無農薬・自然菜園(自然農法・自然農)で、持続できる自給自足Life。~自然な暮らしの豊かさの分かち合い~

信州の大地で自然農と自然農法で育てる自給農園で、日々の営みや生命を通して感じることや想うことを発信するブログ。

Azumino自給農スクール田んぼの除草で稲を応援!!(自然稲作コース)

2015-06-15 06:11:03 | 自然菜園スクール
本日、

今日も一段と暑くなりそうです。梅雨の晴れ間は貴重で、野菜たちと草たちが大いに生長する時期なので、草マルチ月間ともいえます。




昨日は、Azumino自給農スクール(自然稲作コース)の田んぼの除草でした。

このコースでは、自給するための無農薬の自然稲作に特化しており、本科生は育てたお米を分け合います。

田んぼを直接借りるのはとてもハードルが高く、また田んぼ1枚1枚が異なり、地域風土に加えてその年の天気に左右されやすい稲作はシンプルなんですが、とても無農薬で自給分育てるのは手間暇と全般的な稲の知識が不可欠です。

そこで、このコースでは無農薬稲作の、体験参加から、自給自足まで体験を通じて学んでいただき、もっと田んぼのある暮らしが身近なものになってもらえればと思っております。




軽自動車のチェーンを棒につけただけのシンプルですが、革新的な除草機「チェーン除草」で田植えから今まで、稲を鍛え、草を抑えてきました。

無農薬で稲は育てやすいのですが、同時に出てくる草に負けやすいのも事実。
如何に草を抑え、稲を育て、草が生えにくいようにしていくかが最大のテーマになります。


田植えまでが大切で、それからは早期除草しながら、同時に稲を育てていく。それができるチェーン除草はとても強力な道具です。

チェーン除草のメリット
★稲の株間・条間の初期の除草が1反(300坪)=10a=1000㎡、一人30~60分で手軽にできる
★稲を倒しながらの除草で、麦踏みのように稲に活をいれ、鍛えることができる
★身近な材料で、1,000~8,000円位で自作できる
★自分の田んぼに合わせて、チェーンの重さや幅を変えるカスタマイズができる
★米ぬか除草と併用すると、相乗効果
★ヒエ、コナギなど1年草の草の初期に、根を浮かせ、土に埋没させ、除草効果が高い
★田んぼ全面を濁らせ、草の発芽抑制になる


チェーン除草のデメリット
▲根を張る前の初期の除草にしか効果が発揮できない
▲多年草の草には効果がほとんどない
▲稲が抜けないことが条件
▲幅が広いと、除草は楽になるが、車での移動が大変
▲サヤミドロなど藻の発生する田んぼでは、稲に藻がからみつき、困る
▲チェーンの重さと歩くスピードなどによって効果が大小違う







今回みんなで使うのは、通称「手押し田車」という条間専用の除草機です。

前後についた刃を、押して引いて田んぼに生えてきた草を前後に刃を回転させて除草してくれる最強の田の草取りの道具です。

今回は、多めの水に浮かして取る除草です。

田んぼの状態などによっては、水位を低くして、田んぼの土の中に埋め込むように除草することもできます。

手押し田車のメリット
★ある程度大きくなった草を除草できる
★条間の除草を徹底的にできる
★土の中のメタンガスなどを放出させ、ガス抜きができる
★土の中に新鮮な空気を取りこめ、有機物の分解を早め、根の生育を助ける
★2条手押し式を使えば、効果や効率は倍に
★鉄製など、古い納屋などで発見されやすく、市販もされているので手に入りやすい
★やった後水が濁り、草の発芽を遅らせる


手押し田車のデメリット
▲株間除草ができない
▲前後にしっかり刃を食いこませてやらないと草が取れない
▲大きくなりすぎた草や多年草の草は除草効果が低くなる
▲アルミ製の2条のものは2万円以上と高価
▲稲が大きくなってから行うと、稲の根も傷つけてしまう
▲田植えがまっすぐ、条間が取れていないと除草機が入らないため除草できない


今回は、研修させていただいた(公財)自然農法国際研究開発センターのご協力で、多種多様な除草機を貸していただき、みんなで体験除草できました。


これもお借りした通称「八反どり」。


デッキブラシの要領で、ゴシゴシ株間も多年生の草も強力に除草。

八反どりのメリット
★株間も条間も入ることができる
★多年草など大きくなった草や、根張りが強力な草もゴシゴシとれる
★釘やビスなどで自作することもできる


八反どりのデメリット
▲手取り除草に比べればよいが、大きな面積はしんどい
▲余り市販されているのを見たことがない
▲目で見ながら除草するので、大人数で田んぼに入ると濁って草を狙い撃ちできない
▲ちゃんと取ったつもりでも、根こそぎ取れていない場合もありチェックが必要
▲稲が大きくなってから根元をゴシゴシすると稲の根も痛む



