山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

「がきデカ」が現代を予言

2020-05-31 16:00:22 | 読書

  市井に住む隠居・ダビンチさんから600頁を越える分厚い漫画が送られてきた。ギャグ漫画で一世を風靡した山上たつひこが1970年代『週刊少年マガジン』に連載していた社会派漫画『光る風』(小学館、2008.7)だった。時代は水俣病・光化学スモッグ発生・沖縄復帰問題などの社会問題をはじめ、70年日米安保・ベトナム反戦・全共闘などの社会運動も活発だった世相だった。また、「管理社会」という言葉もだんだん使われるようになり、見えない締め付けが日本社会をじわじわと浸透していくときだった。そんな背景を強烈に反映した近未来の日本を予想したSF漫画が『光る風』だった。

          

 当時、オイラもふさふさした黒髪をなびかせながら、「戦争を知らない子どもたち」を口ずさんで苦い青春を謳歌していたっけ。『光る風』は「少年マガジン」で部分的に読んだ気がするが関心がなかった気がする。むしろ、『あしたのジョー』や赤塚漫画をラーメン屋の店で読むのが楽しみだった。

 『光る風』冒頭には「過去・現在・未来ーー/この言葉はおもしろい/どのように並べかえても/その意味合いは/少しもかわることがないのだ」という言葉から物語が始まる。

     

 1970年代の時代状況と2020年の状況とを比べると、今のほうが「管理社会」の見えない壁がますます発達していった気がする。若者や社会運動は委縮し、軽佻浮薄に逃げ込む空気が蔓延。目の前に銃剣や憲兵は見えないが、同調圧力が学校・職場・地域を支配し、いじめがなくなる気配がない。戦前、自由民権運動は圧殺されたが真の自由は見えない力で沈黙させられている。その意味で、冒頭の言葉は納得せざるを得ないし、山上氏が描いた漫画はいまだ新しい。歴史の本質は繰り返される、人間の本性は変らないということだろうか。

 

 半世紀前に描かれた漫画にもかかわらず、大地震の発生、国防軍の設置、肥大化する権力、人間の孤立化・解体、アメリカへの従属等を予言。近未来の日本を描きながら現代の閉塞を暴露していくリアルが鋭い。そして、「過去・現在・未来の意味合いは少しも変わらない」という作者の告発・人生観へと導いていく。

   だから、希望が見えない社会にあってはギャグ漫画で生きるしかなかったのかもしれない。それが大ヒットしてしまうのは作者の思いとはズレていたのではないかと思われる。

 

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桑の木に教えられる

2020-05-30 21:53:47 | 食彩・山菜・きのこ

 いつのまにか桑の樹がすっかり大きくなってきた。樹のすぐ隣を雑草捨て場にしていた関係で、事実上優れた堆肥ができていたことが成長の原因かもしれない。また、樹の周りは鬱蒼とした雑草天国となっていた。人が立ち入らないことが功を奏したともいえる。今までは「畑が影になるので伐採もしょうがないな」とさえ思っていたのも告白しなければならない。今ではせっせと樹の周りの雑草を刈っている。

     

 今回の桑の実の鈴なりは、桑の実が健康や美容に優れたスーパーフードであることをあらためて見直す機会となった。それを示唆してくれたのが桑の木自身の姿だった。もっと早く気がついて入れば、若葉を収穫して「桑の葉茶」とか「桑の葉パウダー」とかを作ってみたかったところだ。血圧が高めの和宮様にもおすすめできる食材でもある。以前はシカがなんども葉を食べに来て枝を折ってしまうこともあったが、今年は桑には関心がなかったようだった。

 大量に収穫した桑の実は、実の軸を取らなければジャムにはできない。この地味な作業をやらないと次へすすめない。和宮様のお手を煩わすしか手立てがない状況だ。野イチゴと同じような感覚で食べていた桑の実だが、アントシアニンをはじめとする栄養豊富な食材であることを可視化されたような今年だった。

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シカたないけど「シカ」シフトをする

2020-05-29 21:24:43 | 農作業・野菜

 遅い種まきだったが、スナップエンドウの芽が出てツルも伸びてきた。あわてて支柱の竹を裏山から採って来たり、昨年の使い古しを利用してセットする。農業資材もできるだけまわりにあるものを使うことにしている。年金収入しかない生活なので農業資材を購入する余裕がないのも事実だが、できるだけ「自然に帰る材料」を使いたいという狙いもある。

