わが家庭菜園ではハサミムシによく出会う。野菜のすぐそばにいることが多いので害虫ではないかと思っていた。そのハサミムシがのこのこ家の中にやってきた。そこで捕獲して改めて調べてみると、ハサミムシは「科」ではなく「目」の名前だということを初めて知る。つまり種類がそれほど多いというわけだった。画像の虫は山地性のハサミムシの「コブハサミムシ」のようだった。
コブハサミムシは背中に複雑に折り畳まれた後翅があり、羽化や越冬前の時期に突如飛翔するらしいが、見たことはない。尾の鋏が大きく湾曲するものをオスのアルマン型、長く真っ直ぐに伸びるメスをルイス型という。繁殖を終えるとオスは死んでしまうが、産卵したメスは幼虫になるまで卵を外敵から守り続けるばかりでなく、幼虫に自らの体を食料として提供する。壮絶な子育てである。
ハサミムシは害虫を食べてくれたり、腐った植物を食べてくれる生態系に寄与する分解者でもあるということだ。見方を変えなくちゃー。
その一週間前に、ハサミムシに似た虫もやってきていた。形から尾っぽにハサミもなかったので「ハネカクシ」ではないかと推定した。世界では6万種はあると言われるほどの膨大な量があり、未同定の種類が未だある。したがってその研究者も少ない。しかし、ハネカクシの翅の収納の最大の特徴は折りたたみパターンが左右非対称の複雑な折りたたみ方ということで人工衛星にも参考にされているらしい。偶然にもコブハサミムシと同じような翅の収納だ。
いっぽう、7~8年前に林の樹皮で見た橙色がある「アオバアリガタハネカクシ」は、「空飛ぶ硫酸」とか「やけど虫」とも言われていて、素手で触るとその体液でやけど症状になる害虫だった。捕獲したハネカクシは「オオハネカクシ」に似ている。危険なハネカクシもいるがこの膨大な量の昆虫に対して、研究によっては人間に貢献する可能性もあるわけで日本の教育研究費を充実するべきだ。無駄な国家予算があまりに多い。