春野山の村に30人を越える親子が乗用車やバスに分乗してやってきた。到着して早々、森をみんなで散策することになりそれを手伝うことになる。赤・青・黄・白・緑・紫・黒などの色をした花や実、それに昆虫を発見しようということにする。これなら、名前がわからなくてもだれもが参加できる。
道の端には「ツチカブリ」(ベニタケ科)の群落が迎えてくれたが、子どもたちはあまり興味がわかない。傷をつけて乳液を見せてなめてみる。とても辛い。似ているキノコには「シロハツ」や「シロハツモドキ」があるが、違いが分かりにくい。食べられる美味のキノコも少しあったが大きくなり過ぎていた。
途中で発見した赤ちゃんの蛇・とかげ・チョウ・クマバチなどにも子どもたちは興味を示したが、カマキリをつかんだ女の子の動きがすごい。
なんと、頭に捕獲したカマキリを乗せているではないか。ここに今回の散策会のすべてが凝縮されていると思えた。また、道端の山栗拾いには親子とも関心が強かった。大勢いると予想外の昆虫や植物に発見できる。
ゆったり散策したのでコースを半分に短縮するほどに親子が散策に夢中になった。正味、1時間ほどの散策を終えてまもなく、次の昼食づくりのバーベキュープログラムへといそしんでいった。こうした自然との触れ合いをやろうという親の意識は、子どもたちの好奇心も自然とのかかわりをも醸成していることを感じ入る。暖かいまなざしの若い親の存在がここの森では緩やかにはじけていた。
久しぶりに「春野山の村」の散策に向かう。初秋のこの時期になつかしく出会ったのは「ツルニンジン」(キキョウ科)だった。根っこが高麗人参に似ていることから名前がついた。韓国ドラマの「チャングムの誓い」の料理対決で、皇后が絶賛したのがデザートのツルニンジンの揚げた菓子だった。
道端に群生していたのは、キンミズヒキの小型版「ヒメキンミズヒキ」(バラ科)のようだった。春から夏にかけて黄色い花はいっぱい叢生して群落を構成するので同定がいつも停滞する。
赤い実の樹木も見られた。目立ったのは、「ガマズミ」(スイカズラ科)や「コバノガマズミ」だった。生食もできるが酸味がある。冬ごろになると酸味は少なくなるという。ワイン並みのポリフェノールやレモンの4倍というビタミンCがある栄養価の高い食材にもなる。
事件かと近づいてみたらなぜか楽しそうな表情だった。「何しているの?」と聞いたが、本人たちも説明しにくいようで要領を得ない。つまり、「おとなには関係ない世界よ」という空気だった。
きれいだとは思うが「どぶ」の水の中で何かを転がしていたのか、探していたのか、ともかく当局にはあずかり知らぬ世界だ。母親だったら、「服が汚れるでしょ」と言いそうな場面だが、この二人の親はこの光景をニコニコしながら見ているに違いない。
都会だったらまさに許されない行為だったかもしれない。いじめが恒常化している社会のなかで、これから彼女たちはかくのごとく伸び伸びと生きていけるだろうか、とジイジとしては心配してしまう。確かなことはここの豊かな自然風景だけは裏切らない。癒してくれる。心温まる場面をいただいた。
週末にラブファーマーズカンファレンスの全国集会が「春野山の村」である。その準備で久しぶりにその周辺を歩いてみる。道路わきで「ミツバアケビ」の実をいっぱい発見。アケビの実は高い所に成ることが多いのでなかなか見つかりにくいが、意外に近くで見つけられた。
いつも歩くコースには「サジガンクビソウ」を確認するのだが、きょうはそこを通らなかった。が、違うコースで「ガンクビソウ」(ガンクビソウ科)を見る。仲間がいろいろあるのでいつも迷うが、ほぼ間違いないと思う。
常連の「ツルアリドウシ」も確認。赤い実はこの季節では少ないので目立つ。ただし、ブルーベリー位の大きさで足元に実るので見落としてしまうことも少なくない。
村内でよく見かける「ヒヨドリバナ」(キク科)だが、花はフジバカマに似ているが近隣ではフジバカマの自生地はまだ見たことがない。アゲハチョウの仲間がよく訪れる。
白い花が春に一斉に咲くのは壮観だが、その花にエゴノネコアシアブラムシという幼虫が寄生するとバナナみたいな虫えいが有名だ。この実をすりつぶがまわりのして川に流すと魚が捕れるという有毒の実だ。
台風が近づいてきているせいか積乱雲が目立つが、周りの山並みとのコラボが見事だ。
久しぶりに「春野山の村」に行く。杉・松などの針葉樹を伐採してサクラなどの広葉樹を中心とする森づくりに挑戦している。伐採の影響で遠くの山が見えるようになり、ビューポイントが増えてきた。また、かなりの伐採で森の本来にある種子がはじけていろんな草木が群落を形成してきている。今、体育館周辺で目立っていたのは「オカトラノオ」(サクラソウ科)の群落。和宮様が好きな花だ。
そのそばで、ひときわ赤い実をつけていたのは「ニガイチゴ」(バラ科)だった。うまそうなのでつい手が出てしまうが、食べ過ぎるとちょっぴり苦みが残るのでこの名がついている。集めればジャムができそうだが採りつくす人がいないのがいい。葉の浅い切れ込みが普通のようだが、ここでは切れ込みがない葉のほうが多い。一年を通して野イチゴ・木イチゴの宝庫でもある。
