ウリパパの日記

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観測史上最も暑い夏だった2023年 2023.9.2

2023-09-03 09:09:41 | 自然

一昨日、気象庁から8月の天候と夏(6月~8月)の天候に関する報道発表がありました。7月に続いて8月も北日本と東日本では観測史上1位の高温となり、6月~8月の夏の気温としても観測史上1位の高温を記録しました。なお、冒頭は日本テレビニュースの画像を引用させて頂いております。

 

まずは8月の天候のまとめです。気象庁発表資料を引用紹介します。北日本を中心に暖かい空気に覆われやすく、また台風6号や7号の影響で南から暖かい空気が流れ込みやすく、日本海側ではフェーン現象も発生したため、月平均気温は北・東・西日本でかなり高くなりました。また新潟県をはじめ、東日本、北日本の記録的少雨と日照時間の長さも大きな特徴です。

 

気温、降水量、日照時間の平年比です。北日本の月平均気温平年差は+3.9℃、東日本の月平均気温平年差は+2.1℃となり、1946 年の統計開始以降、ともに8月として1位の高温です。また8月10日には新潟県の糸魚川で日最低気温が31.4℃となり、日最低気温の高い方からの歴代全国 1 位を更新。浦河(北海道)、宮古(岩手県)等63地点では月平均気温の高い方からの1位を更新し、横浜(神奈川県)、米子(鳥取県)等 7地点では月平均気温の高い方からの1位タイを記録しています。北海道と東北の7つの道県で、全ての県庁所在地で8月の平均気温が観測史上1位を記録しています。東日本から北日本日本海側の少雨、日照時間の長さも顕著に現れています。

 

 

全国的にも記録的な異常な暑さであったことを朝日新聞が分析した記事が昨日の朝刊に掲載されていたので引用紹介しておきます。気象庁が日本の平均気温の基準としている15の観測所(地球温暖化等の長期的な気候変動の監視に用いられています)についてデータが残る1898年以降の126年分の8月の気温を年別の推移と日別でプロットしたものです。15観測所の月平均値は27.48℃と過去最高となりました。

フェーン現象が顕著となった地域では 秋田 30℃、新潟30.6℃、富山30.6℃、高田30.1℃、金沢30.5℃、福井30.4℃など平均気温が30℃を超える異常高温を記録。例年より4~5℃も高く、例年の最高気温平均値に相当する気温です。日本海側ほどではありませんが、関東地方でも前橋29.4℃(2位)、宇都宮28.5℃(1位)、水戸28.5℃(1位)、熊谷29.7℃(1位)、東京29.2℃(3位)、横浜29.1℃(1位タイ)など、記録的高温となった2020年を上回る地点もありました。八王子では28.5℃と2020年の28.6℃に続く2位の高温となっています。なお八王子では7月9日から真夏日が継続中です。

 

続いて6月~8月の夏の天候について気象庁発表資料を引用します。1946年の統計開始以降、夏として北日本と東日本で1位、西日本で1位タイの高温となりました。また、上で紹介した15地点の観測値による日本の平均気温偏差は+1.76℃となり、1898年の統計開始以降で最も高かった2010年(+1.08℃)を大きく上回り、夏として最も高くなりました。

 

続いて、気温、降水量、日照時間の平年比です。夏の平均気温平年差は北日本で+3.0℃、東日本で+1.7℃、西日本で+0.9℃となり、1946 年の統計開始以降、北日本と東日本で 1 位、西日本で1 位タイの高温となりました。北日本、東日本では高気圧に覆われやすく晴れた日が多かったため、夏の日照時間は北日本・東日本の日本海側と、北日本・東日本太平洋側でかなり多い傾向にありました。

 

平均気温の平年差の推移です。期間を通しての北日本の異常高温、特に7月下旬と8月下旬のピークが際立っていることがわかります。平年より5℃以上も高いというのは、まさに The era of global warming has ended; the era of global boiling has arrived. ではないでしょうか。

 

全国のアメダス地点で 6 月以降に観測された猛暑日地点数の積算が紹介されていました。夏の平均気温が特に高かった年(2010 年、2013 年、2018 年、2022 年)と比べ、7 月下旬以降に猛暑日地点数が大きく増加し、2010 年以降では最多となっています。さらに、気象官署とアメダスを合わせた 915 地点中、128 地点で日最高気温の高い方から、248 地点で日最低気温の高い方からの観測史上 1 位を更新した異常な夏でした。

