君の隣の時間、
secret talk9 愛逢月act.10―dead of night
繋がった電話の背景に、かすかな嗚咽が交じる。
こんなふう聞えるなんて、結構な号泣をしているのかな?
周太の肩に凭れながら予想に微笑む、その向こうから、ほっと溜息が笑ってくれた。
「なんだ、おまえか。自分ので架けりゃいいのに、」
「俺だって解らない方がいいのかな、って思ってさ。内山、そこで泣いてるんだろ?」
さらっと聴いた向う、ちょっと笑った気配がある。
困りながらも笑っている、そんなトーンで関根は口を開いた。
「おう、そうだよ。個室でノンビリしてんだけどよ、すげえ寛いでんなって思ったらなっちまって。どうしたらいいんだ?」
困って途方に暮れてる、でもなんだか微笑ましい。
そういう雰囲気が関根の声に温かい、解からないままにも受け留めようとしているのが解かる。
こういう温かさが関根の良い所だな?そんな良いヤツへと微笑んで、恋人の肩に頭載せたまま英二は答えた。
「存分に泣かせてやればいいよ。何も言いたくないけど独りで泣くの寂しくて、おまえの前で泣いてるんだと思うよ?」
「あー、なるほどな。俺だったら頭悪くてワケ解んねえから、図星とか言えないしな?それならいいや、」
解決したな、そんなふう明朗に笑ってくれる。
こうした良い意味での単純さが関根は明快で、さわやかな男気が温かい。
こんな男が姉の恋人であることが素直に嬉しい、嬉しいままに英二は訊いてみた。
「内山、いま泣きながら飲んでるんだろうけどさ、でも会話は聴いてるって感じだろ?」
「おう、」
短く答えた声が、困りながらも微笑んでいる。
そんな関根の「困った」を少し楽にしてやりたいな?
そう考え廻らせながら見つめる恋人の瞳が「大丈夫かな?」と見つめてくれる。
優しい周太だから関根と内山の両方を心配しているのだろう、その黒目がちの瞳に微笑んで英二は口を開いた。
「俺と喋ったこと、正直に言ったら良いと思うよ?その方が内山、俺と会ったとき話しやすいだろ、」
「そっか、そうさせてもらうな?さっきも話に出たんだけどよ、そっからこうなっちまって、」
自分の話題が引金なんだ?
それは納得できる、この納得に自分の予想と危惧は当たりだと解かる。
今後の内山はどうするのかな?考えながら至近距離の頬に頬よせて、英二は笑った。
「俺で良かったら電話くれって言っといて?じゃ、またな、」
「おう、ありがとな、」
通話を切って、閉じた携帯電話を隣のポケットに入れる。
そんなことにも頬染めていく恋人に、嬉しくて笑いかけた。
「お待たせ、周太。さっきココア飲んでたね、間接キスしてくれたんだ?」
ほら、言った言葉にまた紅潮は華やいでいく。
(to be continued)
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繋がった電話の背景に、かすかな嗚咽が交じる。
こんなふう聞えるなんて、結構な号泣をしているのかな?
周太の肩に凭れながら予想に微笑む、その向こうから、ほっと溜息が笑ってくれた。
「なんだ、おまえか。自分ので架けりゃいいのに、」
「俺だって解らない方がいいのかな、って思ってさ。内山、そこで泣いてるんだろ?」
さらっと聴いた向う、ちょっと笑った気配がある。
困りながらも笑っている、そんなトーンで関根は口を開いた。
「おう、そうだよ。個室でノンビリしてんだけどよ、すげえ寛いでんなって思ったらなっちまって。どうしたらいいんだ?」
困って途方に暮れてる、でもなんだか微笑ましい。
そういう雰囲気が関根の声に温かい、解からないままにも受け留めようとしているのが解かる。
こういう温かさが関根の良い所だな?そんな良いヤツへと微笑んで、恋人の肩に頭載せたまま英二は答えた。
「存分に泣かせてやればいいよ。何も言いたくないけど独りで泣くの寂しくて、おまえの前で泣いてるんだと思うよ?」
「あー、なるほどな。俺だったら頭悪くてワケ解んねえから、図星とか言えないしな?それならいいや、」
解決したな、そんなふう明朗に笑ってくれる。
こうした良い意味での単純さが関根は明快で、さわやかな男気が温かい。
こんな男が姉の恋人であることが素直に嬉しい、嬉しいままに英二は訊いてみた。
「内山、いま泣きながら飲んでるんだろうけどさ、でも会話は聴いてるって感じだろ?」
「おう、」
短く答えた声が、困りながらも微笑んでいる。
そんな関根の「困った」を少し楽にしてやりたいな?
そう考え廻らせながら見つめる恋人の瞳が「大丈夫かな?」と見つめてくれる。
優しい周太だから関根と内山の両方を心配しているのだろう、その黒目がちの瞳に微笑んで英二は口を開いた。
「俺と喋ったこと、正直に言ったら良いと思うよ?その方が内山、俺と会ったとき話しやすいだろ、」
「そっか、そうさせてもらうな?さっきも話に出たんだけどよ、そっからこうなっちまって、」
自分の話題が引金なんだ?
それは納得できる、この納得に自分の予想と危惧は当たりだと解かる。
今後の内山はどうするのかな?考えながら至近距離の頬に頬よせて、英二は笑った。
「俺で良かったら電話くれって言っといて?じゃ、またな、」
「おう、ありがとな、」
通話を切って、閉じた携帯電話を隣のポケットに入れる。
そんなことにも頬染めていく恋人に、嬉しくて笑いかけた。
「お待たせ、周太。さっきココア飲んでたね、間接キスしてくれたんだ?」
ほら、言った言葉にまた紅潮は華やいでいく。
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