第一章「あの風に向かって翔べ」
鍼灸師・工藤ナユタには師匠から受け継いだ顧客がある
スキージャンプの選手の坂屋もその一人だ
数年優勝から遠ざかっている坂屋は引退を考えるようになってきている
ある事情から工藤のところへ来た不思議な娘はその引退を止めようとする
娘の名は羽原円華(うはら まどか)
彼女が合図した時に飛べば いいジャンプができる 距離が出せるのだと
円華は風が読めるのか
予期できるというのか
第二章「この手で魔球を」
ナユタの客の石黒投手の投げる球を捕球できるのは三浦捕手だけだった
しかし三浦の膝は限界がきていて引退も近い
ゆえに石黒の投球を受けることができる若い捕手を育てようとしたが その捕手は自信を失ってしまっていた
円華の立てた作戦はー
第三章「その流れの行方は」
ナユタの恩師である石部は休職中 溺れた息子が植物人間になり ずうっと自分を責めていた
石部の妻は泳ぎに自信があり 息子を救いに飛び込むことをとめた石部を恨んでいる
止めなければ救えたと
円華は石部に実験をしてみせる
第四章「どの道で迷っていようとも」
ナユタの客の朝比奈はパートナーの死を自殺と考え 自分が同性を愛する人間だとカミングアウトしてしまったゆえにま愛する人間を死なせてしまったと自責の念にかられていた
死んだ人間が遺したものから円華は それが自殺ではなかったことを証明する
そして円華はナユタに言う 彼を救う為に会いにきたのだと
ある人間の為にナユタが負った心の傷
円華にとって大切な人間が案じていたから
自分と)向き合えたナユタは 偽りの名前を捨て本名で生きていくことにする
第五章「魔力の胎動」
大学教授の青江は事故についての意見を求められ調査に赴く
そこでやたら話しかける男に辟易させられるがー
家族の事故死の謎も 死のうとする男も止めた帰り道
不思議な光景を見る
割れずに受けられた紙風船
第四章までは 甘粕才生の撮った映画「震える唇」に主演した少年がこの映画を最後に子役を俳優を辞めてその後にはついに名前もナユタと変えて両親との関わりも断つように生きてきた
そんなナユタの前に現れた円華の見せる不思議な能力
円華の人助け的な物語でもある
第五章では「ラプラスの魔女」にも登場する青江が そうと知らずに円華の捜す甘粕謙人の姿と不思議な能力を見ていた
第五章「魔力の胎動」は 「ラプラスの魔女」の序章と 青江からみれば言えるかもしれない
青江はもう会っていたのだ