 

 見たくれは確かに劣るが、結果を重視したいと胸を張ってみる。がしかし、合格点にはとても到達していない。それ以上に今は、シカの食害が頻繁になっている。せっかく出た若芽や若葉が食べられてしまう。隣のジャガイモさえも葉を食べられてしまったので、寒冷紗で覆っている。スナップエンドウもいただいた網をまわりに張っていく。こんな作業は初めてだ。シカも生きるのに必死なのだ。

         

 それでも、すぐ隣の荒れ地にはイノシシのぬた場があった。シカ被害の次はイノシシとなる。だけどあまりむきにならないで対応することにする。人間の一方的な都合だけがいいとは限らないからだ。

 コロナの苦難のなか、五木寛之の『大河の一滴』の著書が注目されている。その著書に関連して彼は「正義や努力は必ずしも報われるとは限らない」とする。しかし、自分が納得する生き方の小さな「一滴」が「大河」とつながっていることをふまえ、「アローン&トゥギャザー」という孤独(自立)の中のつながりを覚醒して、今という時代を生き抜いていくことの大切さを強調する。彼が主張していることはけっして斬新ではないが、時代の「真」をとらえていることはたしかだ。オイラもそのことを肝に銘じて粛々と生きていくことにする。

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黄色から始まり紫・白へと春のリレー

2020-05-28 23:08:01 | 植物

 春は黄色の花から始まる。小さな山を歩くと大好きなキブシ・ダンコウバイ・アブラチャンなどに会うと春を感じ始める。公園では、マンサク・ロウバイ・サンシュユ・ヒュウガミズキなど、ほんとうに黄色い花が春を呼ぶ。もちろん路傍には、タンポポ・カタバミ・ノゲシ・ヘビイチゴ・オニタピラコなどの雑草の花も黄色だ。これらの春はすでに多彩な夏色に変わり始めている。それでも、わが家にも「ニガナ」の群落がまだ春の歓迎の歌をやめていない。

       

 ニガナが群落になると江戸の紋様が想起される。シンプルな形状だがすっきりした自立感がある。それが群落になると江戸小紋のような深みが増してくる。食べると全草が苦いので「苦菜」と呼ばれる。中国では「五味」を授乳前に体験させるとき、このニガナを使うという。

   

 畑の脇には、「ナヨクサフジ」(弱草藤・マメ科)が咲いていた。これは帰化植物だが緑肥として利用していたものだ。トマトなどのコンパニオンプランツとして雑草を除去してくれる物質を発散する。しかし、生態系に被害を及ぼす外来性植物に指定されている。ただし、肥料として使用可能だが、増殖の危険があり、その管理が必要な「産業管理外来種」となるという。ちなみに、「クサフジ」は夏に咲く。春の花の紫色と言えば、スミレが代表格。いまでは種を飛ばし始めている。

  

 裏山に、「ガマズミ」(蒲染・ガマズミ科)の白い花が咲いているのを発見。秋にはたわわな赤い実が見事だ。昆虫がいつも集まっている。どうやら、花は媚薬のような匂いを発散するようで、「ベニカマキリ」がへばりついていた。

     

 ガマズミの語源には二つある。その材を鎌の柄に利用したこと、実が酸っぱい(酸実)ことからつけられたという。二つ目には、マタギが山中で空腹になるとガマズミを見つけて食しひとまず体を休めたという。つまり、ガマズミは山の神からの贈り物として「神の実」と称した。説得力があるのは前者だが、後者には夢と感謝がある。いずれにせよ、ガマズミは暮らしの身近な植物であったということだ。 

 春の白い花は、コブシ・ウメ・ホオノキなどけっこう多い。黄色から白へ移っていくのもている。春野楽しみ方だ。ガマズミもそろそろ終盤を迎えている。   

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「桑の実」を収穫して

2020-05-27 20:57:03 | 農作業・野菜

 今年の桑の木は、昨年の剪定の成果か、たわわの実が目立つようになった。今まで一番の量になった気がする。そこでまたあわてて、樹の周りのしつこい雑草を刈り払機で除去する。さっそく和宮様は収穫を始めていた。

