ふと今回の首相訪米を見ると、やはりこの国はアメリカの属国という感がした。
思えば1951年9月に「サンフランシスコ講和条約」を結んで、独立し、主権を回復したというが、裏で吉田茂がたった一人で隠れるように米国陸軍第6兵団下士官クラブに行き、僅か5ヶ条の「日米安全保障条約」を締結した。
翌52年2月28日に「日米行政協定」が結ばれた。条約は国会で批准しなければならないが、政府間協定はその必要がないのだ。豊下はそれを「国民に閉ざされた条約」と言った。
この国が実際の独立を取り戻すのは、条約が発効される4月28にまで待たなければならなかった。
満を持して、4日後の1952年5月2日に昭和天皇を迎えて「全国戦没者追悼式」を新宿御苑で挙行した。やっと約7年間の日本占領が終了したのだが、その3年後の1955年 11月に自由党と日本民主党が合同し自由民主党ができる。
そこから、この国の55年体制は樹立される。その後70年近く自民党政権が続いた。
改めて、自民党とはアメリカの属国党なのではないか。
特にアメリカが民主党政権の時に強くそう感じるのだ。
バイデンの紺のスーツとレジメンタル・タイに対して、我が国の首相のドブネズミのような倭人スタイルはマッカーサー元帥と昭和天皇の写真を思い出させる。
主体性も、科学性もない、神頼みのコロナ対策では、早晩この国の政治は行き詰まるだろう。
対外的にはアメリカに従属し、国内的には戦前ながら政友会方式で地方に金を落として票を買ってくる政権基盤はこのコロナ禍でどこまで有効に機能するのだろうか。
実は、もうこの国にはお金がないのではないか!
日本銀行の黒田バズーカは実体のお金ではない。今や自民党政権は地方を、弱者を、切り離しにかかっている。それでは公明党も離れるだろう。そして、自民党は利権の取り合いで内部から崩壊していく。立民党は単なる議員の互助党だ。
政治家が国民を見てないことがみんなに解かってくるだろう。
政治が貧弱で、国民が貧乏になる。この国が戦後のどさくさのように、貧困や貧乏がすぐそばに現れてくるのかもしれない。今でも、周りをよく見ると、貧困の果ての浮浪の姿がチラチラと見えないだろうか、…。
(参照文献:豊下楢彦『安保条約の成立』岩波新書/孫崎享『戦後史の正体』/『語りつぐ昭和史〔5〕』朝日新聞社)