今回は近くの津村農園さんから、合鴨ちゃんたちも出張してくれました。

いわゆる合鴨除草です。

合鴨除草のメリット
★お米と肉が自給できる
★合鴨は雑食なため、イネミズゾウムシなど水生昆虫(害虫)を捕食してくれる
★コナギなど多くの草を食べて除草効果が高い
★常に動いているので、水が濁っており抑草効果も高い
★手除草が余り必要がなくなる
★ドジョウやフナなど濁ってしまえば、共存できる


合鴨除草のデメリット
▲電柵やネットなど大掛かりな獣対策が必要
▲合鴨の購入や初期の保護など手がかかる
▲小屋を立てたりするスペースは、田植えができない
▲エサにくず米など、エサを確保する必要がある
▲人に馴らしておく必要がある、慣れると捕まえやすいが、慣れていないとつかまらない
▲穂が出たら、穂を食べてしまうので、早期に田んぼから撤退させ、その後肥育が必要なので、池や小屋が必要
▲ほぼ毎年雛を確保し、古い鳥を解体や飼い続ける必要がある
▲ヒエなどイネ科の草は食べてくれないので、残ってしまう
▲田んぼが水平でない場合は、カモの群れによるムラができ、最悪稲が倒され消えたり、除草効果にムラがあり、くず米が増える



と、除草剤のような一発で除草できるアイテムは無農薬にはありませんが、持続可能な農業はできます。

微生物など見えないものから、タニシ、ドジョウ、カエルが死に、朱鷺を失った日本。
除草剤は、生き物を失い、河川や地下水を汚染させ、海を汚し、自分の住む地球を痛めることを考えると、

いろいろな除草を組み合わせ、楽しく、効果的に除草することで、美味しいお米をまさに自分たちの手で育て続けることができるようになります。
その結果、田んぼの生き物の多くは絶滅危惧種指定されている生き物と共生し、子供が遊べる田んぼ、
生き物がたくさんいることで、緩速濾過機能が備わり、入った水よりも出ていく水の方が綺麗な田んぼが今後の未来を約束してくれると思います。






みんなで除草の疲れを日陰で、お茶をしながら寒暖しながら身体を癒し一休み。






今回は除草後、米ぬか除草を行いました。

今回ももみ殻に田んぼの水を加え、米ぬかを付着させ、そこに発酵が進んだ米ぬかボカシを加えた「半生ボカシ」をみんなでまんべんなく播いて歩きました。

米ぬか除草のメリット
★お米が美味しくなる
★地力が出るまでの初期の養分にもなる
★これから生えてくる草を抑制してくれる
★他の除草方法との相乗効果を高めてくれる
★発酵している間(3~5日)草の発芽を抑制してくれる
★カモや鯉のエサになり、誘導することができる
★手に入りやすく、自給もできやすい
★ダイズくずなどと併用すると効果的


米ぬか除草のデメリット
▲生えてしまった草をより大きくしてしまうことも
▲濡れた稲の葉にふれると、稲の生育を抑えてしまう
▲米ぬかのみを田んぼに撒くと、不均一になり稲の生育ムラが出やすい
▲稲の葉の色などを観ながら行わないと、病虫害、倒伏の原因になりやすい
▲生の米ぬかの場合、発酵までに時間がかかり、初期の効果が出にくい
▲米ぬかを撒いてから除草すると稲の根にもダメージが出やすい


米ぬかは、上手に使うと、草を抑えてくれた上に、稲を元気に美味しく育ててくれるのは、お米由来だからかもしれません。







最後に、鳥よけの糸と、今後入れる田鯉のための防御ネットをみんなで協力しながら張りました。

中山間では、イノシシ、スズメの被害は大きくなっているので、被害が出る前に、除草が終える6月末までに行なっておくと、後々楽になります。

米=八十八、八十八の手がかかるとても美味しく、手間のかかるお米を昔の人は「もったいない」という言葉で大切に食べてきました。
今では国際語にもなった「モッタイナイ」が、日本で失われつつあります。

1~2株の稲がご飯茶碗1杯になり、1a=100㎡の田んぼで人が一人自給できます。

自分たちのお米を仲間と一緒に汗を流しながら、5ヶ月間見守り育てていく、そんな暮らしが大好きです。
コメント (6)
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