上野樹里ちゃんの「サマータイムマシンブルース」、長澤まさみちゃんの「曲がれスプーン」を生み出したヨーロッパ企画さんの舞台をはじめてみた。
京都が本拠地だということだ。
東京での舞台は紀伊国屋ホールとか、本多劇場とかだから、芝居の世界では知らない人のない大劇団なのだろう。
昨日、部活後新河岸からちょうど副都心線があったので渋谷まで乗り換えなしで行けて、めったに乗らない井の頭線で下北沢へ。本多劇場の入り口でチラシの束をどさっともらうと、やったー! 久しぶりに芝居だ、地球に生まれてよかったという気分になる。
ここで生ビールを所望したかったが、途中で寝てしまう危険を回避するためにがまんした。
客席に入ると、舞台上に巨大なオブジェのような、飛行機のような、バイクのような、乗り物のような物体が置かれている。
一瞬の暗転とともに芝居が始まると、作業服を着てキャッチボールをする二人、オブジェのような乗り物を掃除しているもう一人の青年。
会話から、砂漠の中に展開した軍の駐屯地という設定であることがわかってくるのだが、それにしては会話がゆるい。
そこに女の子が現れて「2㎞先に自販機があるから買いに行こう」と言う。
「砂漠に自販機っておかしくね?」と内心つっこみを入れながら見る。
でもそれを言い出すと、設定そのものも不思議なんだけど、だんだんとその不思議なゆるさに身体が慣れてきているのに気付く。
台詞が予想以上に抽象的で、活字にしたらコメディじゃなく、けっこうマジ演劇チックに見えるのではないかと思える。
巨大な乗り物はロベルトと呼ばれる戦車なのだが、けっきょくそれを走らせて自販機に向かうことになる。
兵器でコーラを買いに行くというシュールな事態を、いつのまにか納得させられてしまっているのだが、具体と抽象のほどよくいりまじった台詞と、そのリズム感によるのだと思う。
しかも芝居は知らないうちのテンポをちょっとずつ上げてて、登場人物を増やしていき、具体度をどんどん高めていきながら、みんなで海に行くことになるわ、銀河系のプリンセスが登場するわの最後の場面までの約1時間半、あっという間だった。
なるほど、お客さんが入るわけだ。またちょっと楽しみな劇団さんを見つけられた。