畑に吹く風

 春の雪消えから、初雪が降るまで夫婦二人で自然豊かな山の畑へと通います。

連載54 只見線とカモシカ

2016-02-18 14:42:39 | 自然


    只見線とカモシカ

 新潟県と、福島県をつなぐ只見線の除雪を出向会社の社員として、二シーズン任された事があった。
県境に近い雪深い村の駅の基地から、県境のトンネルの入り口までロータリー除雪車で除雪作業をする。
そこまで終わると、トンネルからの湧水を引き、敷き詰めたシートの上で雪を溶かす設備をした基地に到着し、
ターンテーブルで機械の方向を変え、再び除雪しながら帰って来るのだ。

 県境付近の降雪と強風は、想像を絶するものがあり、雪庇、吹き溜まりが数多くできている。
湿った雪が降り積もった時など、投雪口からの排出雪が練り羊羹のようになり、それがつぎからつぎへと際限も無く続く。

 乾いた雪は、投雪口から舞い上がり、風の向きによっては又自分達に降りかかり視界をさえぎる。
谷間の線路を、高い橋梁で右岸、左岸と亘りながら川を目掛けて投雪を続ける。傍を走る国道は有名な難所で、
冬季間は全面通行止めとなる。

 事故があっても救援さえままならぬ線路である。もし、山から表層雪崩でも出たら、
川に押出されるのではないかとの、恐怖心も正直な所、ときたま顔をもたげる。

 そんな中で、心を和ませてくれる奴がいた。「かもしか」である。
毎回同じ辺りで、通る時刻を承知しているかのように、三、四頭で見下ろしている。
大概の場合は動かず、顔の向きだけを変え見送る。

 緊張の中で、一瞬気の休まりを与えてくれる奴等だった。
十五年振りと言われた、今冬の積雪の中、無事に冬を乗り越えたであろうかと、少し気がかりである。


 (平成5~6年頃の話です)
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『祈りと経営』

2016-02-18 04:18:23 | 暮らし

 あの伝説の経営者が残した「謎」がすべて解けたー

 22回小学館ノンフィクション大賞受賞
史上初「選考委員が全員満点」をつけた傑作



      著者は丹念な取材で
  思いもよらなかった事実に突き当たる。


 〈それは、小倉の抱えていた思いを
      痛いように共有していく過程でもあった〉


 
 もう十年来、「小倉雅男」さんが気になって仕方無かった。
私財を福祉のためにと、何十億円も寄付する人なんて居るのだろうか。

 御存命中に「週刊文春」の阿川佐和子さんの対談「この人に会いたい」も記憶の隅に残っている。
「お金なんていくらでも有るのでしょうから、美味しいものをお食べになられたら?」と言う問いに対する返事、
「だって、一人で食べても美味しくないもん」なんて、返事も気になった言葉だった。

 その頃の年に一回の唯一の楽しみが自分一人のためにオーケストラを呼んで、
音楽会をする事も納得できたような出来なかったような。

  読み終えて、納得が行ったようにも感じたし、スベルべの様な凡人には納得できない事も。
人の人生の裏を詮索するなんて、スベルべの趣味でも無いけれど、うーん、この本ばかりは・・・・。

 でも、スベルべもお金さえ有ったならばポンと福祉関係に寄付なんてしたいなー。
匿名でするなんて、俗の塊のようなスベルべには出来る自信も有りませんが(大笑)。



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