連載６６『風になりたい』(その２終わり)

　　　　　　風になりたい

　九月のある晴れた日曜日、共稼ぎの忙しい休みをやりくりして二人で出かけてみた。
目的地は日本名水百選に入っている、新潟県津南町の名水の地「龍ヶ窪」である。
家を出てすぐＲ１７からＲ２５２に入る。

　途中気まぐれでその名もひなびた枯木又と言う豪雪地帯の山間地に足を伸ばしてみる。
山、又、山。谷、又、谷の山間地で失礼ながら、
冬の生活が心配になるような集落で、各戸の入り口に屋号を記した揃いの門柱が微笑ましい。

　Ｒ１１７に入ると道幅も広がり平坦で、まだ寒さも感じない気候でもあり、
快適なツーリングとなる。
んっ、なにやら後ろの女房殿の様子がおかしい。ヘルメットに圧力がかかる。

　日頃の私の酷使がたたっていると、言い訳をされるが、とにかく風が優しく眠気がさすとの事。
後頭部に次第に圧力がかかってくるが、ここで押し返すと問題が起きかねないので、
徐々に前傾しながらひたすら耐える。
シーシーバーと呼ぶ背もたれがあるので後ろに落す心配はないが、
さすがカーブは怖いので一鞭ならぬ平手打ちを妻の太腿にくれる。

　ともあれ、無事に龍ヶ窪に到着。ペットボトル三本に水を積め、
フルムーン夫婦は帰途にについた。往復１５０キロ程のツーリングで、ストレス解消。
又仕事に立ち向かう元気が出た。

　上の娘が中型二輪を取り、ＳＲＶ２５０を手に入れたので、
待望の親娘のツーリングも実現した。
今は、かって娘達を背負い紐で背中にくくり付けて走ったように、
孫が出来たら乗せて走りたいものと夢見ている。

　　　　　　　　　　(終わり)

(１０数年前に書いた文章です)


　「佐渡へ佐渡へと草木もな～び～くよ♪」


　「いざ出発。ロシナンテよ無事に連れて行っておくれ」

　これから、出発し仲間４人と佐渡島一周ツーリングに行ってきます。
明日のアップはできませんが、帰ってきたら佐渡島の風景をお見せしましょう。