(仕事の仕上がり検査に立ち会う。向こうの右側でメモを取っている)
「汗」(その1)
保線に職を得て、三十有余年、正確には39年間勤めた。
技術係として事務室が主の仕事場だったが、もちろん現場第一線での仕事も、
線路班、保線管理室、出向での仕事と一通り経験した。
だから現場、すなわち外仕事の経験も十分に経験した。
保線業務の身体的な辛さも十分知っているつもりである。
むしろ外仕事で苦労し、冬の凍てるような寒さ、先も見えない吹雪の中での仕事や、
照り返す太陽の下で汗を流した経験が私の誇りでもある。
人並みに多感な青少年期を迎え、軟弱な人間になりつつあった私を、
保線の仕事がたくましく育ててくれたような気がする。
運よく、現場での力仕事は一年半ほどで終わり、その後の半生は技術係と言う技術系の事務職として、
テーブルワークが主体の仕事をしていた。
(続く)