夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「洗濯機 出ます」

2015-11-09 10:16:14 | 自作の小説
午前零時が近い頃に車を運転した時 どの店も閉まっていて暗いのに 明るい一角があり車もいっぱい停まっていた

見ればコインランドリー こんな時間に洗濯の為に出かける人間が結構いるんだーと ちょっと驚いた


その一つ手前の交差点の角にあるコインランドリーは不気味なくらいに薄暗かったのにー

迎えに行った相手を乗せての帰り道 やはり交差点角にあるコインランドリーは不気味に感じるほど暗い


それで 少し前に聞いた話を思い出した

布団を汚してしまいーそのままでは眠れないので青年は深夜 布団を担いで洗濯に出掛けた

漫画を読みながら乾燥が終るのを 待っていると 自分が使っているのでない洗濯機から音がする

ガタ グオ ゴトン ガタ グオ ゴトン

乾燥中の洗濯機の音は 人の声に似て聞こえることもある 悲鳴のような 呼び声のような

腕時計を見ればー午前二時にかかろうかという頃

客は青年以外に誰もいないのにー

一番奥の暗がりにある洗濯機が動いている
中で何かが回っている


止せばいいのに
青年は 中を覗いた 覗いてしまった


ドラム式の洗濯機の中にはー


妙に首が伸びて捻じれた女がいた 乱れた髪を顔にはりつかせ 女が笑う

「ああ やっと 気がついてくれたのね」

女の白い腕は中から開けようとしている


ー開くはずが無いーと青年は思った この洗濯機は中から開かないようにできているはずだーと


しかし 何事にも例外はある

まず指が出てきた 乾燥にかかっていたはずなのに 濡れている
床に水滴が滴る  ぴしゃん 




まだ洗濯機から出てきてないのに 女の目が青年を見ている 


そこで青年は気絶した



似たような経験をする客が幾人も出たと言う

その店には洗濯機は12台置いてあるのにー客が見るのは13台目の一番奥の洗濯機なのだと言う
他の洗濯機より一回りほど大きい


中にろくろ首みたく長い首の女が入った洗濯機の幽霊が出る店

前兆として照明が二、三度ばかし点滅するそうなー

洗濯機の中で回り続ける 乾かされ続ける女は・・・客が気付いてくれると洗濯機から出ようとするそうな


そんなことを経験できるコインランドリーが 何処かに・・・あるらしい