川崎高津区の急坂の途中で発見した「庚申塔」は、六手合掌型のもっとも標準的な石造だった。
邪鬼を踏みつけている憤怒相の「青面金剛像」は、庚申講の本尊だ。
持ち物は、左手に輪宝・弓、右手に三叉戟(サンサゲキ)・矢、といういつものパターンだ。
上部に太陽と月なのだが、雲でわかりにくい。下部には三猿というのも標準パターン。
病気のもととなる虫封じのために庚申の日に徹夜するという信仰だが、レクレーションの機会が少なかった江戸の庶民にとっては、徹夜して食事や団欒を楽しむチャンスにしたようだ。
むかし里山の入り口にあっただろう急坂の途中にあるこの石造は、農業の神であったリ、道祖神を兼ねたりしていたに違いない。
今ではひしめく住宅地となった変わりようを青面金剛明王は、どんな思いで眺めているのだろうか。
2017年がまもなく終演する。世界の憲兵だったアメリカはトランプ大統領の登場でますますの威信の低下。対米従属の日本は相変わらずだが希望への道筋を探しあぐねている。オイラも心身とも老化がはなはなしくなってきたうえに、次兄も天国からついに呼び出された。
疲弊した地域や人間を改革してきた二宮尊徳の報徳思想は生きる希望を具現化し、その後の事業家や庶民の生きる方向を指し示した。そしていま、それに続く理念はどんなものがあるのだろうか。とりあえずオイラは土の生成力に学びながら歩むことにする。