              

 オイラも農作業の合間にちょろちょろとつまみ食いをしていたが、最近ヤマビルに食われたこともあり、また、マダニの発生もやばいので、やっぱりまずは雑草を除去することから始める。桑の実は別名「マルベリー」と呼ばれスーパーフードとして注目されている。

 

 ビタミンCの含有量は、みかん・グレープフルーツ並み。カリウムの含有量もフルーツの中でもトップクラス。なかでもポリフェノールの一種であるアントシアニンは、癌や老化の原因である活性酸素を除去する効能もある。

 万田酵素がマルベリーを商品化したのもうなずける。和宮様は収穫した桑の実をよく洗ってから冷凍保存してジャムを作るという。こうしてスローライフはますます忙しくなる。

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「ミヤマ」か「カラス」かそれが問題だ、が…

2020-05-26 22:16:55 | 生き物

 近所の庭のムシトリナデシコの見事な群落に黒い蝶が飛来していた。はじめはクロアゲハかなと思っていたが、青い斑紋や白色帯も見えたので、これはミヤマカラスアゲハかカラスアゲハらしいと予想した。

  

 近づくと逃げてしまうので望遠でキャッチするが、なかなか翅を休めてくれない。以前、長野の山中で大型のミヤマカラスアゲハを初めて見た衝撃が忘れられない。まさに複数のメタリックな光沢が水たまりに反射して群舞する。しかし、目の前の蝶は小型だ。

  

 春型のミヤマカラスアゲハは小型であるのを初めて知る。いずれにせよ、アゲハチョウくらいの大きさなのは間違いない。止まってくれないので残念ながらグリーンのメタリックな表の翅は確認できなかったが、黒っぽく、またジャコウアゲハのような灰色帯が交差するように見えた。ここでは「ミヤマ」か「カラス」かは問題ではない。こうした珍しい蝶がこの小さな山里に飛来していることが素敵なのだ。

 新型コロナは、人類の急速な経済成長・土地開発の価値観を根底から揺さぶった。この教訓からわれわれはどういう価値観を日々の暮らしのなかに貫いているかどうかが問われている。同時に、貴重なカラスアゲハの飛来について、中山間地の価値をもっと輝かしいものにしたいものだと、こじつけながら思うのだった。

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イチゴ食べた犯人拘束

2020-05-25 23:11:40 | 生き物

 野生化したイチゴが毎日のように赤くなっていく。といっても、とても市販のイチゴのようにはいかない。「わけあり」形状が少なくない。それでも、つまみ食いには絶好のおやつとなる。そんなとき、当局はイモムシをイチゴ食害容疑で現場逮捕した。

  

 犯人は名前を最後まで言わなかったが、「キバラモクメキリガ」(ヤガ科)であることを当局はつきとめた。かじっていた証拠のイチゴも押収した。顔面の後ろにベレー帽のような黒い紋があること、体の脇に白いラインがあるなどが特徴で同定した。犯人はかたくなに頭部を内側にまく防御態勢を最後まで崩さなかった。幼虫の初期は若草色の緑、後期は画像のように褐色に変化する。それにより、当局はいつもこれで犯人特定に翻弄されてきた。

   

 「キバラモクメキリガ」は、漢字で書くと「黄腹木目切蛾」となり、成虫の翅が木目模様のような樹皮状の斑紋がある。「キリガ」は本来「冬夜蛾」と書く。秋から春にのみ出現するヤガ科の蛾をいう。「キバラモクメキリガ」は広葉樹の葉をはじめなんでも食べるくらいの多食性・広食性の食欲旺盛な蛾だ。イチゴの周りには敵が多い。(成虫画像はweb「昆虫エクスプローラ」から)

 

      

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食べるか食べられるか「悪魔の舌」

2020-05-24 19:05:38 | 野菜・果樹

 セニョール農園からいただいていたコンニャクに花が咲いた。コンニャクは4年目になると花が咲くようになるという。コンニャクを作る農家は三年目に収穫するので花を見る機会は意外にないという。その花が畑に三つも咲いたのだ。

        