 

 

北日本では7月下旬と8月下旬に異常高温のピークがありました。7月下旬を中心とした異常高温の原因について先月末に気象庁から発表がありました。それによると、太平洋高気圧の日本付近への張り出しが非常に強かったこと、上層の亜熱帯ジェット気流が日本付近で北へ大きく蛇行したこと、そのため北日本を中心に上層から下層まで高気圧に覆われたこと、ラニーニャ現象の影響で積雲対流活動が活発なフィリピン付近から湿った空気が日本に流れ込みフェーン現象が重なって日本海側を中心に高温となったことが原因のようです。以下に原文を引用します。

[要因] 7月後半の顕著な高温は、フィリピン付近で台風を含む積雲対流活動が活発だった影響で、日本付近で上層の亜熱帯ジェット気流が北偏して暖かい高気圧に覆われるとともに、下層の太平洋高気圧の張り出しが記録的に強まったことが主要因と考えられる。フィリピン付近での積雲対流活動の活発化には、冬に終息したラニーニャ現象の影響で、熱帯インド洋において積雲対流活動が平年より弱かったことが影響した可能性がある。また、日本付近の亜熱帯ジェット気流の北偏には、ヨーロッパ・地中海方面でのジェット気流の蛇行の影響が及んだ可能性もある。
 8月前半は、亜熱帯ジェット気流の北偏が顕著だったことに加え、台風第6号と第7号に伴って南寄りの暖かく湿った空気が日本付近に流れ込み続け、それにフェーン現象の影響も加わり、日本海側を中心に記録的な高温となった。
 今夏の顕著な高温には、上記の要因に加え、持続的な温暖化傾向に伴う全球的な高温傾向の影響が加わったと考えられる。また、北日本の記録的な高温には、周辺海域での海水温の顕著な高温状態が影響した可能性もある。 ~引用終わり~

 

今年の7月は世界各地で異常気象を含む極端現象が発生しました。国連のグレーテス事務総長が「地球温暖化の時代は終わった。地球灼熱化の時代が到来した」と警鐘を鳴らした要因にもなりました。世界的な異常高温についても説明が掲載されていたので、以下に引用しておきます。

3.世界各地の顕著な高温の特徴とその要因
本年 7 月は世界各地で異常高温を含む極端現象が発生したこと(図 2-4)が世界気象機関(WMO)7からも報じられている8。特に地中海沿岸や米国南部では日最高気温が 45℃を超えるなど、平年を大きく上回る高温を観測した。7 月の世界平均気温(陸域の地上気温と海面水温の平均)の速報値は、基準値(1991年~2020 年の 30 年平均値)との差が+0.62℃となり、統計を開始した 1891 年以降でこれまで最も高かった 2016 年と 2021 年(+0.29℃)を上回り、第 1 位の高温となった。なお、世界平均気温は、5 月から 3 か月連続でその月としての高温記録を更新している。図 2-5 に示すように(以下の〇数字は、図中の〇数字に対応)、このような顕著な高温については、熱帯域ではエルニーニョ現象の影響で全体的に記録的な高温となったことが要因として考えられる(①)。また、北半球中緯度帯で上層の亜熱帯ジェット気流が北へ蛇行した複数の地域では(②)、暖かい高気圧に覆われたことに加え、地球温暖化に伴って対流圏気温が全体的に高かったこと(③)も影響し、日本と同様に顕著な高温が発生したと考えられる。また、北半球の高緯度帯においては寒帯前線ジェット気流の大きな蛇行による気温上昇もみられた(④)。 ~引用終わり~

 

日本では、8月下旬もフェーン現象が継続してさらに顕著となって異常高温が続いています。

 

気象庁の発表の最後に、日本の記録的な高温には、周辺海域での海水温の顕著な高温状態が影響した可能性もあると記載されています。本ブログでのたびたび紹介していますが、今年の海面水温は親潮の蛇行の影響で?とても異常な分布を示しています。東北から北海道周辺では7月以降平年よりも5℃近い高温となっていて、9月1日のデータを見ると日本海側でも4℃近い高温となっています。涼しい海風どころか、暑い海風が吹いて気温上昇の一因となっている可能性も考えられています。9月の北海道周辺の海水温と、気温への影響いついて目が離せません。

 

参考記事)8月初めに記載した地球灼熱化(沸騰)に関する記事

地球灼熱化の時代(今年7月の高温記録)2023.8.4

 

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