明日から12月。冬の確実な寒さが刻々と迫る日々。朝からうろこ雲が秋を惜しむ。ときおり寒風がススキを横倒しにする。空を見上げるといつもより雲がぐいぐい走っているのがわかる。
そのうち午後になると、うろこ雲が消え、毛状の巻雲が出てきた。これほどシャープな巻雲を見るのは稀だ。雲の中で最も上層にあるという。
夜のニュースでは、太平洋側に雲のなかにぽっかり穴があく「穴あき雲」が各地で目撃されていることが報道された。残念ながらそれは確認していない。
移ろいやすい男心を詠んだ一茶の「はづかしやおれが心と秋の空」はよく引用される。「女心と秋の空」は、大正デモクラシー以降の翻訳劇や浅草オペラの歌など女性地位向上が始まりだしてから言われだした言葉だ。つまり、「男心と秋の空」のほうが古いというわけだ。要するに、どちらも揺れる心は男女とも同じということだよね。
夕方近くになると、魚の骨のような「肋骨雲」が見られた。これは、雲にある氷が風でいっせいに流されておきる現象らしい。
きょうは主に草刈りをしていたが、一日中空が気になって雲の変遷に心を奪われた。雲の流れが速かったので見逃した形状もあったかもしれない。空を見上げる暮しを送れることに感謝しなければね。正岡子規の「すさまじき雲の走りや秋の空」がぴったりの月末だった。