塵散らす聞かまほしき故郷の今見て帰る人ひとり無理
散り散らす聞かまほしきふるさとの花見て帰る人もあはなむ 伊勢
たづねつる里は葛葉にうづもれて谷田にイノブタ一声ぞする
たづねつる宿は霞にうづもれて谷の鶯一声ぞする 藤原範水
住むことも出来ぬ故郷秋の夜は帰る光のさびしかりけれ
住む人もなき山里の秋の夜は月の光もさびしかりけれ 藤原範水
音もせぬ家を立ち出でながむればいづこも同じ人無き家屋
さびしさに宿を立ち出でながむればいづこも同じ秋の夕暮れ 良暹