 この赤紫色の花は、英語名だと「Devil’s Tongue」と言って、「悪魔の舌」だ。しかしこの花は、正確に言うと花ではない。蕾を包む葉が変形して巨大化したものだ。それを英米人は「悪魔の舌」というが、日本人は「仏炎苞」という。仏像の背後にある炎をかたどったもので日本人らしい感性が輝く。

        「

 棒状の「肉穂花序」の柄の上側に雄群の花が、下側に雌群の花が蠅の到来を待っている。臭いにおいを出すから蜂ではなく蠅を選択している。その理由がよくわからないが、それも生き残り戦略なのかもしれない。(図はweb「ねとらば」から)

   

 肉穂花序の付属体のてっぺんにハエがやって来ていた。付属体の内部の柄には雄の花が見える。雌の花はやっぱり大奥だ。いずれ、ウラシマソウやテンナンショウのようなブツブツの赤い実が見られるに違いない。滅多に見られない「悪魔の舌」。これが見られるということは、要するに、ぐうたら農業の成れの果てということでもある。

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食害が心配!「クワゴマダラヒトリ」

2020-05-23 20:53:11 | 生き物

 一週間前に青かったイチゴの実はここ数日赤くなり始めた。それも庭に放置していた野生化したイチゴだった。しかし、赤くなると同時にアリがいつのまにか食べてしまうのがわかった。あわてて、防虫網をかけたがしっかり密閉してしまうと蜂などが活躍できないことで結実ができなくなってしまう。

           

 その網の上に、見知らぬ毛虫がのっかっていた。毛虫だとつい刺される反応が働く。害虫なら捕殺するが、ツマグロヒョウモンのような美しい蝶の場合もある。調べてみたら、「クワゴマダラヒトリ」(桑胡麻斑火取蛾・ヒトリガ科)であるのがわかった。

 

 どうやら、網の下にあるイチゴを狙っているらしい。また、桜・桑・柿やブルーベリーの花芽を食害する害虫だった。毒針はないらしい。とうことは、畑のブルーベリーへの危険度が増すということだ。最近はヒヨドリが頻繁にやってくるようになったのでブルーベリーが狙われているのは間違いない。今年はやけにヒトリガの幼虫に出くわすことが多い。これからの季節、虫に野鳥に害獣に目を配らなければならなくなった。食料を自給することはかくも気配りが必要とは…。それにしても、オシャレな毛虫ちゃんでした。

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「破竹の勢い」とはこのこと

2020-05-22 13:13:46 | できごと・事件

 裏山でひょこッと見えたタケノコがまさに「破竹の勢い」で勢ぞろい。雑草が伸びていてハチク(淡竹)がよく見えなかったのか、はたまた、最近の雨でグウィーンと一気に伸びてきたのか、つい先日収穫したばかりなのに。数えてみると26本もあった。おそらく、ギネスには載らない新記録の収穫だ。

  

 「破竹の勢い」の出典は『晋書』。それに出てくる武将「杜預」(トヨ)が使った言葉とされる。最初のひと節を割ると一気に割れていくことから、とどめることができないほどの猛烈な勢いをいう。彼はその勢いで「呉」を平定し、天下を統一する。これで、三国(魏・呉・蜀)の時代は終焉を迎える。つまり三国志の終息だ。

    

 晋の武帝に仕えた「杜預」は、武人・経済政策をはじめ、魯の歴史書『春秋左氏伝』(日本でいう日本書紀みたいなものか。孔子の弟子・左丘明が作成と言われている。)の研究者としても能力を発揮する。唐の詩人・杜甫は彼の末裔である。ついでに、杜預は敵の城を攻略するとその住民を皆殺しにしたという。

   淡竹(ハチク)の別名は、呉から伝来した竹=「呉竹」ともいうので、呉を制圧した「杜預」と関係があるのだろうか。そのへんの事情は調べてみてもその痕跡が全くみつからない。だから、淡竹と破竹は関係がないようで「ある」ような、という不思議な関係のように思う。これも新発見だ。

   

  淡竹は、細く割れるため茶筅などの茶道具をはじめ、提灯・傘の骨・花器などにも利用されている。正倉院の御物の中にも淡竹製があるという。いま、近所にも収穫されない淡竹のタケノコが大量に出ているが、とても食べきれないので収穫していない。食材豊富な中山間地の可能性はかくも膨大なのだ。

 

 

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