通称「馬の背」北側斜面は南側より急峻で、南側の侵入竹で日光を遮られていたため林床を蔽う植生は無く、土壌浸食の激しい谷筋だ。
尾根近くの侵入竹を伐っても一割くらいは掛かり木となって処理するのに手間を要する状態だった。根元にロープを付けて軸方向に引き釣り下ろせば簡単なのだが斜面が邪魔をする。横方向も立ち木が障害で引き抜けない。
いきおい1メートル位に切断しながら掛かっているところが外れるのを期待することになる。しかし広葉樹の木の叉に掛かったものは外しにくい。二又になった杉の間に入った竹は、宙ブラリンで残せざるを得なかったのも出た。
それより斜面下部の沢筋の倒木は無残だった。表土が浅くなっている事もあって写真2のように5m四方位に径30cmを越える杉が6本も根こそぎ倒れている所も在った。
浅い表土の下は粘土質の地盤で、地すべりや地盤剥離が起こりやすいのも理由の一つだが、針葉樹を養うには不適切な土壌であったと言っても良いだろう。しかしながら「木の生理や土壌の状態から最適の植樹をする」という志向性は、残念ながらわが国には育たなかったのが現実だ。
かくして、根こそぎ抜けた窪地に上部の土壌が崩壊し滑り込む、保水力の無い林床は降雨と共、一斉に水を流してしまう。それにより土壌浸食が進む。そんな具合で負の連鎖は続いていくのだろう。