昨日は一日中、止むことがない本格的な雨だった。今朝はそこに強風だった。朝は一面靄に包まれいつもの山並みが消えた。和宮様は、「長雨や強風でゆうもじ(昨夜)以来、銀杏が落ちたようじゃが、様子を見てまいれ」とのお達しがあり、さっそく近くのイチョウの木の周りを見に行った。すると、落下して間もない新鮮なギンナンが道路に溢れていた。
車の往来がすでにあってタイヤが通行した所はかなりのギンナンがつぶれていた。つまり、道路の中央と左右にはギンナンがしっかり落ちていた。なるほど、銀杏拾いのチャンスは今しかない。火ばさみで落ちたギンナンを慌ててバケツに集める。一本の雌木がかなりの量をまき散らしている。さすが、恐竜の時代、氷河期の時代から生き残っただけの生命力が彷彿としている。
案の定、バケツ2杯分の過去最高の収穫となった。まだまだ実は残っていたが、バケツが満杯になったのでほどほどにする。ギンナンは、カリウムが多くタンパク質・脂質・ビタミンB/Eも豊富で、老化防止・高血圧・風邪予防・癌予防に効果がある。こんなに効能があるのに、近隣の人はあまり拾いに来ない。赤貧の我が家は山菜・きのこなどを拾ったり、木の実を採ったりして、糊口を凌いでいる。
新鮮なうちに、柔らかい「外種皮」を取り除き、汚れやごみを除去する。箱籠の中でごしごし押し付けると外種皮が取れていくのがわかった。専用の機械もあるようだが、売りに出してるわけではないので、ゴム手袋で外種皮を除去し、強い水道水を流したら仕上げだ。これでやっと乾かしていけば完了となる。
イチョウは、火事や震災にも強いことで、寺社に植えられたとともに、街路樹では一番多い樹木でもある。また、原爆を落とされた原野に最初に芽を出したのはイチョウだったとも言われている。それほどの生命力が困難な環境をかいくぐってきたのだった。都会の街中では、臭い・ゴミになると嫌われることが多いが、それを畏敬するくらいの心の余裕が欲しいものだ。