計算、計算違い(その1)
それまで、線路を保守していた主力の現場、線路班が無くなり、
新しい線路保守体制の保線支区が発足した昭和四十二年。
技術職場での計算はガチャガチャチーンの例の「手回し計算機」が主流で、
ベテランの中には四則計算を算盤でこなす手練の猛者もいた。
しかし保線支区の仕事としては計算機の出番は少なかった。算盤で十分に間に合う加減算が多かったのだ。
その後保線区に移動となり、計算機無しではいられなくなった。
工事の金額をはじき出す、積算の仕事が新たに加わったからだ。
それでも計算機の台数が増えたから良いのだ、と先輩は言った。
少なかった時代は計算機の奪い合いだったそうです。
実は私は工業高校の卒業生で、三級を取れば履歴書に書いて良いと言う先生の言葉に、
計算尺にも一時期一生懸命に取組んだのだが、本当に今は昔話。
電卓が主力の時代も終わり、コンピューターが主力になった今の時代に、
計算尺を知っている人は珍しいのではないのではなかろうか。
(続く)