玄冬時代

日常の中で思いつくことを気の向くままに書いてみました。

『昭和の怪物 七つの謎』

2022-06-16 14:30:24 | 

講談社現代新書、2018年版である。私が読んだ保坂正康の本はほとんど新書ばかりで、まともな論考を読んだ事が無い。実は彼の表現方法が私の好みではないのかもしれない。

この本に限れば、彼は石原莞爾への思いがかなり強いと感じた。保坂は現実に生きた人の生の証言を集めて歴史の事実を再現、構築しようとする手法であろう。

しかし、静的な文献ではないので、話し手の思いを直に受け止めてしまい、その結果、自らの好悪の思いも沿わせていく傾向が強いと感じている。

この本でも、暗殺された犬養毅首相を語る孫娘の犬養道子氏や石原莞爾を語る周囲の人々への寄り添い方は、彼の熱い熱情を感じる。片や、瀬島龍三や東條英機への批判性は徹底して冷静できつい捉え方である。

この本を読んで二つ点が引っ掛かった。

一つは昭和天皇が繆斌の和平工作を全く認めなかったことを、当時の重光葵外相の意向が働いているようにほんの少し触れていることが妙に気になった。またその線でほかの文献で調べてみようと思う。

もう一つは、犬養毅首相が5・15事件で撃たれるとき、「話せばわかる」と云ったように巷間伝えられているが、事件当時の周りの人には「話を聞こう」と聞こえたらしい。その二つ言葉の差異を保坂氏は非常にこだわっていた。

悲しいかな、私にはその差異の重みは理解できなかった。むしろ荒木貞夫大臣が「あんたがやった」と迫られて、畳廊下にうつ伏して震えていたという証言の方が衝撃的であった。

ただ、その後の世間では5・15事件のテロ実行者が英雄となり、犠牲になった犬養家の人々があれこれと嫌がらせを受けるという、当時の奇妙に歪な社会があったことを忘れてはなるまい。

こうした社会にまた成らないとは断言できない。今の社会でも、政治でも、マスコミでも、無闇に声の大きい人々には気を付けねばなるまい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ミニマムな悪役ばかり

2022-06-15 14:30:44 | 時事

近頃は、佐藤栄作、田中角栄、中曽根康弘のような大物の悪人も居ないようで、小物の悪人たちが奇声や威勢をあげているだけのような光景です。

前の坊ちゃん首相が自ら誇示した最長就任期間の基本政策である「金融緩和と円安」のセットによる経済成長政策の最終評価が下されようとしている。

その評価を地団太踏んで嫌がっている子供のような姿がまざまざと見えてくる。その周りの者たちも同じように右往左往している愚人達であろう。

しかし、この政策の一番怖い肝は、特別会計である年金基金を株式市場に直接ぶち込んだことだろう。この國の経済の自助という美風を、大企業が自ら否定してしまった。結局、これは公的資金介入による株価の欺罔か詐術であろう。これに諸手を挙げて歓迎した財界のお偉方がこの国の経済をダメにしたもう一方の愚人でもある。

結果、政府が大企業の大株主となり、当然に官僚の天下り先となり、喜んだのは忖度官僚ばかりである。総務省の事務次官が広告会社の電通に天下りしたことが、そのことを物語っている。次は読売か朝日かも知れない。

もうこの國の経済は没落の瀬戸際のような気がしてならない。無知無能な民主党政権の三年間に、野党に落ちた自民党と公明党が真摯な反省ではなく、政権奪回の野望しか持たなかったことが口惜しい。

その野望の結果が、あの無恥で虚つき118回以上の首相の出現だった。

何もしない岸田首相が、なぜ支持率が高いのか?と近頃メディアではさかんに取沙汰されているが、答えは簡単だ。前の人たちのやったことは虚のような実体の無い経済政策だったことを庶民がちゃんと知っていて、それならば、何もしない方がまだ良いと思ったからであろう。

ところで、最近の物価高だが、本当に苦しくなるのはこれからかも、…。

近頃、神奈川の老舗 のお稲荷さんがあまりに高いので、地元のを買いました。けっこう美味かった。こういう生活が、これから必要なのでは、…。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自民党内の派閥抗争

