実話をもとに かなりな換骨脱胎をし 半ばミュージカル仕立てとなっています
歌うジョニー・デップが観られるのが ウリな映画と言っても良いでしょう
判事や手下の為にさしたる罪もなく有罪の判決を下された理髪師は 復讐の鬼スウィーニー・トッドとして街へ戻ってきた
パイを売る女から 例の判事に騙され美しい妻は毒を仰いで死んだと聞かされる
娘は判事が養女にし 籠の鳥のように育てていると
判事を殺し娘と会う
顧客として判事を呼ぼうと彼は 評判の床屋に挑戦し勝つ
そのおり判事の手下と顔見知りになる
スウィーニー・トッドに負けた床屋は彼の正体に気付き
黙っていて欲しければ儲けを寄越せと脅してくる
スウィーニー・トッドの商売道具は相手の男に襲い掛かる
死体の始末でパイ売りの女は妙案を出す
人肉パイの誕生だ
店の地下の肉挽き機で死体をミンチにし 残りは焼く
死んだ床屋に酷い扱い受けていた少年は パイ売りの女を自分を救ってくれた優しい人と思い 秘密を知らず 店を手伝う
スウィーニー・トッドが理髪店営む二階の仕掛け付き床から パイの材料は供給される
特別な味のパイで店は流行った
パイ売り女は夢見る
少年とスウィーニー・トッド
いつか家族のように暮らせないかしら
悪党が甘い夢などみてはいけないのに
彼女は悪魔の理髪師スウィーニー・トッドを愛していた
スウィーニー・トッドが街へ戻るのに乗船した船の若い船乗りは 窓辺に座る美少女に恋をするが その娘を養う判事に酷い目に遭わされる
その美少女ジョアナはスウィーニー・トッドの娘
判事はジョアナを妻にする予定だった
判事は手下に勧められスウィーニー・トッドの店に客としてやって来る
待ちに待った復讐の時
だがジョアナとの駆け落ちの約束に気が逸る船乗りの若者の為 好機は失われた
ジョアナに裏切られたと判事は彼女が反省するまで お仕置きする
夜 娘は馬車で連れ去られる
船乗りの若者はジョアナの居場所を突き止め スウィーニー・トッドは救出の為の知恵を授ける
座った客は見境なく殺す様子が凄まじい
どの客も皆 生きて店から出ることはない
パイ売りの女を悪魔と呼ぶ気が変になっているぼろをまとった女がいた
彼女はパイ売り女の危険さをスウィーニー・トッドに話し 喉を裂かれる
何処かでお会いしませんでしたか
そんな言葉を遺して
ああスウィーニー・トッド 悪魔の刃を奮う前に 相手の女性の顔を今一度ゆっくり見れば良かったのに
ジョアナが反省し許しを請うていると騙し呼び出された判事はスウィーニー・トッドの言葉にのせられ 店の椅子に座る
遂に遂に判事は死んだ
しかしパイ売り女が使う少年は スウィーニー・トッドを疑い 彼から離れるようにパイ売り女に忠告する
スウィーニー・トッドを愛する女は 少年を地下に閉じこめ 置いてあるパイを食べた少年は パイから出てきた指に 肉の正体を知る
店に隠れていたジョアナを自分の娘と気付かず殺そうとしたスウィーニーだったが 階下のパイ売り女の声に 「忘れろ」とジョアナに言い残し 店を出て地下へ
自分が殺した頭のおかしな女はー 死んだと聞かされた彼の妻だった
血まみれのトッドの顔が悲しげに歪む
精神病院にいたの
あんたを愛していたからよ
パイ売り女は歌う
愛する妻を殺してしまったトッドは 嘘を教えたパイ売り女を騙し 歌い踊りながら死体を燃やす炎の中へ押し込める
妻の死体を抱えるトッドに隠れていた少年が刃をふるう
流れる血がスウィーニー・トッドの体を飾る
かくて稀代の殺人鬼は死なぬ
繰り返される凄惨な場面
惨劇
なれど最後の場面の姿と表情ゆえに これは引き裂かれた夫婦が 死を仲立ちとし再会するまでの愛の物語のような印象を受ける
狂気の中の切なさ
特異な扮装
ジョニー・デップの持つロマンチックな雰囲気と 何かに焦がれるような視線
そうした資質がなければ とんでもなあ失敗作に終わる可能性もあった映画だと思います