一時はシカの食害で「ササユリ」(ユリ科)が消えそうな時期があったが、いまは樹の伐採の影響だろうかあちこちで目撃できる。わが道草山はかなり少なくなってしまったが、「山の村」はかなり盛り返した感じだ。繊細な生育なのでそっとしておくのがいちばんいい。ほんのりとしたピンクの色合いがいかにも日本的で愛好者も多い。
桜の森づくりを着手している「春野山の村」の植樹祭に参加する。植樹した桜は山梨県韮崎市の「王仁塚の桜」(日本武尊の王子の埋葬地であり王仁族の住居地という)などでエドヒガンだ。急傾斜で足場が悪く歩くのも大変な場所だった。
その後、宇宙へ飛行した「宇宙桜」と「宇宙スミレ」の贈呈式が行われた。山梨で国の天然記念物ともなっている「山高神代桜」も宇宙飛行をして帰還した種から苗木になったものだ。貴重な苗木はフラワーパークと春野山の村に1本ずつ寄贈された。
宝塚の白井鐵三の関係で「宇宙すみれ」は春野で育てられ、それはフラワーパークの塚本このみさんに贈呈された。塚本さんは毎年元旦には大杉の「春野杉」に会いに来るという。式の後、贈呈された「山高神代桜」の植樹をみんなで行う。
東北大地震で亡くなられた人は、2万人を越える。7年たつというのにいまだ被災地に帰れない人が5万人もいる。原発をいまだ捨てられない利害にしがみつく企業・政治家を許してしまうわれわれの体質。きしくも、森友問題で行政の書き換え文書、偽造してまでも政治家を守ろうとする官僚。公務員は国民のためでなく政治家保身のためであることを露呈してしまったきょう。これらこもごもに黙祷。
秋らしい空と山並みにススキがよく似合う。
そんな絶好の日和のなか、春野山の村で森林散策会を行う。
杉を伐採して広葉樹を植樹したあとなので、周囲の山がよく見えるようになった。
村内のほかの場所で、「エンシュウハグマ」を見つけていたのでそれと同じであると公言していたが、どうもこれは間違っていたようだ。
そういえば以前、「キッコウハグマ」もあったのを思い出す。ただし、「キッコウハグマ」はしばし「閉鎖花」も多いようで、10月に入ってから開花かどうかがわかる。
いずれにせよ、「エンシュウハグマ」と「キッコウハグマ」の両方が見られるのは素晴らしい。今回はまだ「エンシュウハグマ」は確認していない。
最後に、ジビエ事業を始めた作業所の説明と見学を行う。
かなり綿密な作業と新鮮なシカ・イノシシ肉のこだわりを行っているのが伝わる。
途中で森林に関するクイズを解きながら、昼食は豪華な「ジビエ定食」で満腹となる。
「春野山の村」で小道の枝をよけながら歩いていたら、枝のような蛇が目の前にいた。
道を横に通せんぼさせられたわけだが、動かないので枝と間違うところだった。
マムシやシマヘビではないのはわかったが、「アオダイショウ」かと予想する。
首の下がややオレンジ色だったので、ひょっとすると「ヤマカガシ」だったかもしれない。
なにしろ、蛇の種類は少ないとはいえ、変異が多くてわかりにくい。
蛇は触らずジャンプして道の前を進むことにした。
ヤマジノホトトギスの花にツチバチが密を吸っていた。
腹に黄色い斑紋がある「キオビツチバチ」だった。
ハエのように体は剛毛に追われている。
胸と腹が針のような細いものでつながっている「ジガバチ」は、自分の巣穴に獲物を運ぶのを見たことがあるが、「ツチバチ」は、そこを手抜きしているものぐさ蜂だ。
というのも、地中のコガネムシの幼虫を探知して掘り進み産卵して、そこで寄生して成虫になる。だから巣は必要ないし、獲物を力づくで運ぶ必要もない。
同じ蜂でもずいぶん違うものなんだなー。
最近、静岡県知事の川勝平太の著作に注目しているが、その彼が師と仰ぐ生物と自然を統合した自然学を提唱している今西錦司へと興味をもち始めたところだった。
今西錦司の生物の「住み分け」理論は、ダーウィンの進化論をしのぐものとされるが、そんな「住み分け」をツチバチとその仲間から思いだした。
日曜の散策会の会場である「春野山の村」で下見をする。
群生の花はあまり見かけなかったが、ちらほらと発見がある。
チャングムのドラマに出てきた「ツルニンジン」(キキョウ科)を発見。根っ子が朝鮮人参に似ているらしいが、朝鮮では山菜なのだ。なかなか出会えない花だ。
その近くで、「アオツヅラフジ」(ツヅラフジ科)の青い実も発見。
この実は鳥が食べない有毒ということだが、甘いらしい。
通路に沿って、「ヤマハギ」が咲き出している。
オイラの畑には園芸種のハギが繁茂しているが、花は似ているが樹の形がまるで違っていて、枝があまり垂れていない。
「山の村」のあちこちに「ヤマジノホトトギス」が咲いていた。
花片が平らに開いているのが特徴だが、いわゆる紫の斑点が多い「ホトトギス」より上品だ。
黄色い花の「キンミズヒキ」「ニガナ」「ジシバリ」も咲いていたが、1本だけだったが「オトギリソウ」を発見。
鷹の傷を治せる秘薬「オトギリソウ」を人に漏らしてしまった弟が鷹匠の兄によって殺されたという物語がある。
今も止血などに利用されている民間薬でもある。
「春野山の村」も針葉樹が伐採され周辺の山並みが美しく見えてきたところが同時に見どころでもある。