2022-06-14 17:10:33 | ブツブツ

この國には国会で118回以上嘘を言った首相が居た。今もまだ最大派閥の領袖で健在である。自分の存在を主張する為にやたらと声が大きい。それを真面目に取り上げるマスコミも完全に電通下請けの広告媒体化している。

あと一月ほどで、参議院選挙を迎えようとしている。

その間、政策論争することもなく、腑抜けた野党連を尻目に自民党内では選挙後を睨んでの派閥抗争に忙しいようだ。

現岸田政権を支持する麻生や茂木系の派閥群と、それに対抗する形での最大派閥の清和会との水面下での抗争が一層激しくなっている。

岸田支持勢力にとって都合の良い清和会の前会長の細田衆議院議長のセクハラ疑惑が報道されると、その逆襲のように、岸田直系の議員のパパ活スキャンダルが出て来る。

もとより国会議員というヒトたちは疑惑とスキャンダルのデパートなのだろう。それぞれの議員がやる気に成りさえすれば、いつでもどこでも自由自在にスキャンダルの石礫を投げ合うことになってしまう。

それらをメディアを通して、延々と見せられる庶民としては、バカバカしくて真面に反応する気にもなりません。

美味い唐揚げを食いたいが、どうもあたらない、・・・。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

岩盤の右傾と左傾

2022-06-13 14:48:27 | 政治

今のご時世には、「あんな人たちには負けられない」という言葉を吐く人たちが居るという事を此処10年余りの裡に知るようになった。ブック・オフではそれ系の雑誌や月刊誌は棚一杯並んでいる。と云う事は流通し過ぎで、購入者の本棚には永住しないらしい。

この層を岩盤の右傾と云うならば、それに目くじら立てて、どうこう言う気もないが、やや気に掛かるのも事実である。

他方、岩盤の左傾という人達も居るのかな?と考え始めた。岩盤の左傾は、旧赤軍や新左翼ら希少生物ではなく、共産党支持者、いや、正確に云うと、共産党員ということになるのかな。

岩盤の左傾に対して、いざ連立を組むとなったら、枝野の立民党がアレルギーを起こして、自ら委縮し逃亡して行ったのが、前回の衆議院選ということになろう。

しかし、岩盤の右傾層は自民党の内部の奥深くにあるようだ。それが民主党政権後の「自・公政権」の中で蠢き始め、大ぴらに自己主張をし始めた。

かつて、日本が太平洋戦争に入る前に、近衛首相はルーズベルトとの頂上会談を企図した。その時、それを阻んだ人々を、「極端論者」と当時のグルー駐在大使は云っている。この時の「極端論者」が現在の岩盤右傾層に似ているような気がする。ちなみに、この時の岩盤左傾層は既に全員が監獄に入っていた。

今また「極端論者」がただGDP2%の防衛費と騒いでいる。その金は政府の子会社である処の日本銀行が刷る安い円札で、高いドルの武器を購入することを目的としているのだろうか?この結果は、日本財政を根本から硬直化させ、自衛隊のトイレット・ペーパーすら買えなくなっても、アメリカ軍需産業に献金し続けるのか。

まともに考えると、そんな自民党というのはオワコンではないのか。少なくとも庶民にとっては「無くても不自由しないモノ」ではないか。

或る公園内の道、・・・。好きですか?

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いつもと違う道

2022-06-10 14:02:05 | 散歩

気紛れに、いつもの角を曲がらず、少し先に道をずらしてみた。そこはいつもと違う道、方向音痴な私は少し迷った。気が付くと目の前には鬱蒼と樹木が生い茂る小さな神社があった。

こわごわと階段を上がる。

まるで樹木に押し潰されそうな社殿だった。

いつもの通り健康祈願をした。

 

少し行くと、まだ何も植わっていない広い畑があった。

既に田植えの終わった小さな田んぼもあった。

時にはいつもと違う道を行くことは楽しい。これは生活もそうだ。そろそろコロナ自粛も少し緩やかにしたいものである。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする