどのことが起きていたとはうかつだった。
川は意外にも濁っていなかったが、おそらく4~5mくらいの水かさが蛇行のカーブを襲ったようだ。あらためて川の破壊力に再認識する。川沿い、山沿いに生きる厳しさを痛感する。オイラも台風当日には、午前2時くらいまで起きて情報を確認していた。いつも寝るのは隣の山側の部屋だが、さすがにそこは避けて離れた側に寝るよう対策もとった。
さて国道の続きだ。以前がけ崩れがあって、擁壁工事が終わって間もない石垣も倒れていた。よく見ると、その裏側の石が流されていた。もう一度同じことが起きれば、全部倒壊してしまいそうな擁壁でもあった。
そこから車で30分ほど進行すると、もっとひどい崩落個所があった。車線の半分が崩れていた。片側通行でなんとか通れたが、安全確保の保安員が一人もいない。おそらく、あちこち被害があって人員配置はとても間に合わないということだろう。
ここは隣に川の小さな支流がありそこからの激流が本流と重なりさらなる災害となったようだった。道路の厚みが見えるほどの破壊力に、またまた驚愕する。ニュースで伝えられる被害が身近かになった。立ち寄った道の駅のトイレは断水だった。駐車場に給水車がなぜいたかがわかった。
わが家では大きな被害はなかったが、石垣の下からは雨水がどくどくと流出していた。もし、雨量が大量だったらこの石垣自体も持ちこたえられないに違いない。家の隣の道路はもちろん川のようになっていたが、深さは10cmくらいだった。かつて、ひどいときは20cm以上はあったので今回は予想の範囲以内だった。
あらためて、日本の自然被害の日常性を考えさせられる。自然の豊かさと自然の破壊力との矛盾が日本そのものなのだ。魅力と残酷さとの共存。そこからくる微妙な感性の成熟が日本の芸術・和食・曖昧さ・生き方などに表れているのかもしれない。