近現代史では、よく「下剋上」ということで説明されることがあります。
秦郁彦は「日本軍特有の下剋上というのを欧米の歴史家はわかりにくい。ノモンハンは関東軍参謀の辻正信少佐が実質的主役でした。」と言いました。
満州事変では「軍中央部の統制に服さず、上官の命に背いて大事を専断しても結果さえよければ栄進し、そして金鵄勲章迄もらえるという事実」が「下剋上」の風潮を浸透させる、と三根生久大は言います。
階級が下の軍人が上の軍人を支配するという「下剋上」というのは上級幕僚の戦争責任の逃げの口上なのではないかと疑っています。
ところが、戦後になって、昭和天皇は「軍事課長は局長を支配し、局長は大臣を支配する」と言ったとか。
そんなこんなで、今回は下の本を買いました。この本の著者土居征夫氏はアカデミックではなく(つまり大学教授ではなく)、市井の学者のようなので期待をしています。この著者の父は陸軍中将で敗戦となり、後に本も書かれているそうです。
ということで、戦前の軍部・幕僚というのは、現在の官邸・官僚に似ているように思いますが、…。又読み終わりましたら、感想を書きます。
【引用文献:『昭和史の論点』文芸春秋、三根生久大『陸軍参謀』文芸春秋、木下道雄『側近日誌』文芸春秋】